おはようございます、マックです。
本当は拍手御礼記事のおまけに付けようと思っていた小ネタだったのですが…
最終話の拍手数を見て、震える手を叱咤しながら小ネタから1話のおまけ話に昇格させました。
み、皆様花婿を気にしてくださってありがとうございます…!!m(__)m
こちら、「続き妄想」と言う分野でございます。
単行本になるまでチラリともネタバレしたくない方は、どうぞ避けてお通りくださいませ。
『アイノユメ』本編を読んでいないと話は繋がりません。
「Act.202でキョーコが幕を持ったまま、蓮との恋愛の舞台へ上がらずに映画がクランクアップ・ヒール兄妹解散」と言う if 設定となります。
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応接セットにソファーが追加されて私達もティータイムに加わり、今日の舞台裏をみんなから聞いていた時。
ひとつの疑問が生じた。
「あの…ところで、結局私は誰と結婚することになっていたのでしょうか?」
「そう言えば、俺も聞いていませんよ?社長。」
「あ、私もだわ…」
「あれ?蓮ちゃんには伝えてなかったかしら?」
「私も聞いてませんよ。」
次々に上がる声に、ミューズは何だか知ってるそぶりの発言。
そうか、ミューズは式場でスタッフさんと一緒にいたから聞いてない筈がないものね。
「わたくしも聞いておりませんわ!おじい様、一体どなたに大事なお姉様の『花婿』役をお願いしたんですの!?」
マリアちゃんが社長に詰め寄る様に向かっていった時、バタン!と大きな音を響かせて白いタキシードを着た社さんが駆け込んできた。
「社長~~~っ!!俺は一体いつまで待機なんでしょうか!?」
「「「っ、社さん!?」」」
泣きながら応接セットまで走り込んでくる社さんを見て、社長さんは「あれっ?」と声を上げて背後に立つ付き人さんに問い掛けた。
「俺、撤収指示出してなかったか?」
「はい。出されておりませんね。」
「おお、そうだったか!すまん社!」
「じゃぢょ~~~っ!」
すまんって……それは社さんも泣いちゃうわよね。
だばだば涙を流す社さんを落ち着かせるべく、私達は少しずつ詰めて座れる場所を確保し、付き人さんが追加で用意してくれたティーセットで社さんを迎え入れた。
社さんの今日のお仕事は、午前中出社して敦賀さんのスケジュールの調整。
午後から敦賀さんと撮影に…と言う話になっていたらしい。
だけど、出社してみたら突然社長さんに捕まり「社…蓮が幸せになれば、お前も楽できると思わないか?」と問われ…
思わず「はい」と答えたら、あっという間に式場へさらわれていたそうな。
「いきなりタキシードとか着せられて、でも蓮の為になるとか言われて…でもいつまで経っても誰も控え室に呼びに来ないし、俺は一体どうしたらいいのかわからなくて……」
「ごめんね~!社くんのことすっかり忘れてたわぁ~。」
笑いながらクッキーを差し出すミューズ。
対面に座っていた社長も笑ってるけど…それってどうなの?
思わずジト目で見てしまうわ。
「何せ主役の最上くんが姿を消したと連絡が入ってなぁ。それじゃドッキリが成功しないから、スタッフ総出で探していたんだよ。」
………ん?私??
「ねー!本来だったら挙式が始まってから、蓮ちゃんがさらって行く予定だったのに。その前にキョーコちゃんが逃げ出すなんて想像してなかったのよー。」
「まあ、最上くんはいつも我々の想像の斜め上を行く子なんだから、逃走も視野に入れておくべきだったんだが…」
「でもあのパニエとドレスの重量で逃げるなんて、キョーコちゃん本当に力持ちよねぇ。」
あははうふふと笑ってらっしゃるんですけど…
社さんが忘れられたのは私のせい…ってことですよねこれ!
さあぁっと頭のてっぺんから血が引いていくのがわかった。
慌ててソファーから飛び上がり、社さんの座る横へスライディングで土下座する。
「もっっ、申し訳ございませんでしたあぁぁ~~~っっっ!!!」
「キっ、キョーコちゃん!?」
「私めが逃げなどしなければ、社さんが忘れられることもなかったのでございますぅ~~~っ!!」
そうよーっ!
私が逃げさえしなければ、社さんはもっと早くに不安から解放されていたのに…!!
私ったら何てことをっ!!
土下座なんかじゃ足りないわ!床と今すぐ同化しなければっっ!!
