こんばんは!マックです。

ギリギリギリギリまで書いとりました!

きょこ誕滑り込みできた…?

そしてナイスタイミングで帰宅した旦那への給仕で0時更新に遅刻しましたorz

…ちっ!←

きょこたん、はっぴばーすでー♪ & めりーくりすまーす!



゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆




煌びやかな空間でド派手な事が何よりも大好きな男が、オンステージでワンマンショーを行っている。

社長の最近の流行はイリュージョンショーだったなと思いながら、蓮は持っていたカクテルグラスをぐっと仰いだ。



ここ数年開かれていなかったグレイトフルパーティーが、今年はマリアの強い要望で急遽開かれる事となった。


既に中学生に成長したマリア。

すらりと伸びた手足に造作の整った小顔は、亡き母によく似ていると言う。

マリアはその恵まれた容姿を武器に、10代から20代に人気のある女性誌のモデルを務めていた。

中学校を卒業すれば、蓮と同じアルマンディのレディース部門のモデルとして契約をすることになっているらしい。


そんなマリアは今、暴走する祖父をエルトラと一緒に宥めすかしているところだった。



(初めてのパーティーの時には、まだまだ小さなレディだったのにな…)



初回のグレイトフルパーティーで出迎えに来てくれた彼女は、まだ自分の背の半分ほどしかない小さな少女だった。

しかしスカートの裾を持ち、腰を曲げ頭を低く下げるその背はピンと伸び、まさに淑女そのものであった。



(懐かしいな…)



確かその後、キョーコが自分をイメージしたと言うカクテルを持って自分の元へと挨拶に来てくれた。

裏方の作業も行っていた為に、コックコートを身に着け栗毛の先を二つに結わえた、可愛らしいシェフ…


20歳もとうに過ぎ、美しい蝶として芸能界で羽ばたいているキョーコは、本日は裏方の手伝いはなし。

今は社長のワンマンショーを、奏江や千織と苦笑しながら見守っている。


5メートルと離れていない場所にいるキョーコへと、蓮はちらり目をやる。

今日はインディゴのエンパイアワンピースを着ていた。


夜空に星が瞬くようにキラキラと光るグリッターが美しいドレスだが、普段のキョーコから考えると少し大人し目の印象のドレスだ。

そう言えば、こういう時のキョーコのドレスはいつもウエストがきゅっと締まったAラインの物が多かったのだが…



(似合わないわけじゃないんだけど…キョーコの良さがいまいち生かし切れてないかなあ。)



キョーコの背から尻へと向かうなだらかで美しい曲線。

程よく筋肉のついた脚線美。

胸元で切り替わる今日のワンピースは、腰のラインをふわりと隠し、膝下でレースの裾がひらり揺れる。

蓮の思う「キョーコのいい所」を見事に隠している事は、「キョーコの婚約者」としては喜ばしいような、残念なような気持である。



蓮とキョーコが婚約して1年が過ぎた。

だが女優としても目覚ましい成長を遂げ、女性としても日に日に美しくなっていくキョーコには、いまだ数多くの男が言い寄っている。

今夜は奏江と千織が脇をしっかりガードしていてくれるようなので、蓮は安心してお世話になった方々へと挨拶に回れたのだが…



(でも、何だろう…何かが違うんだよな)



彼女達の様子が、いつもと少し違う気がする。

「何」が違うかと問われると、はっきりとは言えないのだが…

確かに何か「異変」を蓮は感じ取っていた。



(まあ、それはこの会がお開きになった後でじっくり聞き出してもいいだろう)



