こんばんはー!マックです。

一つだけ早めに表に出せそうなのがあったので、かるーく仕上げてみました。

内容的には小ネタみたいな感じ…なのでかるーく読んでいただければ幸いです。


これは以前Upした『それは恋に似て』の後日談的、モーコさん視点です。



蓮キョは成立後です。

焼きもち蓮さんにヤキモチ気味…?なモー子さんのお話しなので、蓮キョ以外に興味のない方にはあんまりお勧めしないかもです。





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「モーッ!モー子さんったら聞いてる?」



キョーコが手のひらを目の前でヒラヒラと振った事で、奏江の意識ははっと戻された。


ここは、奏江とキョーコがいつも二人で話をする時に利用するカラオケボックス。

斜め向かいには片手にオレンジジュースのコップをもったままのキョーコ。



「モー子さんったら、親友の私の話をスルーしないでよお~!」



久し振りに会う事の出来た親友が上の空で、キョーコは若干ゴキゲンナナメだった。

ぷくぅっと頬を膨らませて口を尖らせ、「怒ってます」アピールをしてくる。


そんな可愛すぎて憎たらしくなる親友に、奏江は「ごめん…」と、彼女にしては珍しいくらい素直に謝罪の言葉を告げた。



「ちょっとボーっとしちゃった…疲れたまってたかな。」

「えっ!?そうなの!?やだ、モー子さんと会えるの久し振りで嬉しくて、私ったらついはしゃいじゃったけどそうよねっ!?移動大変だものねっ…」



奏江の珍しく素直な謝罪に慌てふためいたキョーコは、尖らせていた口を慌ててへの字に変えジュースのグラスを両手に持ち、しょぼんとしてしまった。


キョーコがもしも犬だったのなら、まるで「すきゅーん」と鼻をならす声が聞こえてきそうな程萎れてしまった姿…

そう、一昔前に流行ったCMに出てきた某小型犬のようなその姿に、奏江は「あああ、もう…っ!!」と心の中でがっくりと膝折れた。



「…別にそこまでじゃないから大丈夫よ。」

「ホント…?ホントに大丈夫…?」

「ええ、だからいつも通りのアンタでいて。じゃなきゃ調子狂っちゃうわ。」

「…良かったぁ」



途端に寄せていた眉が元の綺麗なアーチの形に戻り、ほにゃぁと表情筋が緩む。

ほわほわ花が舞ってそうなキョーコのその緩みきった表情に、奏江は今度こそがっくりと項垂れながら目の前のローテーブルにアイスコーヒーのグラスをゴツンと置いた。



「えっ、どうしたの?モー子さん。」

「……いえ、本当に東京に戻ってきたんだなあと思っただけよ…」


親友のほわほわのんびり全ての感情を体現する空気に触れて、奏江の張りつめていた気持ちがぼーんと緩んでいく。


京都での撮影は大御所達に囲まれて、常に気が休まらなかった。



時代劇の撮影自体は初めての経験ではないものの、主演も準主役クラスも、ひいては毎回のゲストでさえも奏江が目指している俳優女優陣と言う環境。

それは一流の女優を目指す奏江にとって、先輩達の演技に直に触れる事の出来る素晴らしいチャンスであったし、同時に自身を売り込むいい機会であった。


実際に準主役の石田えりにはとても懇意にしてもらい、女優としてやって行く為に必要なモノを実践を通して教えてもらっている。


そうして学ぶものの大きい現場はとてもありがたいのだが…それは同時に借りてるマンスリーへ引き上げた後はベッドへ直行コースが続く日々の連続とも言えた。


とにかく時間がもったいないと、メイクは移動のタクシーの中で落としてしまう。

シャワーを浴びて美容マスクを貼り付けたらベッドの上に台本と共に移動して、その日の先輩達の表現方法を反芻しながら自分に活かせるかどうかを眠ってしまうまで考える。


しかし最近は考える時間もなくベッドへ倒れ込んだら最後、すぅっと深い眠りに入ってしまうのだが。

自分の時間などほとんどなくなっていた。




まさに「疲労困憊」と言う言葉が似合う毎日。

それは心配性の親友からのメールもおざなりになってしまうわけで。

最終的にキョーコが社長に泣き付いて、社長直々に様子を見に来ると言う恐ろしい事態を招いてしまった。



(社長のあのド派手な登場も困ったけど、あの秘書のモノマネもそっくりすぎて怖かったわ…)



