こんばんは、マックです。

早いものでもう6月なんですねー。


今夜からは少しどうしても書きたいお話がありまして・・・

そちらを公開していきます。

が、注意書きがそれなりにキツイので、肌に合わないと感じられた方は読むのをオススメできません。




※この話は蓮キョ結婚後の話です。

現段階で種明かしは出来ませんが、ラストはハピエン。

ですが、途中は色々と辛い設定です。

(あ、あと1話は蓮さん不在です←)




マックもこれを書くのはどうかと思ったのですが、どうしても伝えたい事があるので蓮キョに思いを託してみました。

直接関わりを持ってはいませんが、リアル知人に起こった本当にあったネタをもとに話を書いてます。

(勿論小説として、二次用としてかなりの脚色してます。)




どうかこれからの季節、皆様体調にお気を付けくださいませ。









゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚









「よし、終わりにしよう!」



監督の声が公園内に響いたのは、真夏の太陽がジリジリとみんなの頭を焼く勢いで輝く昼時だった。

その声を聞いて、照明や音響のスタッフが各々の道具を持ってわらわらと散っていく。


そんな様子を、キョーコはチェック用のミニTVの前でぼーっと見ていた。



本日のキョーコの仕事は、ここ数年出演し続けている発泡酒のCM。

一昨年年末の蓮との結婚を経て更に仕事が色々と舞い込むようになっていたが、これは結婚前から契約がずっと続いている仕事。

料理上手で家庭的と言う事から、このオファーは結婚前よりもむしろ今の方がスポンサーの方が起用したがってくれているありがたい仕事なのだ。


「どうしたの、キョーコちゃん。ホイ。」


冷たい缶コーヒーを持ってきてピトっとキョーコの額にくっつけたのは、今回共演することになった貴島だ。

額に当たったステンレスはキンキンに冷えていてとても気持ちよかったが、うまく反応できないキョーコはゆっくりと顔を貴島に向けた。


「貴島さん・・・ありがとうございます。」

「キョーコちゃん大丈夫?汗、尋常じゃないよ?体調悪い?」


貴島の大きな手が、キョーコのこめかみを流れる汗をぬぐっていく。
この月末から秋にかけて長めに放送されるCMの為、二人とも薄手とは言え長袖の衣装を着込んでいて汗だくなのだ。


きっと、いつものキョーコであれば「ひゃあ!」や「ひょわ~!」などと、また独特な奇声を発して飛び跳ねていたのかもしれない。

貴島もそんな反応のキョーコを期待していたのだろう。

彼はいつもそうやってキョーコを弄り、夫である蓮から嫉妬されているのだから。

(そしてそんな蓮をからかうのもまた、貴島の楽しみなのだが。)


思った反応を得られなかった貴島は、本当に心配そうにキョーコの頬に触れた。


「うーん・・・ちょっとここのところ寝不足が続いてたからかな?でも大丈夫ですよ。」

「本当に?」

「大丈夫ですよ~!私、体が丈夫な事だけが取り柄なんですから!」


頬に触れた手から少し距離を置きながら、キョーコはどんと胸を叩く。


そう、滅多な事では体調を崩さないキョーコの事は業界でも有名な話だった。

夫婦揃って時間厳守、体調管理も徹底してると。



「しかし、寝不足ねえ。敦賀くんが寝かしてくれないとか?」

「やっ、ヤダ貴島さん!何仰ってるんですか!!」


今では蓮・キョーコ夫妻とすっかり仲のいい貴島は、こうやってキョーコをからかっては蓮の嫉妬する反応を楽しんでいる。

勿論キョーコの反応がいつも新鮮で飽きないから、それも楽しくてからかってしまうのもあるのだが。



女性にまるで興味なさそうだった癖に、突然愛妻家へと大変身した蓮に彼は以前では感じ得る事の出来なかった人間味を見つけ、ますます「敦賀蓮」と言う人物の虜になったらしい。

「芸能界の大親友」として名乗りを上げ、蓮とキョーコの二人によくくっついて回っていた。

勿論「大親友」だなんて思っているのは彼だけで、ノリが良くてキョーコと仲のいい貴島に蓮はいつもドライな対応なのだが。


どういうわけかいまだに蓮のオトコゴコロには疎いキョーコは、「久遠と貴島さんは仲良しで羨ましいわ~」だなんてほわほわ笑いながら見守るのだった。



そんな関係のキョーコと貴島だからこそ出る軽口に、キョーコは真っ赤になりながらポカポカと貴島の腕を叩く。

恋愛や夫婦間の話題になると恥ずかしがるのは、恋人同士の時から変わらない。


軽口にキョーコが真っ赤になりながら「お返し」をするのは、昔からのお約束なやりとりなのだ。

それはこの現場のスタッフも知っていて、各々仕事をしながらにこにこと見守っている。


「いやあ~、ホントいつもラブラブだよね~。熱過ぎて俺溶けちゃうんだけど~」

「もうっ!そんなんじゃないんですって・・ば・・・」


いつも通りのキョーコの「お返し」に、その拳から逃れる為にひょいひょいと大股で飛んで逃げる貴島。

そんな貴島を追いかけようとしたキョーコに、突然異変が起きた。


拳を振り上げた所でふらりと後ろに倒れそうになり、それを耐えた所で膝から崩れ落ち、前に倒れ込んでしまったのだ。


「っ!?キョーコちゃん!!」

「京子さん!?」


突然の出来事に、慌てて貴島やスタッフ達が集まる。

自分の名が呼ばれるのを、キョーコはぼやけていく意識の中で聞いていた。



(どうして私、倒れちゃったのかしら…やっぱり寝不足のせい?)


名前を呼ばれて「はい」と返事しているつもりが、口をうまく動かせない。

「大丈夫」と手を振ろうと思っているのに、手が上げられない。



みんなの声は聞こえてるのに―――。



(やだなあ、今夜こそ早く寝なきゃ・・ね・・・)






そうしてキョーコの意識は深い闇の底に堕ちて行った。








作品用拍手アイコン ←熱中症は軽く見ちゃいけないんですよ!


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本当にね、熱中症をなめちゃいけませんよ。

(1話に関しては昨年秋に書いてるので、今と少し雰囲気が違うかもしれません。寝かせすぎましたすみません。)



連載を始めるにあたって、ピンチを助けてくれたマイハニーに感謝。