おはようございます、マックです!

昨日UPしたお話しに吟千代さんがイラストを描いてくださいました…!!

ので、文章を一部ちょこっと直して再UPでございます。



こんばんは、マックです。

今夜は宣言通り、捧げ物のお話しですー。


あれはいつだったか… 吟千代さん の記事(吟千代さんの食卓事情なお話しなので、リンクはTOPへ!)をふと見て「これは蓮キョネタにいかがですか?」と、トークにて即席妄想劇場を披露したマック。

超ロングトークで大迷惑←

しかし、そんなマックに優しく「それいいです!面白いです!」と仰ってくださった女神、吟千代さん。

ありがとうございます、マックはそんな優しさに生かされておりますm(__)m


そして今回、許可を頂きましてそれをSSに仕上げてしまいました。


蓮キョは成立後・同棲設定です。

そして不憫蓮&社です。

苦手な方はご注意を☆




゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆ 『とんだとばっちり。』 ゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆





単身で暮らすには少し広いリビングの空気が、5月の爽やかな朝の風で清々しさを取り戻していく。

職業柄なかなか家にいられない彼だが、春と言うには少し暑く、初夏と言うにはまだ少し早そうなこの季節。
時間があれば窓を開けて、空気の入れ換えを行っていた。


(…そろそろ迎えが来るかな?)


今朝一番の現場は社のアパートに近い為、蓮が迎えに来てくれる事になっていた。
壁に掛けた時計を見ながら、背広を羽織った社は窓を閉め、カーテンを閉め。部屋の明かりを消した。

今夜も帰宅は午前様の予定だ。
心地よい空気に切り替わった自分の寛ぎスペースに、「行ってきます」と小さく呟く。

そうして玄関のドアを開けると、ちょうど目の前の路地に見慣れたポルシェが停まるのが見えた。
約束の時間よりもまだ5分早いはず、社は慌てて鍵を閉めて階段を駆け下りる。


「おはよう蓮。さすがだな、まだ約束の時間の5分前だぞ?」
「おはようございます、社さん。早すぎましたか?」


新緑の季節の爽やかさが、今の若手俳優の中では一番似合う男。
助手席に乗り込みながら、社は担当俳優の新たな売り出し方を考える。


甘やかな微笑み、柔らかくなった表情。

以前から『春の日溜まりのような』と評されてきた男は、恋人と同棲が始まってから更に春か似合う甘い表情になった気がする。


……頭も万年春のポカポカ陽気状態だが。


それでもゴシップ誌に悪く書かれる事がないのは、ひとえに事務所社長のお陰だろう。
時に鬱陶しい程愛の素晴らしさを唱える彼に、社は感謝したくなる。


(でもな、蓮…もうちょっと自分でもセーブしてくれよ!?)


堂々と交際宣言をしているからと言って、デレデレと彼女自慢をしていいわけではない。
世間様には緩みきったその顔を、何とか春の暖かく爽やかなイメージに重ね合わせてもらって『敦賀蓮』のイメージ悪化を阻止しなくては…

蓮の『キョーコ自慢』はそれほど凄かった。


「いや、そんな事ないけどさ。」
「じゃあ行きましょう。最初は緑ヶ丘のスタジオでしたよね?」
「ああ、頼む。」


静かに走り出した車のバックミラーを見て、ファンや近所の住民がいなかったかチェックする。

たまにあるこの送り迎えから、自分が蓮のマネージャーである事がバレたりすると、そこから蓮に、果てはキョーコにまで迷惑がかかるかもしれない。

彼らを支える立場の自分が彼らに迷惑をかけてはいけない。
誰もいなかった事を確認し、ほっとした社はふと、後部座席にでんっと居座る物体に気が付いた。


それは、紫色の地に沫桃色の桜の花びらが印象的な風呂敷に包まれた四角い何か。
以前キョーコが差し入れを作ってくれた時、これくらいの大きさのお重が似たような風呂敷に包まれていた事を考えると、今回の中身もお重だろう。

おおっ!と思いながら、蓮に話しかける。


「蓮、キョーコちゃんとやっと完全に仲直りできたのか?」


実は先週現場入りする前、どーんと落ち込んだ蓮とぷりぷり口を尖らせたままのキョーコと言う、何とも気まずい空気を漂わせた二人と乗車する機会があったのだ。
一目で喧嘩したとわかった社は、兄貴分として二人の仲裁に入ろうとしたのだが。
キョーコから『これは二人の問題です!』と、ピシャリと撥ね付けられていたのだ。

