こんばんはー!マックです^^
うっかり拍手タグを壊しちゃったので(←さすが機械音痴)、いつもよりちょっと遅い時間にお届けいたします。
今夜のSSは、深夜の思い付きタイムに起きた為に妄想タイム突入←
そんな事から思いついたネタと言うか、なんと言うかだったりします。
一人称って書きやすくていいよね!
少しだけact.203までに出てくるワードも織り込まれていたりします。
(本誌読んでなければわからないレベル、だとは思う)
まっさらな気持ちでコミックスをお待ちの方は、読まない方がいい…かな?
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「…いやあぁっ!!」
自分の叫び声で闇の中から浮上することに成功した私は、バサッと肌掛けを落とさん勢いで跳ね起きた。
重力に逆らわずにたらりとこめかみを伝う汗が気持ち悪い。
なけなしの胸の谷間にじわりと溜まってる汗が気持ち悪い。
何でこんなに不快な気分になっているのか、わからない事が気持ち悪い…
「…え、あれ……?」
ぽたりたれないように額の汗をぬぐいながら、何故自分が飛び起きたのか理由を思い出そうとしてみるも…
全然思い出せない。
ただ、ひたすらに不安を掻き立てられていた。
自分を絡め取ろうとするそれに抗おうとしていたけれど、そうすればするほど心の奥底で膨らんで、恐怖しか生み出さない…
苦しくて苦しくて、息もできない…
そんな抽象的な事しか思い出せなかった。
「……気持ち悪い…」
汗が不快なのもある。
だけどそれ以上に、まだ夢の中にいるかのような息苦しさが嫌だった。
遮光カーテンに遮られた完全な闇の中、まるで溺れてしまいそう…
一刻も早く浮上したくてカーテンを開けようと思い、掛け布団に手を伸ばして気が付いた。
いつもの布団じゃない…?
だるまやで寝起きを共にしている寝具とは明らかに違う、柔らかい手触り。
よくよく考えてみれば、お尻の下にある感触も布団ではない、間違いなく高級の部類に入るスプリングの軋む音すら聞こえない適度な弾力。
「…あ、そっか。私―――」
『頼むよキョーコちゃ~ん!蓮に何か食べさせてやってくれよ~っ!』
最近学業を優先していたが為にすれ違う事もなかった尊敬する大先輩が、忙しさにかまけて食事をおろそかにしていたが為にラブミー部…いえ、正確には私に舞い込んだ依頼。
ラブミー部に依頼だと椹さんから聞いて事務所へ行ったら、社さんがダバダバ涙の川を作って待ってたのよね…
どんなに優秀なマネージャーでも、24時間見張ってるわけにはいかないもの。
敦賀さんにだってプライベートな時間は必要だわ。
そしてそんなプライベートの時間はお酒オンリーで済ませてたとか…ホントありえない!!
「ならお任せください!」と部屋のカードキーを受け取って、大量の食材と共に参上したんだったわ―――
だけど、久し振りにお邪魔する敦賀さんの部屋は心地よくて。
久し振りに触れた敦賀さんの笑顔が、優しさが嬉しくて。
交わす会話が楽しくて、つい長居をしてしまったら「今夜は遅いから泊まって行って?」って…
『明日は土曜だし、俺も朝から仕事入ってない日なんだ。最上さんと一緒に朝ご飯食べれると嬉しいな。』
――― 『一緒に食べれると嬉しい』
そんなこと言われて、嬉しくないはずなんてない。
朝食は一日の活動の基本だっていつも思ってるけど、そんな大事な食事をご一緒できる。
それも、敦賀さんのプライベートな空間で…
しかもその言葉を神々スマイルで言われたら、絶対「NO!」と言える人なんていないと思うの。
私も…言えなかった。
だって、少しでも敦賀さんと一緒にいたかったから…
だけど、シャワーをお借りして汗を流しながらふと気が付いた。
着替えなんて持ってきていなかった私に「これ着て?」とシャツやスウェットをさっと渡してくれたその動作が、あまりにも手慣れた感じがしていた事。
いつも使ってる物よりもワンサイズ小さ目だし、ほぼ新品だからって言われたけど…
(どうしてそんなに素早く出せたんですか…?)
殆ど着る機会がなかったら、そんなにすぐ出せないんじゃないですか…?
箪笥の奥にしまっちゃうものじゃないんですか…?
もしかして……これを貸す『誰か』がいるんですか…?
(…っ、ダメダメ!今は余計な事を考えない!!)