「モー子さん生きてる~っ!?メールが返ってこないから、本当に倒れてるんじゃないかって心配で心配でぇ~!」

口調だけはものすごくそっくりで、だけど表情の一切変わらない男の姿を思い出しただけで、奏江の身体はぶるっと震えた。


「モーッ!!!今晩電話しますから!私は大丈夫ですからーっ!!!」


普段の現場ではとてもおとなしい「イイコ」を演じてきた奏江だったが、さすがに仮面舞踏会を時代劇のセットの中に作られては「イイコ」でなんていられない。

思いっきり社長に向かって叫んでしまった。



(確かダークムーンの撮影をしてた時も、仮面舞踏会をセット内で開いてたって言ってたわね…社長のブームって巡るのかしら)


撮った作品は全てヒットし名監督の仲間入りを果たそうとしている緒方監督が、「撮影当時の話」としてLME社長乱入事件を披露したのはつい最近だ。

撮影現場で「君の所の社長さんって、本当に変わってるんだね…」と出演者から次々に声をかけられて、奏江は恥ずかしさから肩身の狭い思いをした。



「ねえねえ、本当に大丈夫…?」



また記憶の捜索に出掛けてしまった奏江の前には、気が付けばキョーコの顔が迫っていた。

視界にキョーコの鎖骨から上が入るような至近距離で「大丈夫」と口を開こうとした奏江のそれは、言葉として口から発せられることはなかった。


見つけてしまったのだ。キョーコの鎖骨の下、胸の膨らみへと続く肌に色濃く残されたキスマークを。


それは、カットソーギリギリのところで隠されていたらしい。

前かがみで覗き込んでいる今の体勢だから見えるのだ。



(あいつ…女優の肌に何て事を!)



普段襟ぐりの大きく開いた服を着ないキョーコを理解して、犯人は付けたのだろう。

こういう無防備な体勢を彼女が取る相手は限られている。


奏江や千織などの仲のいい女子や、おそらく社くらい…



(理解(わか)っててやってる所が性質悪いわよね)




