昨日星新一さんの事をググってたら、何故か和田誠さんに辿り着いてた


和田誠 1936-2019(享年83歳)


星新一さんだけでなく、数多くの本の装丁を和田さんは手掛けている


僕が持ってる文庫本の内、その1割和田さんのもので占めている


古くは、遠藤周作の狐狸庵シリーズ、つかこうへいさんの一連の角川本、阿刀田高さんの「***知ってますか」シリーズ…


装丁は本の顔だとも言える


緩やかで鮮やかな色調のイラストは、観た人をほんのりさせ、和ませる


イラスト・カットとは、一瞬で人の心を鷲掴みする事を要求される


瞬間の決闘の要素を持つのだと思う



似顔絵もデフォルメを最小にして端的に描かれている。


絵本や、詩人 谷川俊太郎さんとのコラボも手広く熟されてる


古くはタバコのハイライトのパッケージも和田さんの作品だとネットに出てた


ジャズや映画にも造詣が深い


週刊文春の表紙も40年以上和田誠さんの表紙が飾っている


他にも、NHK「みんなの歌」のアニメ、ゴールデン洋画劇場のオープニング…etc.


この世界には、"和田誠"が溢れてる


北風と太陽のパロディ


言葉遊び


イラストから滲み出てくる、明るさ、ユーモアの虜になってしまう


ユニークな個性は作品だけではない


奥さんである、平野レミさんとの逸話が面白い

久米宏さんとコンビでラジオ番組を担当していた平野さんは、"生きる放送事故"と呼ばれ、人気も有るが問題も多い人だった


その番組を聴いていた和田さんは、その平野さんに惹かれて、久米さんや担当ディレクターに紹介して欲しいと頼んだらしい


その時の返事が、「紹介しても良いが、責任持てません」…


でも、それでも和田さんは諦めず、遂に平野さんと逢う約束を取り付ける


そして、その初対面から10日後に結婚

11歳違いのカップル誕生


そこにはどんなドラマがあったのだろう⁈

信じる何かがあったに違いない


周りから心配されたカップルは、和田さんが亡くなる迄仲良く添い遂げた


料理家"平野レミ"は、和田さんの仕事仲間に振る舞った手料理が評判良く、本に書いてみないか?と声が掛かった事が切っ掛けだと言う


和田さんは、その仕事場に決して平野さんを立ち入る事を許さなかったらしい


「夫婦は一心同体では無いと新婚の頃に悟った」

平野さんはそう語っている


入り込めない世界を和田さんは持ってる

自分も何かを持たなくては…そう感じたと


"料理家平野レミ"は、和田さんとの結婚無しには成り立たなかった


和田さんは家に決して仕事を持ち帰らなかった。

そして、家庭は1つだと、家事を進んで手伝ってくれたのだと言う


戦前生まれで、そんな考え方の男は稀だったろう


この夫婦は結婚してから"夫婦"になった

そう思う


和田さんのイラストは、和田誠と言う人間そのものだったのだ


そして、その家族も含めた世界観も"和田誠"だった気がする





今、その和田誠さんの展示会が、東京を皮切りに全国を巡回されている。

残念ながら関西には予定がなく、一番近いのは来年の"愛知県"

来年の話をすれば鬼が笑う…おにぎりが笑うイラストが目に浮かんだ