※この話は、夜はホステスな才女きょこたんと、同じく夜はホストの准教授蓮の組み合わせです。
完全パラレルです。
今回と次回はショータローが出てきます。
でも態度は悪いけど、そんなに悪くはない……と思う←どっち。
苦手な方はお気をつけくださいね。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
翌日、仕事が終わったキョーコは六本木に来ていた。
金髪碧眼の『クオン』と言うホストについてネットを使って調べたところ、六本木の『LME』に該当する人物が在籍していることがわかった。
写真などは一切出されていないが、この店のナンバーワンホスト。
ホストにしては珍しい名前だし、見た目も口コミと特徴が一致するから多分間違いないはず。
その店の『クオン』が蓮であると、キョーコは確信していた。
(それにしても変わった店よね?副業ホストがナンバーワンとか……)
ブツブツ言いながら、人通りの多いメインストリートから一本路地へと入る。
今日は仕事上がりと言うこともあって、ナツのメイクのままだ。
派手なナツメイクに合うように、首元と背中の大きく開いたラメ入りニットワンピースで大人っぽく仕上げてみた。
コートはブラックのファッションコート。
ピンヒールのニーハイブーツは、無駄な肉のついていないキョーコの脚線美を強調する。
でも、ナツでは蓮に会ったことがある。
何となく簡単には蓮に見つかりたくないキョーコは、ピンクのメッシュが入ったハニーブラウンのかつらも被った。
こうして見ると、本当に素の『最上キョーコ』とはまるで別人だった。
普段のキョーコの好みは可愛い系の洋服。
クラブに遊びに行くような格好ではない為に、昨日急遽買い物に行ってこのワンピースとかつらを選んだのだ。
(てっ、偵察よ偵察!別に先生がどこで何してようが勝手だけど、あれだけ人のことバカにしてくれたんだもの!その仕事っぷりをとくと拝見させてもらおうじゃないの…!!)
歩きながらぎゅっと拳を握っていると、2本目の路地に入ってすぐのところで目的のビルを発見した。
初めての場所に少々緊張しながらも、ビルの入り口へと入る。
1階に止まっていたエレベーターへとするりと乗り込むと、店の名前が書いてある階のボタンを押した。
すぅっとスムーズに上昇する箱は、ビルのメンテナンスが非常にいい証拠だろうか。
(そこら辺の雑居ビルより、ずっと綺麗……)
この手の店が入るビルにしては珍しい程清潔感も漂う、水色の壁紙と乳白色の照明。
目的の階へ着くのも早く、あっという間にキョーコをフロアーへと届けた。
すると、ホストに見送られる女の子達の話にキョーコは耳を奪われた。
「でもさぁ、今夜クオンが相手する『特別アフター』の子って誰だと思うー?」
「さぁー…またエリカ辺りが金積み上げてクオンに迫ったんじゃない?『一晩付き合いなさいよー!』とかね?」
「有り得るねー!エリカ超貢いでるもん。尚は知ってるの?」
「俺?アイツの事は知らねーよ。つか、俺の目の前で他のオトコの話よしてくんねー?」
「ゴメンゴメン、でもヤキモチ焼いてくれるなんてショーってば可愛い~!」
彼女達の話す『特別アフター』が何なのかも気になりはするが、見送りに出ていたホストの名前にそれ以上の驚きを感じ、振り返ってしまった。
「っ、ショータロー…!?」
「はっ!?何で俺の本名…って、おま、キョーコか!!」
下ばかりを向いていて気が付かなかったが、彼女達を見送りに出て来ていたのは、幼馴染みのショータローだった。
「? 尚、誰?」
「あ、いや。ただの知り合い。ごめん、またな。」
「うん、また遊びに来るねー。」
女の子達はキョーコをじろりと一瞥しつつ、エレベーターの扉を閉めた。
残された二人は、何から話せばいいのか判らずにただただ黙る。
それもそうだろう。
幼い頃から一緒に育ったショータローにキョーコは淡い気持ちを寄せていたが、それを高校生の時に否定された。