その後しばらく蓮は何事もなかったかのように振る舞っていたが、今日の笑顔完全復活とキョーコの差し入れらしきお重に、やっと仲直りできたのかと思ったのだが。
突然車にGが掛かり、社はぎゃっと小さな悲鳴を上げた。


「なっ、蓮!何してるんだよ!!」
「あっ…す、すみません…」


うっかりブレーキを踏み込んでしまったらしい蓮は、後続車がなかった事で何事もなかったかのようにまたするりと運転を再開し、申し訳なさそうにちらりと社を見る。
確か先週も気まずい車内でこんなやり取りを交わさなかったか…?と思いながら、社ははあと溜め息を吐いた。


「何だよ…まだ喧嘩中なのか?」
「いえ、許してもらったんですが…って、あ。」


喧嘩の理由すらキョーコが『言わないでくださいよ!?』と怒っていた為に聞けていなかった社だが、どうやら蓮がキョーコを怒らせた事に間違いはなさそうだ。
うっかり口を滑らせましたとばかりに口元に手をやった蓮を見て、社はやれやれと再び溜め息を吐く。


「全く…喧嘩するほど仲が良いって言うから何も言わないけどさぁ。お兄ちゃんとしては、君達二人仲良くしてて欲しいわけよ。」


自分の胃の為に―――と付け加えたくなるのをぐっと堪え兄貴分ぶると、今度は蓮が溜め息をひとつ吐いてポツポツと喋り出した。



**



「キョーコ…最近ダイエットしてるの?」
「え、いえ…?どうしてですか?」
「いや、最近食卓が随分緑色だなと思って…」


シャワーで汗を流した後キョーコと食事を摂るべくダイニングへと来た蓮は、最近感じていた疑問をふとぶつけてみた。


ここ1週間ほど、敦賀邸は葉物野菜が中心の食卓になっていた。

現に本日の献立も、蒸し鶏の下に水菜が敷き詰められ、キョーコ特製塩糀ソースがかけられている。
副菜の小鉢は桜えびが散った小松菜の煮浸しにセロリの浅漬け、ミニボウルにはトマトがアクセントになったアスパラガスのグリーンサラダが盛られている。
ついでに言えば、味噌汁もホウレン草で緑色だ。

全てが蓮用にと少なめに盛られてはいるものの、1週間も野菜中心の食事が続くと彼女に何かあったのかと不安にもなる。

トレーから皿を下ろしていたキョーコは、きょとんとした表情で蓮の不安を否定した。


「別に今はダイエットしなきゃいけないような役はきてないですが。」
「そう?ならもっと肉や魚多くてもいいんじゃないかな?キョーコは華奢なんだから、もっといっぱい肉を食べてふっくらしても問題ないとおも…」


ダイエットしていないのであれば、ぜひキョーコ自身の体調を優先に献立を作って欲しい。

女性にしてはかなり体力のある彼女だが、それでも仕事を精力的にこなし、プライベートでも家事は怠らずに休みの日も精力的に出掛けている。
そして、夜の営みもしっかり蓮に付き合ってくれる上に、反応すべてが可愛いものだから…つい気を失うその瞬間まで頑張らせてしまう。

最近特に、映画とドラマの撮影が重なって多忙を極めていたはずのキョーコが心配なのだ。

そのつもりで発した言葉なのだが、気が付いた時にはキョーコの笑顔が自分もよくやる胡散臭い笑みに変わっており…
その裏に隠された怒りの波動をしっかりと受け取った蓮は、言葉も動きも止まってしまった。


「それは…お肉を食べて、胸をもっと大きくしろと言うことなんですか?」
「い、いや!そうじゃないよ!?キョーコの胸は俺が育てるから食事は関係なくて…」
「何ですって!?」
「いや!キョーコの胸は綺麗な形だよ!!手にすっぽり収まってちょうどいい大きさなんだ…」
「はあぁ!!??」


