こんばんはー!マックです。
いやー、最後が長くなっちゃって全9話になりました。
これでもマックにしては珍しく短い方です(`・ω・´)キリ←
こちら、「続き妄想」と言う分野でございます。
単行本になるまでチラリともネタバレしたくない方は、どうぞ避けてお通りくださいませ。
「Act.202でキョーコが幕を持ったまま、蓮との恋愛の舞台へ上がらずに映画がクランクアップ・ヒール兄妹解散」と言う if 設定となります。
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敦賀さんの車に乗って事務所へ向かう道すがら、私は今回のことについてのすべてを敦賀さんに吐かせた。
敦賀さんにも、私と同じ質問をした社長さん。
私とは違って『舞台に立つ』ことを選んだ敦賀さんに対して、社長さんが協力を申し出たこと。
モー子さんも天宮さんも、付人さんもミューズも式場スタッフの皆さんも。
みんながみんな、協力者であったこと―――
「琴南さんの家でニュース流れたろう?あれも事前に用意していたらしいよ。式場も最上さんなら「結婚式と言ったらジューンブライドでしょう!」って考えてるだろうからって、6月にこだわって押さえたらしいし…
ドレスも最上さんのサイズを知る為に、セツカ時代のうちにテンさんがビスチェとか色々着せていただろう?……」
信じられない…!
ニュースを作るとか式場を借りるとか……
人を騙すためにそこまでするわけ!?
私が今日見たものや悩んできたことが全部嘘だったとわかって、ホッとしたのもあるけれど…
だけど、それ以上に腹が立った。
私が今日をどんな思いで過ごしてきたか……
全部、社長さんの思惑通りだったって言うの!?
腿の上で握りこんだ拳がギリ…っと音をたてる。
敦賀さんの車はするりと事務所の駐車場へと入ると、定位置とおぼしき場所へ向かう。
バックミラーのみの確認でスムーズに車を停めると、敦賀さんはこちらを見てきた。
「……怒ってる、よね…」
「当然です。」
「うん、だよね…ごめん、最上さん…」
固く握った拳の上に、敦賀さんの大きな手がそっと添えられる。
大きな敦賀さんの手は温かく、柔らかく包み込んでくれるけど―――
だからって、許せることではないわ。
私は敦賀さんの方を見ることが出来ない。
今敦賀さんと目が合ってしまったら……怒りと安堵とでぐちゃぐちゃな私は、何を言い出すかわからない。
きっと、きっと。失望されるわ………
「………」
「……………」
車内に重い沈黙が続く。
小さくため息を吐いた敦賀さんは、私の手の上に置いていた手に力を入れて、ぎゅっと強く握り締めた。
「……本当にごめん。だけど…これだけはわかってほしい。
君には、どんな手段を使ってでも俺との恋愛の舞台に上がってほしかった。今はただの先輩後輩でも、必ず振り向かせてみせるから……必ず、好きにさせるから………」
見なくても、声だけでわかる。
敦賀さん…きっと今、すごく真剣な目をしてるんだわ。
その気持ちはとっても嬉しい。
気持ちを受け入れてもらえることがこんなに嬉しくて幸せな気持ちになれるって。
痛みすら愛しく感じる瞬間があるって。
ほんの数時間前に敦賀さんが教えてくれた。
だけど……
やっぱり今日のことは許せないわ―――
敦賀さんの手に包まれた自分の拳をじっと見つめていると、敦賀さんはそっと手を離し「…じゃあ、社長の所へ行こうか」と車を降りた。
助手席側までさっと移動してくるとドアを開け、動かない私の頭をゆるゆると撫でてくれる。
そのスマートな動作と優しさに、そしてふわりと車内から出ていってしまう敦賀さんの香りに。
私の胸はまたきゅうっと締め付けられるような切なさを感じた。
……そうだわ。
これ、敦賀さんだけが仕組んだことじゃないんだもの。
敦賀さんに当たっても、仕方がないわよね――
今度は私が小さくため息を吐き、ゆっくりと車から片方ずつ足を下ろした。
←いざいかん、ラスボスのもとへ!←
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もうここまで来たら何も言うまいw