交際しているのかと問いただされたショータローが「あいつは兄妹みたいなもんで、邪魔な存在」と目の前で言ったのだ。
それ以来、キョーコもショータローも互いに近寄らなくなった。
そうしてキョーコは高校卒業と共に東京の大学へ進学し、ショータローも音楽で生計を立てる夢を叶える為に家出して行方を眩ましていた。
もうすれ違う事もないと思っていた人物との再会に、キョーコは言葉が出なかった。
「あ~、その…お前のお袋さん、元気か?」
沈黙を先に破ったのはショータロー。
「知らないわ。こっちに来てから連絡とったの、一度だけだから。」
「そうか…相変わらずだな、お前んとこ。」
「まあね。アンタだってどうなのよ、ミュージシャンになるって言って家出してたんじゃないの?」
「今はインディーズでやってるよ、もうすぐメジャーデビューさ。これは社長に言われてやってるバイト。」
そう言って両手をひらひらさせるショータローの格好は、シンプルなダークグレーのスーツに深紅のシャツ。
装飾品がスーツの高級感を損なうくらい過度に付いてるのは、彼がこのスーツを選んだからではないのだろう。
好みではないものを着させられる事に対する反抗心。
ショータローらしい、ささやかな反抗の仕方だとキョーコは思った。
「まぁ、お堅いお前が何でそんなカッコしてホストクラブなんか来てるか知らねーけど…入んな、一杯奢ってやるよ。」
黙って立っていると、ショータローはガラス張りの店のドアを開け、キョーコへ入るように促した。
まさかショータローと会うとは思わなかったが、今夜はどちらにしてもこの店に用事があった。
入るからには誰かを指名しないといけない。
なら、わかっている人間の方が気が楽だ。
相変わらずの不遜な態度に若干イラつきを覚えつつも、キョーコは開けられた扉をくぐった。
************
お風呂でお姉ちゃんに押されて溺れかけた息子さん、一晩ベッタリでした。
(勿論即助けましたよ)
そうだね、そうなるよね……
完全パラレルです。
今回と次回はショータローが出てきます。
でも態度は悪いけど、そんなに悪くはない……と思う←どっち。
苦手な方はお気をつけくださいね。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
翌日、仕事が終わったキョーコは六本木に来ていた。
金髪碧眼の『クオン』と言うホストについてネットを使って調べたところ、六本木の『LME』に該当する人物が在籍していることがわかった。
写真などは一切出されていないが、この店のナンバーワンホスト。
ホストにしては珍しい名前だし、見た目も口コミと特徴が一致するから多分間違いないはず。
その店の『クオン』が蓮であると、キョーコは確信していた。
(それにしても変わった店よね?副業ホストがナンバーワンとか……)
ブツブツ言いながら、人通りの多いメインストリートから一本路地へと入る。
今日は仕事上がりと言うこともあって、ナツのメイクのままだ。
派手なナツメイクに合うように、首元と背中の大きく開いたラメ入りニットワンピースで大人っぽく仕上げてみた。
コートはブラックのファッションコート。
ピンヒールのニーハイブーツは、無駄な肉のついていないキョーコの脚線美を強調する。
でも、ナツでは蓮に会ったことがある。
何となく簡単には蓮に見つかりたくないキョーコは、ピンクのメッシュが入ったハニーブラウンのかつらも被った。
こうして見ると、本当に素の『最上キョーコ』とはまるで別人だった。
普段のキョーコの好みは可愛い系の洋服。
クラブに遊びに行くような格好ではない為に、昨日急遽買い物に行ってこのワンピースとかつらを選んだのだ。
(てっ、偵察よ偵察!別に先生がどこで何してようが勝手だけど、あれだけ人のことバカにしてくれたんだもの!その仕事っぷりをとくと拝見させてもらおうじゃないの…!!)
