ピューリッツァー賞
アメリカの新聞王ジョセフ・ピューリッツァーの遺言により、ジャーナリストの質の向上を目的として1917年に設立された。
アメリカの新聞に掲載されたものから、報道・文学・音楽など幅広い分野で前年度の枠から選ばれる
写真部門は報道写真部門が1942年、特集写真部門が1968年設立された

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『ピューリッツァー賞受賞写真全記録』を図書館で借りた

ピューリッツァー賞受賞作品と云えば、人間の歴史を写し撮った写真であり、その受賞はジャーナリストの憧れとも云える権威ある賞となっている

それに相応しい写真が歴代受賞して来た重みがある

1942年…真珠湾攻撃が起きた年
激戦地となった、タラワ、硫黄島の報道写真が受賞作に並ぶ

この写真を誰もが目にした事だろう
1945年「硫黄島の星条旗」

戦争・紛争は大きな歴史の断層の様に刻まれて来た

ピューリッツァー賞の中で、ベトナム戦争に関するものは数多い

*1973年「ナパーム弾から逃げる少女」、1969年「サイゴンでの処刑」


日本の受賞者はこれまで3名


1961年長尾靖「舞台上での暗殺」…浅沼委員長暗殺事件、1966年沢田教一「爆撃からの逃走」、1968年酒井淑夫「静かな雨、静かな時」

近年で一番衝撃的な作品と云えば…
1994年「ハゲワシと少女」…スーダン内戦の一コマ

悲惨な写真が受賞作に多い

人間の諸悪が増幅されて社会が成り立って様に…
いつも皺寄せは弱者に来る

写真群はいつも語りかける
この世の中の事に無関心ではいけないと

そんな受賞作の中にも、パンドラの箱に残された"希望"の様なものがある

1958年「チャイナタウンの男の子と警察官」
1969年「尊厳の肖像」
2007年「ある母親の旅」

パレード見物のアレン坊やとカリナン巡査との間に交わされる全幅の信頼が暖かい

次はキング牧師の葬儀でのコレッタ・スコット・キングとベーニス
故人の遺志を受け継いで、その後も"規則正しい不服従をもって闘う"公民権運動は未来まで生き続ける力が写し撮られてると称された作品

最後はガンの子供と闘病生活を送るシングルマザーの姿とその死迄を捉えた写真群
生きる喜び…生を与えられている事の意味や尊厳をも教えてくれる


人間は醜い生き物
そして同時に、尊い生命体

ピューリッツァー賞の写真群は世界に問いかけて行く

時間を経てもその力は変わらない


自衛ばかりがクローズアップされる日本
世界の紛争を決める人間は前線で闘う事はない
それが世界を歪めていく根本にある

ガンジーもキング牧師もケネディ兄弟も
新しい世界を目指した人は悉く凶弾に倒れた

でも、その運動は多くの命を守りその精神は引き繋いでいくべきものだと思う

僕は憲法9条は非暴力の精神を表しているのだと受け止めている

もうすぐ終戦記念日

それは引き継いだ世界を再確認する日だと思う

アラ還世代とは戦争を経験した世代の遺志を繋ぐそういう世代なのだと思う

各自が自分なりの信念・価値観に基づいて歴史を引き継ぐ

それを確実にする責任があるのだと思う