気を静めながら、なんとか手術同意書にサインをして、ドクターに差し出した。

手術同意書を受け取ったドクターは、

「それでは、すぐに緊急手術を始めますので。」と慌ただしく席を立とうとした。


「あのぉ、少しだけでもカミさんに会うことはできませんか?」

そう問いかける私に、

「奥さん、すでに意識がありません。ですから、お会いになられても会話はできませんよ。

それでもよろしければ、ICUから手術室に向かう途中にでも・・・。」


いったん待合室に戻り、カミさんが手術室に運ばれるのを待つことになった。

2~3分ほど待っていると、ICUの自動扉が開いた。


「移動しながらで申し訳ありませんが・・・。」

さきほどの主治医が、ストレッチャーに付き添いながら、声を掛けてきた。

すぐにストレッチャーの横に駆け寄った。


「おい。ソバについているからな。がんばれよ!わかるか?俺だよ。がんばるんだぞ。」

すでに意識がなく、目を閉じたままのカミさんに、必死で呼びかけた。


すると・・・。

意識がなく、目を閉じたままのカミさんの目尻から、涙が1滴・2滴流れ落ちた。


「俺の声が、聞こえているんだ。」

その時、私は微かな希望を胸に感じた。


to be continue.