こんばんはー!マックです。


駐車場でのやり取りがまさかの社視点だけで終わってしまったので、本物の蓮のおまけも書いてました。

需要は・・・ないような気はしてましたが。



※『 a treasure 』は、先月発売されたザ花収録SP番外編のネタバレを含みます。

そして今回のおまけに関しては、4月の本誌内容までネタバレを含んできます。

コミックスに収録されるまでネタバレしたくないお方は、どうぞお引き取りください。

「続き妄想」なので、余所様で似たようなお話があったらすみません。



『 a treasure 』直後の話です。


**5月20日追記**


蓮さんが持っているキス画像を、『狭間に在る東屋』のゆるるく様が描いてくださりました!

(リンクは頂物ご紹介記事にて・・・)
ありがとうございますm(__)m



無断転載等の行為はおやめくださるようお願いいたします。






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今日は社員も外に出ていて少ない日なのだろうか。

ラブミー部のあるこの階も、他のセクションが入っている為に普段であれば誰ともすれ違わないと言う事はない。

しかし、今日は誰もいなくて良かったかも・・・そう思いながら、蓮はエレベーターへと少し足早に向かっていた。


ドアが少し開いたラブミー部室からは、キョーコの「いや!でもやっぱりダメでしょ~~っ!!」という叫び声と共に、奇声とも悲鳴とも取れる声が蓮を追い越して廊下に響く。

あの悲鳴を聞いたらきっと「ラブミー部何してるんだ・・・?」なんて、不気味がられてしまうよな・・・と蓮は苦笑した。


(まあ、最上さんにはいきなりすぎたかな?)


純情乙女は恋愛を否定しつつも、きっと「キスは好きな人と、結婚式で」・・・なんて夢を見ていたかもしれない。

あるいは縁がないものと決めて、演技以外で自分がキスする事はもうないと思い込んでいたか・・・

唇が離れても、まだ自分が何をされたのかわからずに呆然としていたキョーコの顔を思い出す。


そう言えば「コーン」としてキスをした時も、キョーコは膝の力が抜けてしまって背後にあった椅子に座りこんでしまっていた。
日本ではなかなかお目にかかれない程美しい、青い空と海に見守られて誓ったあの日の想い。

総てを打ち明けるその時が、今来たのではないか―――あのキョーコの顔を見た時に、蓮は思った。






社から貰った時間はわずか10分。

タレントセクションの主任である椹の打ち合わせがまだまだ終わる気配がない事を松島主任から聞いていた蓮は、迷わずラブミー部室へと向かった。

少しでも長くキョーコと一緒にいたい・・・ただその一心で。

いつも通りコンコンと短く2回ノックする。しかし、返事がない。


(いないのか?)


しかし、この事務所内でキョーコが時間を潰す為に行きそうな場所は、ここ以外に思いつかない。

かちゃりとドアを開くと、パイプ椅子の傍らに立ったままのキョーコがいた。


ドアの方へ完全に背を向けた状態ではなかった為、携帯の画面を覗き込んでいるキョーコの頬がほんのり赤く染まっているのが見える。
そしてふわりと微笑む口元、画面に写る何かが愛おしくて仕方がないと物語る優しい表情・・・

単純に犬や猫を愛でると言った顔ではない、その顔はまさに恋する乙女の顔で―――



蓮の心に激しい嫉妬の炎が一気に灯った。



(何故・・・!?何が君にそんな顔をさせる!)


どこのとも知れない馬の骨に攫われる事がないように、そっと周囲に気を配り、近付いてきた者にはさりげなく棘を刺し。

キョーコ自身にも恋愛に興味が出るような素振りはないかどうか常にチェックしてきた。

そうしたささやかな努力を怠りはしなかった。

決して「仲のいい先輩後輩」と言う、自分以外の誰もがなり得る、しかし特別な信頼を勝ち得た蓮ならではの関係の上に胡坐をかいていたわけではない。


それなのに・・・今目の前にいるのは、間違いなく「誰か」を想うキョーコで。

時折小さく「ふふ・・・」と笑みまで零れている。

柔らかに笑うキョーコの横顔に、蓮は足元が崩れ去り堕ちていくような感覚を覚えた。


(いつの間に君は愛を取り戻したんだ・・・)



こんなに君を想っているのに―――!

