えーっと、だいぶご無沙汰しております。
まだかろうじて息をしていますマックですこんにちは(全方向に向かってスライディング土下座)
怒涛の2学期が終わりを迎えてやっと休みだと思ったらもう年末ですって。
きょこ誕をスルーする勢いで死にかけてますが、やっぱり年内1本は上げてから年越したいので頑張りました。
今年は別ジャンルでいくつか話は書いていたものの、スキビで真面目に書き上げたのは今年これが最初で最後くらいの勢いなので(クロスオーバーは書いてたけどここで公開はしていないし)話としては相当微妙な事を覚悟してます。
ま、しゃーねー生きてるか確認してやるかくらいのお嬢様、お付き合いくださると有難いです。
※ 一応全部乗り越えた蓮キョの数年後、成立後と言う設定です。
゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆今年も一番に゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
赤い高級絨毯がふわふわと足を跳ね返す感触が気持ち良くて、大きな窓から見える中庭のツリーが綺麗で。
皆が待っていると言うのについ足が止まってしまう。
キョーコは2階の廊下からも余裕で見える巨大なクリスマスツリーのチカチカ光る電飾を見て、ほうとため息を吐いた。
白い大きなお屋敷の中から見る豪華なイルミネーションは、今日は家主の孫の生誕祭と言う事もあり特別盛大だった。
数年前は誕生日を祝われる事を嫌っていた彼女の為に日ごろの感謝の意を表すパーティーを開いたものだが、今は素直に誕生日を喜ぶマリアが毎年企画を立ててクリスマスパーティーを開いていた。
「女子会と言うものに興味がありますの!!」と目を輝かせたマリアの今年の提案は「パジャマパーティー」。
マリアの部屋に集まって美容の話や恋愛の話をしたいと言う事で、キョーコ、奏江・千織が一般客用のクリスマスパーティーが一通り終わった後に集められたのだ。
愛されたくも愛したくもないラブミー部の3人がまともな女子トーク出来るはずもない…と思うのだが、そもそもマリアの趣味は呪術等の方に明るく、主催者の方がまともな女子トークを期待していない。
それに、ラブミー部発足から既に数年が経過している今、彼女達はもうラブミー部を卒業している。
立派に部OGとなった彼女らは今や人気芸能人の仲間入りを果たし。
何とか前日までにスケジュールをこなして辿り着いた3人は揃って顔を合わせるのも久し振りなもので、今夜の会合はかなり盛り上がった。
マリアが「おじい様のとっておきですの!」と注いでくれたシャンパンはとても甘くて美味しくて。ついつい飲み過ぎてしまって体がふわふわとする。
キョーコが動く度にパジャマの裾のフリルもふわりふわりと揺れる。
ふわり、ふわり。ゆらゆらり。
決して絨毯の感触だけではない感覚。
久し振りに気のおけない仲間とはしゃいだ高揚感の中に時折ふと混ざる違和感が、瞬くイルミネーションを見るキョーコの目を潤ませた。
「ごめん!本当にごめんねキョーコちゃん!!!」
そう言って土下座する勢いで社さんに謝られたのは先週だった。
急遽予定になかったシーンを撮る為、クリスマスはロケに行かざるを得なくなってしまったらしい。
敦賀さんも「今年のクリスマスも、最上さんと一緒にいたかったんだけど…」と大変申し訳なさそうにしていた。
それは社や蓮のせいではない。より良い作品を作り上げる為にシーンを増やす事もあるだろう。
キョーコは笑って「敦賀さんは私の目標なんですから!張り切って行ってらっしゃいませ!」と送り出した。
だけど、やはりここ数年何だかんだと理由を付けて毎年0時と同時に誕生日を一番に祝ってくれていた人―――しかも、交際している彼が側にいないと言うのは何となく寂しいものだ。
ひんやりと外気を伝える窓ガラスに手をつくと、あまりの冷たさにふぅと溜息が漏れる。
漏れた息は目の前のイルミネーションを一か所だけぼんやりと曇らせた。
「そう言えば、今何時なんだろう…」
本邸に入ってからお手洗いに出た今この時まで時計と言うものを見ていない。
あまりにも広すぎるせいなのだろうか。だが、マリアの部屋でひとつくらいは見かけていてもよさそうなものなのだが。
0時を過ぎていたら思い切って敦賀さんの携帯に電話を入れてみよう、この時間もまだ撮影中なら留守録に「メリークリスマス」と一言入れればいいし、きっと敦賀さんなら撮影が終わっていれば電話を入れてくれるだろう…
部屋に戻ったら失礼のない範囲で携帯を確認して…と思ったその時、すっと真っ赤な薔薇が一輪差し出された。
「メリークリスマス、キョーコ。」
今思い描いていた人物の声に思わずばっと振り返ると、優しく微笑む蓮が立っていた。
何故?どうして?だって、北海道でロケだったんじゃないの?
言いたい言葉も聞きたい事も山ほどあるけれど総てがぐるぐるとこんがらがって、喉の奥から声にならず空気だけが無意味に吐き出される。
代わりにずっと溜め込んでいた涙がつうと頬を伝った。
「遅くなってごめんね?本当はもう少し早く来るはずだったんだけど、今日は撮りが押してね。」
本日分のスケジュールが終わった後、社長の自家用ジェット機で飛んできたのだとゆっくり説明しながら、一筋出来た涙の痕を蓮の指が優しく拭う。ひんやりと冷たい指先はまだ外気を染み込ませていて、蓮が急いで外から来た証拠だった。
冷えた指先が頬をさわりと撫でる度に、堪えていた大粒の涙が零れていく。まさか突然大泣きするなんて思っていなかったらしく、蓮はおろおろと慌て出した。
「きょ・・最上さん?!ごめん、驚かせすぎた?連絡ぐらい入れるべきだったよね、ごめんね?」
違う、この人は何も悪くないのに。謝る事なんて何もないのに。
何で自分が泣いてるかもわからないのに。
違う、本当は分かってる。
寂しかった。会いたかった。
どんなに大好きな人達と一緒にいても、毎年一番に自分の誕生を祝ってくれる――― 一番に祝ってほしい人が隣にいないのは悲しかった。
今週の始めに「いってらっしゃい」と送り出してから既に4日、自分の中で薄れかけていた蓮の温もりを堪能するべくキョーコは蓮の懐に飛び込んだ。
「も・・・」
「サンタさんが、来たのかと思いました。」
胸いっぱいに吸い込むと、まだ冷気をほのかに纏った空気はでも確かにいつもの慣れた爽やかでいい蓮の香りそのもので。
嬉しさでまた目頭が熱くなって、蓮のコートの中に顔を埋める。
自分の髪を優しく撫でる大きな手と、包み込む大きな身体。
そして「誕生日、おめでとう」と振ってくる甘い甘い声。
交際を始めてから初めて別々に迎えるはずだったクリスマスは、夢のようなひとときの逢瀬がプレゼントだった。
久しぶり過ぎて拍手の付け方忘れました←
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ま、プレゼントしたのはサンタと言うか、サンタコスしたローリィですけどね。←
年内はギリギリまで年賀状書きに追われる予定です。
皆様、良いお年を!!