今夜のグレイトフルパーティーは日付が変わるまで。

キョーコの誕生日パーティーは蓮と二人で過ごしていいと聞かされている。


時刻は間もなく午前0時。

それなら、二人っきりになってからでも問題はないだろう。


ローリィの独断ショーが終わりを迎え、人々の間から次々と拍手が起こる。

考え事をしていた蓮も、その徐々に大きくなっていく拍手の音ではっと呼び戻され、手を打つ。


拍手喝采を浴び満足した男は、自分の懐から金製の懐中時計を取りだし時間を確認すると、パチリと指を鳴らした。

すると辺りは暗転し、人々は打つ手を止め何事かとざわめき出す。

蓮も次は何が起こるのかと、その場にとどまり様子を見た。


どうせ社長の演出だ。

何が起こるかわかったものではない。


と、突然自分にスポットライトが当たった。

眩しくて思わず目を瞑る。

光の中心にいるのが蓮と気が付き、女性の招待客からは歓声があがる。



「敦賀さん。」



凛とした愛おしい声に呼ばれ、蓮は目を静かに開けた。

そこには、奏江達と一緒にいたはずのキョーコがいた。



「いきなり驚かせてごめんなさい。社長さんから少しだけお時間をいただいたんです。」



ぺこりと頭を下げるのは、どんなに深い付き合いになっても礼節を大切にするキョーコらしい。

そんなキョーコが社長を頼った…

何かよっぽどの事があったのだろうか。

自分には相談されなかったその行動に、蓮は少しさみしさを覚えた。



「いいよ、社長のする事には慣れてるから。少し驚いたけどね。」

「ここまでしていただくつもりはなかったんですけどね。ちょっと派手になっちゃいました。」

「追加のイリュージョンで俺が消される演出とか、そういうのじゃなくて良かったよ。…で、どうしたの?」

「えへへ…実は、敦賀さんにご報告ししたい事がありまして。」



ポリポリと頬を掻いた後コホンと一つ小さく咳払いしたキョーコは、急に真面目な顔で、静かに話し出した。



「「女優として一人前だと思えるまで、結婚は待ってほしい」だなんて言う、私のワガママを叶えてくださってありがとうございます。」

「我儘だなんて…別に思ってないよ。」

「でも、何度もプロポーズしてくださってたのにお返事がそれでしたし…婚約期間も1年以上になってしまいました。」

「いいよ、俺はいつまでも待つから。」

「もう待たないでください。」


「…え?」



何を言われたのか、頭の追い付かない蓮は返事が出来なかった。

遅れた返事ににこりとキョーコが笑う。



「婚約期間を、終わらせましょう?」



足元がガラガラと音を立てて崩れて行くような、そんな衝撃を蓮は受けた。



何故、急にそんな事を言うんだ?

お互い忙しい身ではあったけれど、心まですれ違う事のない様にずっと努力してきた。

それは自分の独りよがりだったのだろうか?


何故、今この場なんだ?

婚約破棄を堂々と世間に公表したも同然のこの状況、キョーコは何を考えてるんだ?


わからない…

わかりたくもない―――!!



「敦賀さんったら…そんな、別れを告げられたみたいな顔しないでくださいよ。」



ショックのあまり声も出せずに立ち尽くす蓮を見て、キョーコは慌てたようにずっと自分の背に回して隠していた右手を出した。

その手には大輪を見事に咲かせたピンクの薔薇が、紅いリボンに飾られて一輪握られていた。



「ご報告したい事です。」

「……この、薔薇が…?」

「はい。」



かさりとフィルムの音が鳴り、すっと自分の胸の前に差し出された淡い一輪の薔薇。

これが報告…?

まだキョーコの言いたい事が分からず何も言葉を発せない蓮に、キョーコはふふっと笑った。



「薔薇には色んな花言葉が込められてるって、以前一緒に調べましたよね?ピンクの大きな薔薇の花言葉は覚えていらっしゃいますか?」

「えっと…―――え?」



キョーコと二人、リビングでじゃれ合いながら薔薇の花言葉を色々調べていた日の事を思い出す。

プリザーブドフラワーを作りたがったキョーコと一緒に、何色の薔薇で作ろうかと色々調べたのだ。


その中で見た大輪のピンクの薔薇の花言葉は―――『赤ちゃんが出来ました』



「う、そ…本当に?」

「はい。今、3か月に入ったところだそうです。」



右手の薔薇を蓮に差し出したまま、キョーコは自分のお腹に目を落とし、柔らかく微笑みながらそっとお腹を撫でた。



「正直、私なんかが母親になれるのかなって、不安でいっぱいです。…だけど、私は一人じゃないから。私を支えてくれるたくさんの人がいます。私を見守ってくれる、友達がいます。そして…私を愛してくれる貴方がいます。」