やり場のない憤りが蓮の体を突き動かした。

携帯に写ってる「誰か」を確かめて潰してやる!



しかし、身長差がかなりある蓮はたった1歩踏み出しただけで、キョーコの携帯の中身が見えてしまった。

そこにいたのは―――


(え・・・俺?)


いつの事だったろうか。

「松島さんと話してくるから、ラブミー部室で休んでなよ。もしかしたらキョーコちゃんにも会えるかもしれないし。」

社に勧められるがままにこの部屋にお邪魔して、そのままぐっすりと寝入ってしまった日があった。

あの日着ていたニットとシャツの襟元、腕と共に柔らかく頭を支えてくれる可愛らしい羊の枕。

そして、健やかな寝顔を披露する自分。

キョーコの携帯に収められていたのは、彼女の贈り物を愛用する自分の姿だった。


そう言えば、あの日シャッター音が聞こえた気がして目が覚めた。

誰もいなかった為に気のせいだと思っていたのだが・・・思わぬ形で答えを見つけた気がした。


そして、キョーコの気持ちも・・・


自分の知らない間にこんな可愛い事をしてくれていたとは予想もしていなくて、嬉しくて顔が緩んでしまいそうだ。

今すぐにでもキョーコを抱きしめて、想いのたけを伝えたい。

だが、それを許すだけの時間は今の蓮にはない。


(こんな可愛い最上さんを、俺も欲しい・・・)


そうして思いついたのが、想いが通じたこの瞬間を「切り取り、残す」と言う行為だった。






ゆるるく画像


(本当に可愛い・・・)


エレベーターホールにも誰もいなかった事を良い事に、先程携帯に収めてきた画像を改めて見直してみる。

蓮の口付けに目を見開いたまま固まっているキョーコ。

腕を思いっきり伸ばしてはみたものの、キョーコと蓮の顔がギリギリで入っていると言った感じだ。

だが、画像の真ん中に二人の合わさった唇が来ていない事がまた妙に生々しくて、蓮は自分の唇に手をやった。


キョーコの唇はぽてっとしていてひたすらに柔らかく、蓮の唇はまだしっとりとキョーコの潤いを残している。

「蓮」として初めて交わしたこのキスが、画像として永遠に保存できた事に蓮は喜びを感じた。


(今夜最上さんとしっかり今後の事を話すとして・・・あ、社さんに携帯持たれないように気を付けないと。)


キョーコとの今後を考えると共に、一番の協力者がとんでもない人物である事に思い当たる。

携帯だけの保存ではいつ消されてしまうか、恐怖に怯えながら仕事をこなす事になる。

勿論、いつでも見られると言う利点はあるのだが・・・しかし、それだけでは心もとない。

ならば、携帯以外にも保存できる機械を何か持てばいい。


(近々時間を見つけて、パソコンを買ってきてもらおう)


箱の上から触る分には大丈夫であろう。

いくら機械クラッシャーであっても。

カード払い―――ではカードも壊しかねないので、現金払いでお願いして・・・



あれこれと考えを巡らせているうちに、エレベーターが到着した音が鳴り響く。

保存した画像は既に一枚だけ別フォルダーに入れ込んでいて、そこにロックを掛ける。

そうしてぱかりと携帯を閉じた彼は、いつもの「敦賀蓮」の顔を貼り付けてエレベーターへと乗り込んでいった。









作品用拍手アイコン ←その画像、どこに行ったら手に入りますか…!?←


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だって蓮キョのキス画像だよ?私欲しいってばYO!←


そうして彼は社さんの元へと戻って・・・先に公開した*社の思い*に続くんですね。

本当は*社の思い*にこの場面も入れる予定で・・・入らなかったと言う。

なんて計画倒れなorz気を付けます。

続き妄想なので、もしかしたら似たようなお話があるかもしれません。

わざと被せようと思ってやってるわけではないので、そこはすみません・・・


あ、今日は遠足なんですよー。その後には久々のE嫁デー!

ひゃー、頑張りまーす☆