歩きながらぎゅっと拳を握っていると、2本目の路地に入ってすぐのところで目的のビルを発見した。
初めての場所に少々緊張しながらも、ビルの入り口へと入る。
1階に止まっていたエレベーターへとするりと乗り込むと、店の名前が書いてある階のボタンを押した。
すぅっとスムーズに上昇する箱は、ビルのメンテナンスが非常にいい証拠だろうか。
(そこら辺の雑居ビルより、ずっと綺麗……)
この手の店が入るビルにしては珍しい程清潔感も漂う、水色の壁紙と乳白色の照明。
目的の階へ着くのも早く、あっという間にキョーコをフロアーへと届けた。
すると、ホストに見送られる女の子達の話にキョーコは耳を奪われた。
「でもさぁ、今夜クオンが相手する『特別アフター』の子って誰だと思うー?」
「さぁー…またエリカ辺りが金積み上げてクオンに迫ったんじゃない?『一晩付き合いなさいよー!』とかね?」
「有り得るねー!エリカ超貢いでるもん。尚は知ってるの?」
「俺?アイツの事は知らねーよ。つか、俺の目の前で他のオトコの話よしてくんねー?」
「ゴメンゴメン、でもヤキモチ焼いてくれるなんてショーってば可愛い~!」
彼女達の話す『特別アフター』が何なのかも気になりはするが、見送りに出ていたホストの名前にそれ以上の驚きを感じ、振り返ってしまった。
「っ、ショータロー…!?」
「はっ!?何で俺の本名…って、おま、キョーコか!!」
下ばかりを向いていて気が付かなかったが、彼女達を見送りに出て来ていたのは、幼馴染みのショータローだった。
「? 尚、誰?」
「あ、いや。ただの知り合い。ごめん、またな。」
「うん、また遊びに来るねー。」
女の子達はキョーコをじろりと一瞥しつつ、エレベーターの扉を閉めた。
残された二人は、何から話せばいいのか判らずにただただ黙る。
それもそうだろう。
幼い頃から一緒に育ったショータローにキョーコは淡い気持ちを寄せていたが、それを高校生の時に否定された。
交際しているのかと問いただされたショータローが「あいつは兄妹みたいなもんで、邪魔な存在」と目の前で言ったのだ。
それ以来、キョーコもショータローも互いに近寄らなくなった。
そうしてキョーコは高校卒業と共に東京の大学へ進学し、ショータローも音楽で生計を立てる夢を叶える為に家出して行方を眩ましていた。
もうすれ違う事もないと思っていた人物との再会に、キョーコは言葉が出なかった。
「あ~、その…お前のお袋さん、元気か?」
沈黙を先に破ったのはショータロー。
「知らないわ。こっちに来てから連絡とったの、一度だけだから。」
「そうか…相変わらずだな、お前んとこ。」
「まあね。アンタだってどうなのよ、ミュージシャンになるって言って家出してたんじゃないの?」
「今はインディーズでやってるよ、もうすぐメジャーデビューさ。これは社長に言われてやってるバイト。」
そう言って両手をひらひらさせるショータローの格好は、シンプルなダークグレーのスーツに深紅のシャツ。
装飾品がスーツの高級感を損なうくらい過度に付いてるのは、彼がこのスーツを選んだからではないのだろう。
好みではないものを着させられる事に対する反抗心。
ショータローらしい、ささやかな反抗の仕方だとキョーコは思った。
「まぁ、お堅いお前が何でそんなカッコしてホストクラブなんか来てるか知らねーけど…入んな、一杯奢ってやるよ。」
黙って立っていると、ショータローはガラス張りの店のドアを開け、キョーコへ入るように促した。
まさかショータローと会うとは思わなかったが、今夜はどちらにしてもこの店に用事があった。
入るからには誰かを指名しないといけない。
なら、わかっている人間の方が気が楽だ。
相変わらずの不遜な態度に若干イラつきを覚えつつも、キョーコは開けられた扉をくぐった。
************
お風呂でお姉ちゃんに押されて溺れかけた息子さん、一晩ベッタリでした。
(勿論即助けましたよ)
そうだね、そうなるよね……
