こんばんはー!マックです。
※この話は蓮キョ結婚後設定です。
熱中症によるキョーコ記憶喪失のお話し。
途中は色々と辛いですが、ラストはハピエン確定。
皆様、どうぞ体調にお気をつけてお過ごしくださいませ。
途中、若干無/理/矢/理的な表現が発生します。
この話は全話全体公開を目指しておりますのでそれ相応のぬるい表現にはなっておりますが、苦手な方はご注意ください。
(いや本当にぬるいんですが、蓮さんが・・・問題かな)
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フットランプの明かりを頼りにして向ったゲストルームの中は真っ暗だった。
しばらく目を凝らしていると、暗闇に慣れた瞳が徐々に室内の物の配置を蓮に伝えてくれるようになったが、それでもまだ完全とは言えない。
近所に看板等過度な光源がない事と今日が曇天だった事から、キョーコを目覚めさせる事はないだろうと予測した蓮は、そっと部屋を縦断して窓際へと近付く。
なるべく音を立てないようにとゆっくり開けたカーテンからはほんの少しの光をとる事が出来、蓮は初めてキョーコの寝ているベッドの方へと顔を向けた。
窓側のベッドに寝ていたキョーコの白い肌が、薄暗い部屋の中でぼんやりと浮かび上がっている。
仰向けで寝ているキョーコのその横顔は、以前倒れた際に病院で一晩見つめ続けた顔にそっくりだった。
白い病室内で、より一層際立つ青白い肌。
今は窓からわずかに差し込む外に光に照らされて、青白く見える。
ただ眠っているだけに見える、穏やかな表情。
今日は奏江と久し振りに外出してきた疲労から、ぐっすり眠りこんでいる。
見張っていなければそのまま呼吸を終えてしまいそうな、華奢な身体の胸の動き。
深く呼吸をしている為に、止まってしまうのかと思えるくらいに静かでゆっくりとしたキョーコの周りの空気。
(―――駄目だ、キョーコ。置いていかないで・・・!)
その総てが、酔って頭が正常に働かない蓮を焦燥に駆り立てた。
慌てて駆け寄ってキョーコの呼吸を確認して、静かに名前を呼び揺さぶる。
しかし、本当に疲れているのだろう。
キョーコは蓮の声の届かない深い眠りの中にいた。
「駄目だ・・・駄目だよキョーコ。目を覚まして・・・」
キョーコが記憶喪失と診断されて帰宅した夜を思い出す。
優しい笑み、柔らかな身体、温かな空気。
キョーコがいなくなっただけで、この家は暗くて、夏なのに寒く感じられた。
キョーコがここにいてくれるだけで―――
「戻ってきて、きょーこ・・・」
蓮にも、自分の行動が理解できなかった。
最初は単純に、ちゃんと寝ているだけだと確認したかっただけだ。
それなのに、気が付けば彼女の唇に自分のそれを押しつけ、優しく身体を抱き寄せていた。
最初は優しく、触れるだけ。
それでも起きないキョーコの息を盗み、自然と開いた唇から歯列を割り、奥で眠る舌を絡め取る。
苦しそうに身動きを取り始めると、優しく労わる様に身体のラインをなぞる。
少し痩せて更に薄くなってしまったが、それでも蓮が愛情を注いでゆっくりと拓いた身体。
久し振りに触れる唇の甘さに、口にするキョーコの体液に。
アルコールの酔いが手伝って、蓮の理性は完全に飛んでいた。
「―――っ!いやぁっ!!もうやめてえぇぇ・・・っ!!」
ハッと気が付いた時には既に遅かった。
頬に鋭い痛みを感じたのと同時に顔がキョーコから引き剥がされて、蓮の意識は戻って来た。
そして目の前の惨状に言葉を失ってしまった。
華奢な身体の横に無造作に置かれているのは、キョーコが着ていた筈のシャツワンピース。
細い腕で必死に隠す胸元や首筋には無数の鬱血痕。
大粒の涙をぽろぽろこぼしながらガタガタと震えるキョーコ。
それは、間違いなく自分が犯した罪を物語っていて・・・
「ご、ごめんっ!」
慌てて飛び退いた蓮の足に小さな布切れが纏わりついて、蓮は真っ青になった。
(俺は何て事を―――!!)
「キョーコ、大丈夫!?」
「いやぁっ!触らないで!!」
何よりもキョーコの体が一番心配だったのだが、伸ばした手は恐慌をきたしたキョーコに払われてしまう。
ぱしんと乾いた音の余韻が深夜の静寂に溶け込んでいくのを聞きながら、蓮は背後の暗闇に溶けてしまいたいと願った。
キョーコの瞳に映る、拒絶、嫌悪の感情が蓮の心に突き刺さり、鼓動のタイミングで鮮血を吹き出させる。
「―――ごめん。本当にごめん・・・寒いから、肌掛け、ちゃんとかけて寝てね・・・」
自分の過ちに、キョーコの視線に居た堪れなくなった蓮は、声だけかけるとゲストルームを後にした。
真っ暗な自分の寝室へと向かうその足取りは重たく、この先が永遠に続く闇への入り口ならいいのにと思った。
そうして、この夜を境に蓮とキョーコは顔を合わせなくなった。
*スキビ☆ランキング
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いや・・・本当にですね、「いつ二人は幸せになりますか!?」とコメントをたくさんいただくのですが・・・
こんな展開で申し訳ないっす。
