こんばんは!マックです。
※この話は蓮キョ結婚後の話です。
現段階で種明かしは出来ませんが、ラストはハピエン。
ですが、途中は色々と辛い設定です。
(あ、あとかっこいい蓮さん不在中←)
こんな話ですみません。
皆様、どうぞ体調にお気をつけてお過ごしくださいませ。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
ガララ・・・と扉がスライドする小さな音がして、蓮は微睡から浮上する。
どうやらキョーコのいる治療室へ看護師が入って行った音のようだ。
今は殆どが見えないように白いカーテンで覆われている部屋。
しかし、昨夜から一部分だけカーテンが完全に閉められていない部分がある。
その隙間から見えるキョーコの顔。
体内に熱が籠り過ぎた為に血色の悪くなってしまった頬にも、昨晩よりは色が戻ってきているように見える。
だが、目覚めるまでは安心はできない。
(今は・・・何時だ?)
マナー違反を心の中で謝罪しながらスマートフォンのサイドにある電源ボタンを押す。
すると、朝の7時を回ったところであるとわかった。
(もう朝か・・・)
近くに窓がないこの部屋の前では、昨日の雨がどれくらいで上がったのか・・・今日の空がどんな色をしているのかもわからない。
社は近くの空いてる部屋を借りて寝ている。
ロケ入り前にちょっとしたトラブルで松島に同行して後処理を担当していたマネージャーはロケ中もぐっすりと眠る事が出来ていなかったようで、疲労で眩暈を起こしたのだ。
「ごめん、蓮・・・本当はお前がベッドでしっかり寝ないといけないのに。」
「俺は向こうでちゃんと寝てましたから大丈夫ですよ。それに・・・今はキョーコの側にいてやりたいんです。」
「そうか・・・横になりたくなったらいつでも言えよ?お前まで倒れちゃったら、キョーコちゃんものすごい心配するからな。」
「まー!ちゃんと睡眠時間取らなきゃダメでしょう!?」と恰幅の良い看護師に怒鳴られて点滴を入れられた社は、寝かされたベッドの中から申し訳なさそうに蓮を見上げていた。
(心配・・・してくれよ、キョーコ)
看護師がキョーコの点滴やモニターをチェックしながらてきぱきと業務をこなすのを眺めながら、緑色の酸素マスクを定期的な間隔でほんの少し曇らせるキョーコに呼びかけた。
(俺はもう・・・君なしでは生きられないんだよ)
決して厚くないガラスの向こうから、僅かに漏れる機械音もやはり定期的で、しかしとても落ち着いて聞こえる。
それが余計に、このままこの音が変わる事なく永遠に続くのではないかと言う不安を掻き立てる。
キョーコがこのまま目覚めなかったら・・・?
そんな未来なんて在り得ない。
そんな未来、いらない―――
「キョーコ・・・」
深々と腰掛けていたソファーから立ち上がり、静かに眠っているように見えるキョーコへと手を伸ばす。
しかし当然ながらその手は廊下と部屋を隔てるガラスに弾かれて、人差し指の爪先ががつっと不快な音を立てて欠けた。
「敦賀さんの爪って、綺麗な形してますよね。私は・・・その、好きですよ。」
まだ交際中だった頃―――まだ、恥ずかしがって「敦賀さん」と呼ばれていた頃。
ペディキュアを塗るのを手伝っていた時にふわりと笑ったキョーコに褒められた爪。
あれから指先の手入れは、キョーコと一緒にしながら他愛もない話をする楽しい時間へと変わっていた。
(キョーコがいなければ、俺はこんなにダメな奴なんだよ。)
それがガラス窓にべたりと貼りつけた指の先で、ひとつだけ取れかかった爪の一部がぺろんとくっついて不格好な姿を晒している。
その爪が今のよれた自分の姿とリンクしているようで、蓮は苦笑した。
「キョーコ・・・逝くのなら、俺も連れていってくれよ・・・きょーこ・・・・・・」
ごつんと額をガラスに付けると、ひやりとした感触が目覚めたばかりの蓮には心地よい。
だが、そんな感触が欲しくて額を付けたわけではない。
二人の間を隔てる物が煩わしい。
自分達を別とうとするこの世界が煩わしい。
1分一秒、一部の隙なくキョーコの側にいたいのに―――
「キョーコさん?分かりますかー!?」
どれくらいそうしていたのだろうか。
看護師の声がキョーコの名を呼び、蓮ははっと引き戻された。
キョーコの薄く開いた目に気が付き、声をかけながらナースコールを押してている。
(キョーコ!!)
すぐにこのフロアーの婦長が院長と共に駆けつけた。
そのせいで不透明なカーテンが引かれてしまい廊下からはキョーコの事を見られなくなってしまったが、キョーコが目を覚ましたのは確かで。
緊張が緩んだ蓮は膝に力が入らなくなり、その場にゆっくりとしゃがみこんだ。
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息子が熱出しましたー!なんてこったい!