だけど、社さんはソファーから腰を下ろして頭を撫でてくれた。
「キョーコちゃん…頭を上げて?」
「いえいえ、頭を高くなど出来ません…!」
「あのね?蓮とキョーコちゃんが幸せになる為のお手伝いが出来たのならば、俺はすごく嬉しいよ?だからそんな謝らないで?」
「…お、怒らないんですか?」
「勿論!久し振りにのんびりする時間をもらったと思えば、むしろ俺がキョーコちゃんに感謝しなくちゃ。……蓮と幸せになってね?」
顔を上げると「ねっ?」と首を傾げてにっこり笑ってくれる社さん。
本当に、社さんは優しいなぁ…
敦賀さんの鬼のようなスケジュールもきっちり管理して、細やかな気配りも出来て。
時々、女子高生みたいにキャーキャーはしゃぐのはやめてほしいけど。
あ、機械クラッシャーなのもちょっと困りものだけど。
社さんて、本当に素敵なお兄さんよねぇ……
「……はい…」
そう思ったら、恥ずかしさよりも先に素直に返事が出た。
社さんは「ん。」と笑って、優しく髪を撫でてくれる。
嬉しいなぁ、こんな素敵なお兄さんに見守ってもらえるだなんて。
「社さんのお嫁さんになる人は幸せですね~。だってこんなに花婿衣裳が似合ってる人なんていませんよ…」
「それを言ったら、きっとキョーコちゃんの花嫁さんも素敵だったんだと思うよ?見てみたかったな~!」
「ドレスが本当に素敵だったんですよ!社さんが花婿さんだってわかってたら、見てもらいたかったかも…素敵です。」
ほにゃりと笑うと社さんも一緒にほにゃりと笑ってくれる。
ほわほわにへらと穏やかで温かな空気が二人を包んで、本当に「お兄ちゃん」がいたらこんな感じなのかも…とあったかな気持ちになった時………
隣から地鳴りが聞こえてきそうな程どす黒いオーラが流れてきた…!
社さんと二人でハッとそちらを見ると、にっこり笑っているはずなのに、いつものキュラキュラ笑顔なのに纏っているオーラがおかしい敦賀さんがそこにいた。
思わず社さんと「ひいいぃぃぃ!!!」と抱き合って震えてしまったわ。
そしたら余計にもっとオーラがどす黒く轟々と燃えだして、更に体の震えが止まらない…!
「社さん、良かったじゃないですか…「花婿衣裳がそんなに似合う人」はいないらしいですよ…?」
「ひいっ!!蓮!それはきっと「一般人なら」って言葉が省略されてると思うぞ!」
「そっ、そうそう!」
「でも最上さんは「素敵です」って言いましたよ?」
「それは言葉のあやだろうが~~~っ!!」
「言われましたよね社さん…?」
「もう許してえぇーーーっっ!!!」
「つっ、敦賀さん…っ!!」
真っ青になりながら私の隣で土下座しだした社さん。
ううっ、私の発言のせいなのねー!?
慌てて膝立ちになると、社さんの隣に座っていた敦賀さんの膝に慌てて手を置いて敦賀さんを止めに入った。
「えっと、えーっと…つ、敦賀さんは花婿衣裳も絶対似合うと思います…」
「…本当?」
「はっ、はい!勿論!!絶対に素敵です!」
「本当に…?」
「素敵じゃないわけがありません!だって、敦賀さんですからっ!!」
「そっか…」
好きな人を褒めるのってこんなにドキドキする事だと思わなくて、凄く恥ずかしかったけど。
必死で何とか言葉を絞り出していったら敦賀さんの怒りは徐々に治まって、代わりに頬が少しだけ赤くなった。
…あら、ちょっと可愛い……
なんて思ったけど、次の敦賀さんの言葉で、その考えは正しくなかった事に気が付いた。
「ねえ、最上さん。3年なんて長いと思わない?」
「はい?」
「今すぐ俺のタキシード姿、見たいと思わない?」
「はい…!?」
「そんなわけで社長。今年中に結婚はできませんか?」
「そりゃ無理に決まってるだろ。3年はちゃんと二人で恋愛しろ。」
「結婚から始まる恋愛もいいと思いませんか?」
「そりゃ最上くんに聞け。」
「蓮様とお姉様の結婚式でしたら、わたくし今すぐ見たいですわ!」
「ありがとうマリアちゃん。最上さんのドレス姿素敵だったよ?」
「そうなんですの?!今すぐ見たくて仕方がありませんわ~っ!!」
「あら、また着付けし直すくらいは簡単よ?」
「テンさんお願いしますわ!今すぐに!ついでにそのまま式場へ戻りましょう!」
また似非紳士スマイルに戻った敦賀さんは社長によくわからないお願い事を始めたけど、社長さんはさらっとスルーしてくたさったわ。
でもマリアちゃんとミューズが乗り気になっていって…
私達完全置き去り。
きゃいきゃいはしゃぎながら、敦賀さんの車に乗せて来ているドレスを取りに向かってしまったわ…
好きな人と幸せになれるって、本当に素晴らしいことだと思うのだけど………
本当に私は3年後に結婚できるのかしら?
何だか早まりそうな予感しかしないのだけど。
こればっかりは わからないわ―――――――
*おわり*
←花婿役はたとえ誰が任されていても不憫ENDしかないと思う。
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と言うわけで、正解は社さんでした。それも不憫ENDw←笑っちゃった
ハルカさんは花婿誰も設定していなかったのですが、マックは書き始める時既に社さんしか頭になかったです。
きょこたんに褒められて、敦賀さんに睨まれる真っ青やっしー。
しかも、大役任されてるのに何も知らされず放置プレイ。
大好きだからいじめたくなる何かがやっしーにはあるのです…!←
って、あの拍手数見ると本当にこのオチでご納得いただけたかが不安です…(´・ω・`)
でも本当にありがとうございます!やる気につながりましたー!
スキビ☆ランキング ←いつもありがとうございますm(__)m