頭をブンブン振って、髪から飛ぶ滴と共に嫌な思考は飛ばしてしまおう。
敦賀さんと幸せを紡ぐ『誰か』なんて…今は考えたくない。
せっかく敦賀さんと一緒にいられるんだもの、その時間を今は大切にしたい。
バシャバシャと乱暴に顔にお湯をかけて、思わずうるっとしてしまった目を誤魔化しにかかる。
(敦賀さんの前では、今は可愛い後輩なんだから…可愛がってもらえるように、素うどんだけど背伸びくらい許されて…)
そうしてお湯と一緒に流してきたつもりだったんだけど…
やっぱり心のどこかでくすぶっていたのかしら。
多分、その『誰か』の存在を夢に見ていたんだと思う。
こんな、敦賀さんの不幸を望むような事。許されないのは分かっている。
死んだら地獄へ堕ちる事も覚悟して、敦賀さんへの気持ちを認めた。
だけど…夢でくらいは、『誰か』じゃなくて私が幸せになってもいいじゃない…
そんな事を考えてしまう自分の愚かさに涙が出そう。
じわり涙が滲んだところで、ゲストルームの扉がココンと鳴らされて敦賀さんが入ってきた。
「最上さん…?悲鳴が聞こえたんだけど、大丈夫?」
「ごめんなさい。少し怖い夢を見たみたいで…」
「そうなの?汗、かいてるのならタオルとか持ってくるけど。」
「あ、いえ、そんなお手間をおかけするわけには…」
「ちょっと待っててね?」
敦賀さんは私の言葉など何も聞いてないかのようにあっという間に部屋を出て行ってしまった。
扉から暗い部屋へと差し込むのは居間の光だろうか。
(ずっと、起きてたの…?)
家主を働かせて自分はグースカと眠ってしまっていたのかと思うと、申し訳が立たなくて。
慌ててベッドから立ち上がってドアの方へと向かう。
すると、手にタオルと替えのシャツを持った敦賀さんがすぐに帰ってきた。
「はい。これ使って?」
「え?でもただでさえ既にお借りしているわけですし、さらにお借りするわけには…」
「でも怖い夢見た後に汗かいたTシャツじゃ、気持ち悪くて寝付けないでしょう?」
「でも、」
「じゃあ俺が着替えさせてあげようか?」
「いいいいいいええ!!けけけけけっこうでございますうぅーーー!!!」
「ぷっ…そんな全力で拒否らなくても…」
「なっ、何ですか!からかったんですか!?」
Tシャツとタオルを持ったまま、くくくっと上半身を軽く折り曲げて笑い出す敦賀さんが、可愛くって憎たらしくって。
思わずぷくうっと膨れて見せた。
「いやいや、からかったわけじゃないよ。じゃあ、自分で着替えられるんだよね?」
「勿論です!…あ。」
「はい、じゃあどうぞ?」
お断りしていたはずの着替えをいつの間にか手渡され、敦賀さんの術中にすっかりハマった事を悟るも、後悔先に立たず。
結局こうして、演技だけではなくプライベートでも敦賀さんのいいように翻弄されるって、自分は本当にまだまだなんだなあと思う。
それと同時に、そんなやりとりですら愛おしいと感じるこの胸に、この男(ヒト)への想いが日々成長している事を実感させられる。
永遠に 誰のものにもならないで―――
そんな、恐ろしく仄暗い感情と共に、この想いは進化を遂げる。
「…あの…」
「ん?どうした?」
優しく聞き返してくれる敦賀さんの声が、今、自分だけに向けられている。
それだけで堪らなく嬉しくて切なくて…
「こわい夢、だったんです。こわかったんです…」
「うん。」
「少しだけ…少しだけでいいんです。傍にいてもいいですか…?」
「うん、いいよ。着替えたら居間においで?温かいココアでも入れて待ってるよ。」
「はい…」
大きな敦賀さんの手が、くしゃくしゃと私の頭を撫ぜる。
近付いた事で香る敦賀さんの優しい匂いに、ほわりと心が温かくなる。
ココアなんて飲まなくても、私の心は貴方がいればいつでもあったかくなるの―――
「じゃあ待ってるから、身体が冷えないうちに着替えてね。」
優しい大きな手がふわりと頭から離れて行くのが寂しいけれど。
今だけは、今夜だけは。
『誰か』のものじゃない、私だけの敦賀さんでいてくれる…
優しい笑みを残して部屋を出て行く敦賀さんの背中に向かって「ありがとうございます」と言えば、また振り返って微笑んでくれる。
大丈夫。もう大丈夫。
それだけでも私、今夜はもう恐い事なんてない。
優しい気持ちで眠れるわ―――
**************
先月、あまりにも不快で飛び起きた癖に何で不快なのかさっぱりだった明け方4時に思いついたネタ。
たまーにあるんですよねえ…
ちなみに最近一番怖かった夢は、某有名ゆるキャラに追いかけられて、でもうまく逃げられなくて捕まる寸前…という夢でした。
(夢の中ってうまく逃げられない事多くないですか?)
「待てなっしー!!」「ぎゃああああ、いやだなっしー!!」
…あれはユルくないと思うのw
かなり怖かったですよw
そんなお馬鹿でごめんなさいm(__)m
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