その言葉でハッとして、蓮は周りを見渡した。

奏江や千織、社長やマリア。社達。

二人を囲むすべての人達が穏やかに笑ってキョーコと蓮を見守っている。


その表情から、今日のパーティーの本当の目的を蓮は悟った。


2週間前に急に決まったこのグレイトフルパーティー。

それはこの瞬間の為に準備されてきたのだ。


みんなの優しい眼差しに見守られ、キョーコは視線を蓮へと戻した。



「敦賀さんとだったら私、きっと頑張れます。貴方は私の幸せそのものなんです。だから…結婚してくださいませんか?」



意志の強い瞳が、まっすぐと蓮を射抜く。


成人した年に母親とのわだかまりが溶けたキョーコ。
母親という存在に今は大きなコンプレックスを持たずとも、それでも女性にとって母親になると言う事は大きな不安を抱えるのであろう。


今日蓮に打ち明けるまでも、きっと色んな悩みを抱いていたに違いない。

それでも「自分となら大丈夫」と言う、そのキョーコの言葉に、眼差しに。


蓮は身体の芯から震える程の愛おしさを感じた。



「勿論ですよ、最上キョーコさん。俺の幸せも、君と共にあるから…」



声まで震えそうになるのを叱咤して、蓮は笑顔で応えた。

途端、周りから黄色い歓声が聞こえて来、そしてキョーコが真っ赤に頬を染める。

その意味が分からず蓮が頭からクエスチョンマークを出していると、「もうっ!」と頬を膨らませたキョーコが胸に飛び込んできた。



「そんな最上級の神々スマイルだなんて、ズルイッ!」

「え、何なに?」

「何でもない!大好きですーっ!!」

「ははっ、俺も負けないくらい大好きだよ?」


ぎゅうぎゅうとしがみつく愛おしいその体を抱きしめ返すと、ふわりと持ち上げくるくると回った。

まだキョーコの手の内にあるピンクの薔薇は、かさりかさりとフィルムを鳴らしながら守るべき新しい命の存在を教えてくれる。


祝福の喝采を惜しみなく二人に与えてくれる招待客を見ながら、蓮は抱き上げたままキョーコの頬にキスを贈った。



「こんなに幸せな気持ちにしてくれて…ありがとうキョーコ。生まれて来てくれて、ありがとう。」




翌朝の芸能ニュースの一面は、ピンクの薔薇を二人で持ちながら微笑む蓮とキョーコの柔らかな笑顔だった。






こぶたのヒトリゴト。-にゃんこ拍手 ←しあわせになーれ。


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今回はかなり難産で、ぎりぎりまで本当に調整してました。

いや、ネタは11月末に某所でフォローしていた人が美麗絵を上げていて、そこですでに(今年は薔薇だ!と)決めてたのですが…

花言葉がサイトによってものすごい色々意味が変わってしまうので、どれ信じたらいいか迷ったのと、方向性が固まったらでき婚ネタにすり替わってしまっていて言葉選び慎重になりました。


何か企む腹黒蓮さんでない限りは、でき婚って蓮キョでは起こらなさそうだなーと考えてる派なのですよ私。

ノーマルモードで相当なフェミニストな蓮さんだし、成立後もきょこたんの事を一番に考えて行動しそうなので避妊に失敗しなさそう危ない橋は渡らなそうだなと。

でも、ショック受けた後家族が増える喜びを蓮さんに味あわせてあげたいなと思ったら、もう話がそっちに…

(婚約破棄を言い出す流れは絶対だった←酷い)


でき婚ネタはどなたかを傷つける可能性があるので、本当は注意書きを入れようかと思ったのですが、冒頭に持ってくると完全にネタバレになってしまうので入れませんでした。

その分言葉選びを気を付けたつもりだったのですが…

もし読者様の中で地雷を踏んでしまった方がいらしたら、大変申し訳ありませんでした。




何にしてもね、とりあえずきょこたんは凛として可愛い!

蓮さんはかっこいい姫だよね!←

今年もめいっぱい蓮キョ愛を叫べて幸せでした。

リア充に片足突っ込んでたので更新頻度は相当落ちましたし、色々あって悩みながらブログ運営の1年でしたが、だけどとても幸せでした。


来年も蓮キョ愛を叫びたいと思います。

最後になりましたが、皆様の元にも幸せなクリスマスが訪れますように^^









スキビ☆ランキング * ←いつもありがとうございます^^