紆余曲折を経てやっと両片想いを脱却できた親友の彼氏…『敦賀蓮』は、奏江が思っていた以上に心が狭かった。


以前、キョーコの17歳の誕生日の時に彼女の好みの物を贈り、自分以上に喜ばせた事についていまだねちねちと言われている。


「琴南さんはキョーコの誕生日だって知らなかったのに、あんなに喜ばれて良かったよね。」

春の陽だまりのような優しい笑み…と世間一般から称されるあの微笑みの裏には、実は嫉妬が隠されていたのだと奏江は気が付いた。

呆れかえりながらも「ええ、おかげさまで」とにっこり営業用スマイルで返す。


その様子を見ていた社は「蓮…大人げなさすぎ…」とげんなりし、キョーコはよく理解できていなかったがとりあえずぶるぶると震えていた。

後から「よくわからなかったけど、何だかものすごく寒かったの~!」と耳打ちされて、「それはアンタの彼氏が原因よ!」と突っ込みたくなったとか。


もう色々呆れ果てていて、奏江は何も言葉にできなかったのだけど。



とにかく、今日こんなに色濃く付けられていると言う事は、自分に向けてのメッセージである…と、奏江は捉えた。

だってあのキョーコが、大好きな親友に会える事を彼氏に報告しないわけがないのだから。


『キョーコは俺の物だよ』

恐ろしいほどの色気を湛えながら、にっこりと微笑む蓮の様子が簡単に想像できる。


したり顔の蓮を想像し、笑顔に隠されたあのとげとげとした空気を思い出し。

奏江は思わずため息を吐いた。



「えっ、モー子さん…?今日はもうやめとく…?」



目の前でいきなり溜息を吐かれたキョーコは、泣き出しそうな顔でオロオロとしていた。

奏江は口角を上げると、右手でキョーコの髪をくしゃくしゃと撫でる。



「何言ってんの。アンタには負けるかもしれないけど、私だって案外タフなのよ?余計な気遣いは無用よ。」

「ホント?この後のお買い物も一緒に行ける…?」

「勿論。アイス食べんでしょ?」

「うんっ、新作が出てたって天宮さんが教えてくれたの!」



今にも泣き出しそうだった顔にぱあっと笑顔が戻る。

目じりに溜まっていた涙の粒は、その笑顔と共に散って行った。


それを見ていた奏江は栗色の髪をくしゃくしゃにした手をどかして、ゆっくりとキョーコに問いかけた。



「…ねえ、キョーコ。」

「ほぇ?」

「私、アンタとアイス食べに行けるの楽しみだわ。」

「…へ?」

「一緒に買い物に行けるのも、お揃いの服を着れるのも楽しみだわ。」

「えっ!?お揃いの服着てくれるの!?」

「フリフリとかリボン大量なのは嫌よ!?私でも着れるようなシンプルなのにしてよ!?」

「うんうん!分かった~っ!!」



普段「お揃いの服なんて、バカのつく人種のやる事よ!」と言い切る奏江の珍しいお誘いに、キョーコは「キャ~!!」と舞い上がっている。


ずずっと残りのウーロン茶を飲みきると、奏江は「さてと…」と鞄に手をかけた。



「…ねえ、キョーコ。私、アンタと友達になれて良かったと思うわ。」

「うん!私も良かったと思ってるよ!」

「私達の友情って、永遠よね?」

「勿論!!私とモーコさんの友情は一生モノなの~っ!!…はっ!いえいえ、生まれ変わっても親友よ!その場合って一生モノじゃなくて二生モノ!?」



「何て言ったらいいのかしら~!?」とはしゃぐキョーコの様子を見ながら、ニヤリ…と奏江は笑った。





――― そうよ。女の友情は永遠なの。

恋愛みたいに簡単に終わりは来ない。


アンタが有名過ぎてなかなかキョーコと一緒にできない事が、私には簡単に出来る。

異性ならペアルック止まりだけど、同性なら同じものを着る事も出来るわ。


敦賀蓮、アンタと私は違うのよ ―――




「キョーコ!いつまで騒いでんの、さっさと買い物行くわよ!?」

「あっ、待ってモー子さん!今行く今行く~っ!!」



既にさっさと奏江は席を立ち、部屋のドアを開けていた。

はしゃいで自分の妄想小部屋へ片足を踏み入れていたキョーコは、慌てて自分のリュックを背負う。

「忘れ物ないかしら」とあたりをくるくる回りながら確認する姿を見ながら、自分の心の狭さも大概ね…と冷静に突っ込みを入れつつも、奏江は現在仕事中であろう親友の彼氏に、心の中でにっこりと宣言した。







アンタには まだまだ負けないわよ ―――








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たまには蓮キョからちょっと離れたストーリーもOK…?

まあ、書き方忘れてる感じがするので、ホントリハビリみたいなものです^^;


キョーコを挟んでブリザードを周りに散らす蓮とモー子さんとか大好きです!

蓮キョ成立したら、きっとキョーコの取り合いになると思うんだよねw

取りあったらいい、取り合ったらいい( ´艸`)

そしてそのとばっちりを受けるのはきっと社兄さんなんだからwww←





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