おはようございます、マックです。
努力の連続更新となりました!(←)
カクテルは飲むのは大好きだけど、うんちくどうこうよりもまずひたすら楽しんでのめればそれでOK!な女子力大暴落女なので(死活問題)、参加を諦めこちらに参加です。
今回のテーマで研究所はおしまいという事で、主催の皆様とりまとめお疲れ様でした。
お声をかけていただき、参加できた事心より感謝しております。
メロキュン具合は提出してきた中で最高に迷子ですが、一応頑張った形跡は…あるといいなorz
企画紹介 * 『蓮キョ☆メロキュン推進!ラブコラボ研究所』
テーマ企画第10弾 * 『卒論』
タイトル『またあした。が終わる今日』
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『かたり』と小さな音を立てて、キョーコ特製のプリンセス・ローザ専用寝所は小さな箱へと収められた。
緩衝材代わりのピンクの紙がカサカサ鳴るその箱は、色んな物が詰められた段ボール箱へとそっと下ろされる。
両手で抱えられる大きさの段ボール箱達は、その大半がすでに新居へと運び込まれている。
この部屋に残されているのは化粧品やここ数日の洋服と上着、必要最低限の物が詰められた数個のみだ。
プリンセス・ローザは、現在特番の撮影で使用していた事と寝所を入れるのにピッタリな大きさの箱が見つからなくて、直前まで部屋に残る事になったのだった。
(まさか大学生になったナツを再び演じる事になるなんて、あの時は思わなかったわよね…)
諸事情により、同年の友人より1年遅れてこの春高校を卒業したキョーコとは違い、ナツは大学生になり青春を謳歌していた。
そして、再びマルミー演じるちとせと出会い…
今回は特番という事もあり撮影期間は短かったが、穂奈美や友加と久し振りにつるむ事ができ、キョーコは楽しかった。
(丸山さんは相変わらず恐々って感じでちょっと困っちゃったけど…)
後輩達の使うラブミー部室以外で会うのが本当に久し振りだった千織も含め5人で屋台のラーメンを食べに行けた事は、ここ最近ずっと自身の年齢以上の役ばかりを演じていたキョーコからすると、背伸びをしなくてすむ時間をゆっくり持つことが出来て本当にリフレッシュになったのだ。
OL・ファッション雑誌のモデル・新人フライトアテンダント・新婦……
実年齢よりもずっと大人びたナツを演じて以降、キョーコに舞い込む仕事は20前半の年齢の物が多かった。
あくの強い役どころが多かったが、それでもキョーコの独自の役の解釈は現場に新たな風を呼び込み、キョーコが出演したドラマはどれも高評価を得た。
その評価により、今春初めて映画の主演のオファーが舞い込んだ。
そして高校卒業をきっかけに本格的に女優業に専念する事にしたキョーコは、長年お世話になっただるまやを出る事にしたのだ。
―――引っ越し先は、蓮の自宅。
「キョーコ?」
目の前の段ボールのふたを閉めたところで背後のドアが開き、ふわりと部屋の空気が動いた。
蓮が部屋へと入ってくる。
「あ、ごめんなさい敦賀さん。時間経ってました?」
「いや、そんな事はないけど…女将さんに「様子見てきてあげて」って言われてね。」
キョーコの隣に立つと蓮は、レースのカーテンから漏れるオレンジ色の夕日を眺めた。
そうしてゆっくりとキョーコの方を向く。
「考え事してた?」
「少し…」
「もしかして、同棲が嫌になった?」
「そ、そんな事あるわけないじゃないですか!」
「じゃあどうしたの?ちょっと難しい顔してた。」
「難しい顏、してました…?」
「うん。ここにしわ寄ってた跡がある。」
蓮はそう言って、キョーコの眉間をトントンと指先でつつく。
キョーコは蓮のその指先を捕まえると、きゅっと握って自分の胸元へと持っていった。
「ちょっと…色んな事があったなあって思って。」
「そうなの?」
「はい。このお部屋に来て…お二人に出会えて良かったなあって。」
ショータローとのマンションを解約してから、行く宛てないキョーコを何も聞かずに居候させてくれた、だるまやの大将と女将。
大将の言葉がなければ、きっと芸能界入りを諦めていただろう。
そうしたら……きっと『今の自分』はいなかった。
「本当に、感謝しているんです。」
「…寂しいんだね。」
「はい……」
蓮の指を握る手に力が入る。
人気が出始めた頃から何度か、二人に迷惑をかけないようにとだるまやを出る事を考えた事もあった。
蓮との秘密の交際が始まって何度か外泊が続くと、後ろめたさで申し訳なくなる事もあった。
しかしそれでも、キョーコの帰る場所はこの部屋だった。
この部屋が、だるまやが、キョーコの『家』だった。