こめかみにピクピクと青筋が立つのを見て慌てて弁解するも―――

まるで逆効果。
と言うより、弁解にならない蓮の言葉選びのミスが重なって、機嫌はどんどん急降下。

何よりも胸が小さい事を気にしていた為に、蓮の言葉を湾曲して受け取ったキョーコの怒りは臨界点を突破した。


「どーせ、私の胸はちいさいわよーっっ!!!」
「キョーコ!違うんだ…」
「敦賀さんなんて知りません!」


ガチャガチャと皿をトレーに戻したキョーコは、涙目で蓮をキッと睨み付け…
制止の為に片手を伸ばした蓮にふんっ!!と背を向け、ピシリと言い放った。


こぶたのヒトリゴト。


「お預けです!!!」



**



「…と言う事があったんです。」
「………お前、いつものフェミニストはどうしたんだよ?」
「別に、俺はフェミニストなんかじゃないですよ。」
「嘘つけ……」


そりゃ確かにキョーコちゃん怒るよ!と、突っ込みたいのは山々なのだが…
普段、共演者の乙女心を無駄にさらう事は得意なくせに、何故肝心のキョーコに向けてはこううまく言えないものか。


(まぁ、仕方がないのかな…何せこんな百戦錬磨な顔しておいて、キョーコちゃんが初恋だし…)


じとっと蓮の顔を見ていると、「ホント反省はしていますよ…」とぷいっとそっぽを向く蓮の素振りが、少し子供っぽくてホッとする。

どこか達観したところがあり、歳上のはずの自分よりもずっと大人な蓮だが、キョーコが絡むと話は別。
作り物のように完璧だった蓮が、急に年相応の青臭さを見せてくれ、どこか近寄りがたかった存在をぐっと身近に感じられる。
そのお陰なのか、交際宣言を堂々としているにも関わらず、蓮の人気は益々ヒートアップしている。

良くも悪くも、キョーコは蓮の『爆弾』なのだ。


「結局あの日は緑色のおかずは食べさせてもらえなくて、ご飯と梅干しだけだったんですから…」
「ハハハ…まぁ、現場へ差し入れ持たせてもらえる位に仲は回復したんだろ?だったら…」
「いえ、あれは俺達二人のお昼御飯です。」
「…は?」


良かったじゃないか―――

そう続けようとした言葉は口から出ることはなく。
バックミラー越しではなく、後部座席のお重の大きさを直接確認する社の姿があった。


「……あれ、お重だよな?弁当箱の大きさじゃないよな?」
「確かに入れ物はお重ですね。」
「あれ、何人分入ってるんだ?」
「中身はぎっちり詰まってますが、二人分と言われています。」
「……中身は何が入ってるんだ?」
「えっと……」


場合によっては、追加の胃薬が必要かもしれない。
社はごくりと生唾を飲み込みながら、蓮の返答を待った。


「…豚のしょうが焼きと、きんぴら…」
「うんうん。」
「と、餃子。」
「…は?」
「豚の角煮も入ってたかな?」
「え」
「魚は煮付けだった気がします。」
「えっ、えっ!?」
「ああ、ステーキはサイコロと厚切りの二種類入っています。」
「はあぁ!?どうしてそんなに主菜ばっかりなんだよ!しかも茶色!!」


蓮の口から出てきたのは、いつも主菜副菜をバランスよく用意するキョーコらしからぬ内容で、社は信じられずに叫んでしまう。
すると蓮は、溜め息混じりに返答した。


「『私は肉を付けた方がいいんでしょう?』って事で、こう言うメニューなんです。俺、朝からステーキ食べさせられてるんですから…」
「あ、朝から……」
「ちなみに残さず食べてくるようにって言われてます。」


蓮の言葉に、社は身を乗り出して振り返り、再度お重の大きさを確認する。

あれはどう考えても二人分の大きさではない…
もしかしたら倍以上の人数でつついても、食べきれないだろう。


しかし、もしも残したら?

………間違いなく自分もキョーコに怒られる。


社は早くもキリキリと痛みだした鳩尾を摩りながら、蓮にポツリと漏らした。




「蓮……お願いだから痴話喧嘩に俺を巻き込まないでくれ………」



web拍手 by FC2 ←口は災いの元なのです!(きょこの微乳は絶対蓮さんのお気に入りでしょうけど)


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とばっちりばんざーい!←
ヤシロは不憫が似合います。


この度は吟千代さん本当にありがとうございました^^




スキビ☆ランキング ←超低空飛行ですがありがとうございます。