めぐにゃん身勝手妄想劇場~フリフリ

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「砂糖2杯に、ミルク入り。…だったよな。」

後ろから不意に、先輩の声がして、パソコンの隣に、さっと置かれたのは、
会社近くのコーヒーショップで、テイクアウトされた紙コップ。

驚いて振り返ると、にんまり笑う先輩が、コーヒー片手に立っていた。
先輩、ブラック派なのに、いつの間に、俺の好みを?

コーヒーのお礼を言うと、ひらひら手を振り、すまし顔。
今度は、さぁ召し上がれと、勧める仕草をしながら向かいのデスクへ。

うん?先輩?
まだ、昼休み、終わってないよ?

いつも、昼休みギリギリまで、ラウンジにいるよね?
今日は、会議も、外出も、立て込んでる案件も、なかったはず…

あっ!暇だったんだな?
俺がいなくて、寂しかったとか?

うん?もしかして、俺の事、心配だった?
じゃ、もしかしなくても、これは、激励のコーヒーってことか!

でも、激励より、先輩の手が、頭が、欲しいかも…
甘えるな!って、殴られそう?

朝、上司に呼ばれ、昨日、提出した書類を、突っ返され
カップ麺すすって、3時のタイムリミットに、一心不乱!いや、少々焦ってた。

オフィス中に、たちまちコーヒーの香りが、広がり
頭も幾分すっきりし、背筋を反らし、うーんと伸びをし、ホッと一息。

「ぁっ!!!つぅぅぅ~!」

突然、向かいのデスクから、小さな悲鳴。

今、口に含んだであろう、コーヒーの熱さに、身悶える先輩。
体中で、熱さに右往左往してのが、手に取るようにわかり、思わずプッ!

ギロリ…

込み上げてくる笑いを、必死で堪え、慌てて視線を、逸らした。
そんな可愛い目で、睨まれたって、全然、怖くなんかないし!

素知らぬ振りして、コーヒーに手を伸ばし、コクリ…
あぁ、疲れた頭に、沁みていくなぁ。

コーヒーを、飲みつつ…
視界の端っこに、先輩の行動を、捉え映す。

小さい悲鳴を上げたことを、取り繕うかのように
むやみに咳払いしたり、資料、移動させてみたり…って、する必要なかったよね?

それは、落ち着いてるように、見せてるつもり?
どう見ても、動揺してるようにしか…

先輩、知らないんだよなぁ。
先輩の存在自体が、周囲には、癒しになってるってこと。

いつも、先輩を、一人占めしてズルい!って、責められてる俺。
老若男女、すべてに人気あんだよなぁ。

うん?今度は、どうした?
急に、目だけキョロキョロさせて…

何すんだ?と、じっと、次の行動を待ってたら…
あ、コーヒーの蓋、取った。

ん?うん?
こっそり、フーフーしてるよー!

うわぁ!これ、動画、撮りてー!
永久保存版にして、見せびらかして、後生、俺だけで楽しみたい!

つーか、先輩、やること可愛い過ぎ~!
あ、あっちで、萌えてる奴、発見!

こっそりやってるつもりだろうけど、周囲に、もろバレだよ~!
でも、先輩は、知らないままのほうが、会社のため、世の中のため。

ほら、癒しの効果で、こんなに和ませてるもんな…
あぁ、和んでる場合じゃないのは、俺だけだよ。

先輩のフーフー、可愛かったなぁ…



パソコンに、メールが届く。

“ニヤニヤ笑ってないで仕事しろ!時間ないぞ!”


(素敵な画像お借りしましたペコリー