こんばんは!マックです。


※この話は蓮キョ結婚後設定です。

熱中症によるキョーコ記憶喪失のお話し。

途中は色々と辛いですが、ラストはハピエン確定。

(かっこいい蓮さん不在で申し訳ない←)



今回はオリキャラが登場します。

オリキャラ苦手な方はご注意くださいませ。




2話も連続でアンチ派が多いキャラ&オリキャラ出しててすみません。

でも今回は原作できょこたんにマネが付いていないものですから・・・オリキャラで登場させるしかあうあう。


お嫌な方は本当に申し訳ないですけど、スルースキル発揮していただけるとありがたいです・・・



皆様、どうぞ体調にお気をつけてお過ごしくださいませ。







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屋上で冴菜と別れた後院内へと戻ると、キョーコの病室から彼女のマネージャーである棚瀬が出てきた。

手には数日分の洗濯物の入ったボストンバッグを持っている。


ある程度スケジュール調整をしているとは言え蓮と社では会いに来るのが精一杯で、キョーコの身の回りの細かい世話までは出来ない。

そこで、実家から戻って来た棚瀬が、その役目を買って出ていたのだ。


「あ、敦賀くん。お疲れ様。」

「愛さんもいらしてたんですね。」
「ええ。キョーコちゃん、今は寝てるわ。それより冴菜さんには会えた?病室においでになった際に社さんが、敦賀くんもいると伝えてたのだけど・・・」

「うん、会えましたよ。相変らず忙しいみたいで、今夜帰国だとは仰ってましたけど。」

「そうなの・・・キョーコちゃん、冴菜さんの事も覚えてなかったから、殆ど会話にならなくて。あまり病室に長くいらっしゃらなかったのよ。」

「そっか。あの人らしいですね。」



棚瀬の言葉に、先程まで一緒にいた冴菜を思い出す。


たった数度しか会った事はなかったが、いつも堂々とした面持ちでびしりと姿勢よく、糊のきいたワイシャツとスーツを着込んでいた冴菜。

身長は自分の方が圧倒的に上なのに下から自分を見るその顔は高圧的で、恋人の・・・結婚してからは、妻の身内であると言う以上の緊張感を蓮に与えていた彼女が初めて見せた弱々しい後ろ姿は、蓮の心にも衝撃を与えた。

それでも義息子に涙を見せまいと後悔に押しつぶされない彼女の背中は、キョーコが傷ついた時一人でこっそりと耐える後ろ姿によく似ていると思った。



「あの・・・」


どんなに仲違いの時間が長かったとしても、やはり血のつながった母娘なんだなと蓮が思ったところで、目の前の棚瀬が申し訳なさそうに蓮に話しかけた。


「私が休んでいたせいでこんな事になってしまって、やっぱり申し訳なくて・・・」

「いや、それは誰のせいでもないですよ。この間も話した通りだし。」

「でも・・・」



彼女はキョーコと同じ関西圏の出身者だ。

歳も比較的近いと言う事で、結婚前からキョーコのマネージャーに付いている。

そんな棚瀬はキョーコが倒れた当日、実家に帰省していた。

もともと末期癌で入院していた父親がついに残り数日と命の期限を切られたからだった。


『どうか、お父さんと最期の時を一緒に過ごしてあげてください。私の分も・・・』


実父のいないキョーコにとって、仲の良い父娘だと言う棚瀬と父親の関係は憧れの対象だった。

姉のように慕っている彼女が語ってくれる父親とのエピソードはとても楽しくて、キョーコはもう他人事のように思えなくなっていたのだ。

秋からのドラマでは主演を張らずにゲスト出演だけと、この先の予定が少し落ち着いていた為に、キョーコは彼女に帰省を強く勧めたのだった。



「愛さんがお父さんにお別れを言えた事を知ったら、キョーコはきっと安心しますから。」

「それは・・・そうなんだけど。でも、こんなに長く思い出せない事って・・・」

「院長先生が仰っていたじゃないですか。焦らずゆっくり待つ事が、本人にとって大事な事だって。」


いくらタイトなスケジュールでなかったとはいえ、自分の管理ミスだった、自分が離れさえしなければキョーコは倒れずに済んだと、棚瀬は葬儀後すぐに病院へと駆けつけて蓮に土下座して謝っていた。


