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まだ「お酒を飲んではいけません」と言われていた歳の頃。
それでも飲ませようとするお客様はいらした。
小さい頃は女将さん・・・ショータローのお母さんが、「大事な預かり子さかい、何かあってからでは遅すぎる」と助け船を出してくれた。
ある程度大きくなってからは、自分に降りかかる火の粉を笑顔で払えるようになった。
笑顔でそれとわからないように対応しなければ、お客様の機嫌を損ねてしまう場合もある。
そうしばければ「客に無礼を働いた」と、他の従業員にずっとねちねち言われる事もあった。
酒に酔って正体を失くすなんて、絶対にあってはならない失態。
どんな時でも笑顔を絶やさず、「イイコ」でいなくてはならない・・・
―――本当に?
誰もが疎ましがらない「イイコ」でいる事が私にとってそんなに大事?
だって、私はとっくに「イイコ」じゃなくなってるのに。
あの人にとって私は、「ちょっと手のかかる後輩」ポジション。
聞き分けの良かった「イイコ」になんて、もう戻れない。
だって、そのお蔭で彼にとっても特別な1日を、こうして私だけのものにできているんだもの。
もう誰にも渡せない。返せない。
わたしだけのもの―――
「っ最上さん、酔って・・いるの?」
オトコの人らしい、低い声が私の脳をくらりと揺らす。
普段ではありえない程掠れたテノールの中に、僅かに・・・だけど、確実に見える情欲の気配。
この美しい人からそれを引き出す事が出来たのは、今夜飲んだ赤い液体が特別美味だったからだ。
わざわざ私の20歳の誕生日に合わせて、私の生まれた年に造られた物を選んでくれた貴方。
本当に喉を通るアルコールはまろやかで、瞬く間に1本を開けてしまった。
その後も何杯か色んなお酒を飲んだと思うけれど、ありすぎてもう覚えていない。
ただ、最初の赤が口に含んだ瞬間かっと体をほてらせた事。
それでいてまろやかで、その魅力にあっという間に虜になった事。
それと、その様子を見つめるあなたの視線が堪らなく熱かった事だけ―――
それだけを覚えている。
オトコらしい骨ばった大きな手が私の体の下から伸ばされ、頬を一撫でしたかと思うとゆっくり顎から首へと滑り落ちた。
その手が鎖骨まで下りてくると、いったん止まる。
胸元まで進んでいいのか悩んでいるならごめんなさい。
触りがいのない貧相な胸でごめんなさい。
でも、どうか自分を責めないで。
こんなつまらない身体に欲情させたのは、私なのだから。
貴方は「キョーコちゃん」に、罪悪感を感じなくていいんです。
戸惑い、離れようとする指先を追いかけて捕まえて。
綺麗なオーバルに整えられた薄桜の爪を口に含む。
「あっ・・・もがみ、さん・・・」
その途端、漏れた吐息が熱い湿気を帯びていて、ぐらりと意識を持って行かれそうになる。
なんて壮絶に美しい人なのかしら。
声も、仕草も、「敦賀蓮」を構成するそのすべてが自分を魅了して離さない。
こんな美しさを知っている女が他にもいると思うだけで、吐き気がする。
この男の素肌のなめらかさを知っている女がいると思うだけで、世界を焼き尽くしてしまいたいと思ってしまう。
「もが・・・もがみさん・・・」
捕まえられた手をなすがままに蹂躙されて、戸惑いの色が濃くなって行く。
脚の下の敦賀さんの体がぴくりと小さく跳ねる。
掌にしっかりと紅い印を付けてからその手を解放し、圧し掛かったままの私は敦賀さんの腹の上でゆっくりとボタンをひとつずつ外し始めた。
「つるがさんは、わるくないです。」
そう、悪いのはわたし。
あなたは私なんかにおかされてしまう、可哀想な人。
今宵の出来事は、全部あの美味しいお酒たちに飲まれてしまった事にしましょう?
この瞬間の為に飲まずに残しておいた最後の一口を煽ると、敦賀さんの熱くて柔らかそうな唇に、そっと自分のそれを宛がった。
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はい!こんにちはー!
ご無沙汰しております、マックです。
最後に更新したのが4月ですってよ、奥さん!←
しかも話自体の更新は本当にヤバイくらい久し振りなんですってよ、奥さん!←←
近況のご報告ですが、1学期は無事に乗り越える事が出来ました。のっけからヤバかったですが、何とかなってホッとした。
どっこい、夏休み目前で事故に遭いまして…本当に何のイベントかと思いましたよ(白目)
あ、家族はみんな無事です。無事じゃないのは家だけ。
ちょっと今後がどうなるかは不明です。
そして夏休みあけから11月までマック死亡のお知らせです。フラグ立ちまくってんの。
なので昨年の下書きから引っ張り出してきた話を冒頭に置きました。
今は書き方変わってるので若干何書きたかったのか私自身が分からなくなっていますが、そのまま公開しちゃう!
表でいいのか悩んじゃうけど公開しちゃう!(軽いな)
最近は某お刀ゲームに夫婦で大ハマりしていまして…
好みドストライクの人が何人かいるにもかかわらず、思いもよらないキャラにドハマリしました。正直そこにハマると思わなかった…ここまでハマると思わなかった…
正直今生活を侵食する勢いで彼が可愛くて仕方がないですが、萌えがないと既にメンタル死にそうなんでね。有難くあちこち徘徊しております。
新築1年未満で車ぶつけられるってどういう事だよねぇ(再び白目)
スキビは本誌の展開がもう萌え萌えきゅんで幸せ満開でそれだけで満足しちゃって、今下書きのままのものやプロットのまま放置のやつをどうしようか悩みまくりですが、今年が終わらない事にはまともな連載が進められなさそうです…
その前に家どうなるんだよorz
と、どうしようもない厄年女の近況でした。みんな、厄年はなめちゃいけないよ!!
開店休業中にもたくさんのアメンバー申請ありがとうございました。
ちゃんと承認できるメッセージをくださった方はアメンバー承認しております。
通らなかった方はメッセージなしか、メッセージが基準を満たしていなかった方です。
後でアメンバー申請の記事を上げ直しますので、お手数おかけしますがそちらをご覧くださいませ。