「また遊びに来るといいよ。お二人とも、この部屋はそのまま残しておくと仰っていたし。」
「だい、じょうぶでしょうか…私なんかが来ても…」
「!こら、キョーコ。」
キョーコの言葉を受けて、蓮はキョーコの手を軽く払い、デコピンの指を作る。
振り払われた手の早さにビックリし、そしてデコピンの準備にビックリし。
キョーコは慌てて自分の額をペシン!と抑えた。
「また悪い癖。『私なんか』って言わないって約束だろう?」
「う〝…すみません。」
「君って子は…お二人とも、君の事を実の娘のように可愛がってくれてるんだ。もっと自信を持っていいんだよ?」
「…本当?」
「うん、俺なんて大将に「泣かせたら承知しないぞ」って散々怒られてるんだからね?」
「え、そうなんですか?」
「そうなんですよ?」
いつもむすりとした大将の意外な言葉を聞かされて、キョーコの手は思わずと言った形で額から離れた。
外泊が続いた後、「君の親みたいな方なのだから」と挨拶に来てくれた蓮は、きっと何度もこの言葉を大将から聞かされていたのであろう。
それを思うと、大将の口には出さない自分への深い想いが、蓮の全てを包んでくれる優しさが。
キョーコの心にさあっと風を送り込んだ気がした。
「だからね?キョーコは今以上に幸せになって、その姿をお二人に見せてあげよう?」
「…それって、まるで嫁ぎに行くみたいなんですけど…」
「別にこれを機に結婚でも良かったんだけどね、それはキョーコに断られちゃったから。」
「だ、だって!それは気が早すぎるんですってば!」
実は今回の同棲を持ち掛けるにあたって、蓮からプロポーズされていた。
だけど、まだ19になったばかりのキョーコには、まだまだこれから色んな仕事のオファーが舞い込んでくる。
高校卒業後は女優業に専念すると決めていたキョーコは、その求婚を断っていたのだ。
「俳優としてはまだまだ敦賀さんの隣に立てるだけの実力がありませんし、『最上キョーコ』作りはまだまだですし…」
「キョーコは言い出したらそれを絶対に曲げないしね…待ちますよ、俺はいくらでも。」
クスクスと笑いながら、蓮は額から外れたキョーコの手を取り、さっと掠めるだけのキスを唇に落とした。
「ごめんね、俺はそろそろ次の仕事があるから行くけど…明日はうちで、会おうね。」
「はい、お時間作っていただいてありがとうございました。」
「いえいえ、お二人にはきちんとご挨拶しないとって思ってたしね。じゃあ、また明日ね?」
「はい。またあし…」
部屋を出ようとドアまで向かった蓮にかけたキョーコの声が、途中で止まってしまう。
気になった蓮はふと足を止め、キョーコの方を見た。
「?キョーコ…?」
「あ、いえ…明日からは、1日の終わりの挨拶が『また明日』じゃなくて『おやすみなさい』に変わるんだなって思ったら、ちょっと嬉しいかもって思って…って、きゃっ!!」
ほわりと頬を染めて可愛らしい事を言うキョーコが愛おしくて、蓮はさっとキョーコの元へと戻るとぎゅうぎゅうと強く抱きしめた。
「そうだね、明日からは『おやすみ』になるんだね。」
「敦賀さんくるしい…」
「ごめんね?キョーコがあんまり可愛い事言うもんだからつい…俺も嬉しいよ。」
ぽかぽかと背中を叩いて抗議の意を示すキョーコに、蓮はほにゃりと崩れた笑みを隠せない。
腕の力を緩めると、キョーコの顔を両手で包んで上に向けさせ、そのままそっとお願い事をする。
「もう今日でおしまいなんだ。『また明日』って言うキョーコ、たくさん見せて?」
「な、何ですかそれは…もうお仕事行かないと…」
「ね?言って…?」
「う……もう、敦賀さんったら…………『また、あした』…」
「…うん、もっと、言って…」
頬をぽぽぽと朱に染めながらも蓮のお願い事を小さな声で恥ずかしそうに叶えるキョーコに、蓮の心はふわりと温かくなり、嬉しくなる。
小さくぽてっとした唇に柔らかなキスを落として、その感触とともに今日で終わる可愛い挨拶を繰り返すキョーコの姿を、蓮は何度も瞬きをする事で目に焼き付けようとした。
『また明日』が終わったら、それは新しい幸せの扉が開く予感―――
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気分転換で久しぶりに聞いたもっちーの声がハスキーで素敵だったのです。
元ネタは曲のワンフレーズ(タイトルはちょっともじりました)
「ずっと一緒にいれたらいいね」ええ、まさにその通り!
メロキュンの皆様、お疲れ様でしたm(__)m
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