しかし、こればかりは本当に誰の責任でもない。

彼女が父親と最期の時をゆっくりと過ごす事を望んだのはキョーコだし、記憶が戻った時にその話を聞いて、キョーコであればきっと自分の取った行動が正解だったと喜ぶだろうから。

そう蓮は思っていた。



「あの・・・本当は、キョーコちゃんの口から話すべき事だと思うんだけど・・・」


ボストンバッグの持ち手を少し強く握り直した棚瀬が、何かを決心したように蓮に話しかける。

キョーコが自分に何か隠していたのかと、蓮は「・・・はい」と静かに答えた。


「キョーコちゃん、秋からの予定をいつもより絞ってたのは、敦賀くん気が付いてた?」

「あ・・・何となく。でも、今までが過密スケジュールだったからかと・・」


昨年の暮れから今年の夏の始めまで、キョーコはドラマ2本と映画の主演でスケジュール帳がみっちり埋まっていた。

ドラマや映画は、セット内でただ演じればそれで終わりではない。

宣伝の為に色々な情報番組やバラエティにも出演するので、今年に入ってからは『京子』をテレビで見かけない日の方が本当に珍しいくらいだったのだ。


だから蓮は、次の仕事の為に少しクールダウンの時期を作ったのかと思っていた。


「まぁ、本当に仕事詰めてたからね。

・・・実はキョーコちゃん、そろそろ赤ちゃんを・・・って考えてたのよ。」


「・・・え?」

「二人とも結婚してもう1年半が経つでしょう?敦賀くん、年明けからまたハリウッドのオファーが来てるって話もあったし、「それが撮り終ったくらいで出産できたら立ち会えるよね?」って色々逆算して、スケジュールを調整に入ったばかりだったの。」

「そう・・だったんですか・・・?」

「ほら、今年に入って千織ちゃんが出産したでしょう?それで話を聞かせてもらってたらしいのよ。」


ふたまわりも年齢が違う俳優と昨年おめでた婚をした千織。

尊敬する大切な人の子供を身籠りすっかり丸くなった千織の出産は、母親から愛されなかったと言うトラウマを持つキョーコにも大きな影響を与えていたようだ。


「私も「大丈夫?」ってキョーコちゃんに聞いたんだけど・・・敦賀くんとなら「絶対私は大丈夫」って、言い切ったから・・・」





『大丈夫です。だって、久遠がいてくれるもの。久遠を愛しているから、久遠が愛してくれるから。』


だから私は、彼の子供を産みたいの―――





棚瀬に笑顔ではっきり告げたと言う、キョーコの言葉が蓮の胸を締め付ける。



蓮が思う以上に、自分を想ってくれていたキョーコ。

自分がなかなか言い出せなかった二人のこの先の事までしっかり考えて、彼女は行動してくれていたのだ。


なのにどうして、こうなってしまったのだろうか・・・



「・・・キョーコちゃん、きっと大丈夫よね?元通りになれるよね・・・?」


2つ年上の棚瀬は姉御肌な性格で、キョーコが懐く彼女は蓮にとっても姉のような存在だ。

蓮に縋るように弱々しく問いかける彼女に、蓮は強く答える。


「大丈夫です。絶対、キョーコは思い出します。だから俺達は信じて待ちましょう。愛さんも、それまで俺達を助けてください、お願いします。」

「うん・・・勿論よ。キョーコちゃんが戻る為なら、何だってお手伝いするわ。」



来客がいなくなり静かになった病室で今は眠っていると言うキョーコに、蓮は彼女の想いに応えたいと強く思った。








作品用拍手アイコン ←想ってる以上に想われてるんですよ。


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想い想われ・・・連キョ愛。

しかし、こんなシリアスな話なのに今私の頭の中は某じゃ○ぐるーぷの

「あーいーされるよーりーもー♪ あーいーしたいま・じ・でぇっ♪」
・・・で占められております。←古っ