すみません、先週1週間ついに何も話更新しないという事態に…!
なのでちょろっと書き進めていたものを差し出してみます…
でろ甘めざして第二弾!
でろ…でろに甘やかしたい蓮様って事でw
※成立後・同棲設定。ついでに言えば坊バレ後w
゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆あまえんぼ。―かぜっぴきver.―゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
―――ぞくり。
坊の着ぐるみを脱いだキョーコは、背筋に悪寒を感じて身震いした。
(…うん、まだ大丈夫。まだ…)
ぶるぶると頭を振ると、着ぐるみの中にいたせいで汗をしっとりと吸っていたTシャツを脱ぎにかかる。
体をタオルで拭いて、下着を着替えると薄手のカットソーに手を伸ばしたその時。
《コンコン》と、控室の扉をノックされた。
「あ、はーい!少々お待ちください!」
慌ててカットソーに袖を通し、短いスカートを履き、ぱたぱたとドアのカギを外す。
廊下に立っていたのはキョーコの予想通り、コートを腕に掛けて持った蓮と社だった。
「お疲れ様キョーコちゃん!」
「お疲れ様、最上さん。」
「こんばんは、お疲れ様です。」
本当は付き合って1年が経っているのだけれど、まだ二人の交際は秘密にされている。
キョーコの『もっと敦賀さんと釣り合うだけの演技力と評価を頂いてからがいいです!』と言う言葉を、蓮が尊重して公表を待っているのだ。
だから今でも二人は、家の外では付き合う前のように『最上さん』『敦賀さん』と呼び合う、『仲のいい先輩後輩』の関係だ。
「押しかけちゃってごめんね~!」
「すみません、今着替えてる途中だったんです。」
「そっか、それは失礼したね。余所で待ってようか?」
「いえ、着替えは終わってもう片付けるだけですから。中で待っていてください。」
にっこり笑ってドアを大きく開くと、社が蓮の背中をポンと押し、先に部屋の中へと入れる。
そして周りを確認しながら社もするりと室内へと入ってきた。
優秀なマネージャーのこの気配りのおかげで、この1年二人は誰にも気づかれることなく交際を続けることができた。
数人を除いて、誰にも騒がれることなく愛を育める…蓮とキョーコにとってはこれ以上ない素晴らしい環境だ。
(数人とは勿論、クーやジュリ、ローリィ。そして社の事なのだが…)
「あとは坊を保管庫へ戻してくるだけですから、こちらでお待ちいただけますか?」
キョーコは慣れた手つきで、坊のずんぐりした体を大きな収納箱の中へと詰め込んでいく。
すると、そんなキョーコの様子をじっと見つめていた蓮に「ちょっと待って」と手を掴まれた。
「キョーコ、俺に隠してる事ない?」
「え…いえ、別に何も」
「嘘吐き。社さん、薬局へ行ってくれませんか?今からならまだ間に合いますよね。」
「お?蓮、どうしたんだ?」
突然お願い事を始めた蓮に、社は頭上にクエスションマークを付けたままその場から動こうとしない。
ふう、と蓮はため息をつきながら、キョーコの額にその大きな手を当てた。
「…いつから熱があったの?」
「えっ、熱あるの?キョーコちゃん。」
「朝出掛けに触れた時は、こんなに熱くなかったよね?」
「う…少し寒気はしてたけど、熱が出るとは思わなかったので……」
大きな手に優しく頭を撫でられて、キョーコはしょぼんと顔を落とす。
そんなキョーコの髪を軽く鋤きながら、体をそっと抱き寄せた。
「誰にだって調子の悪くなる時は来るさ。大事なのは明日以降に響かせないことだろう…?
と言うわけですので、社さん。解熱剤と冷え○たお願いします。」
「おう。じゃあ、蓮の車で待ち合わせでいいか?」
「ええ、お願いしますね。」
控え室の壁時計へと視線をちらりと走らせると、薬局の閉店時間が近かったのか、社はすぐに扉をくぐり、出ていってしまう。
社を目線で見送った蓮は「さて」と小さく息を吐くと、足元にあった坊入りの大きな箱を抱えた。
「さて、行こうか。保管庫はどこ?」
「え!?いいですよ、私行ってきますから…!」
「駄目。」
「だって敦賀さんが坊を持ってたら、みんな不思議がりますよ。」
「そこは大丈夫でしょう。『可愛い後輩が風邪を引いてるので、手伝っているんです』って言えば問題ないだろう?」
「でも……」
確かに、それなら問題はないかもしれない。
周りからは『仲のいい先輩後輩』の認識を持たれているのだから。
そうは思っても、普段から『自分の事は自分で!』が身に付いているキョーコ。
いきなり『はい、わかりました』とは素直になれない。
戸惑っていると、再び蓮の手がキョーコの頭の上に置かれた。
「キョーコ、具合が悪い時は『先輩』を足で使ったって誰も何も言わないよ。」
「『敦賀蓮』を足で使う後輩なんていません……」
熱のせいか少し赤い頬をぷぅ、と膨らませたキョーコに、蓮はぷっと吹き出した。
「俺に説教できる『後輩』は一人だけだから大丈夫。そんな特別な子、キョーコしかいない。」
「それって私、上下関係わかってないダメな『後輩』みたいじゃないですか…」
「どちらかと言うと、俺が駄目だから叱ってくれてるんだろう?」
「敦賀さんのダメなところなんて食事に関することくらいですよ。」
「キョーコ。」
何だか話がループになりそうだなとキョーコが感じた瞬間、蓮に名前を呼ばれて顔を上げた。
すると、驚くほどそばまで近づいていた蓮の瞳に囚われ、ぴくりと体の動きが止まる。
宝石にもありそうなその深い涅色は、キョーコの瞳を捕らえたまま細められ、ふと目蓋の下へと隠される。
綺麗な色………と蓮の瞳に見惚れているうちに、気がつけば唇を奪われていた。
「だ、めですよ。風邪うつっちゃう……」
「キョーコからもらえるものなら何でももらうよ?」
「風邪はだめです。」
唇が離れ、再び開いた瞳に写る自分を見ながら、キョーコは蓮の言葉に恥ずかしさを覚える。
ただでさえ熱で赤い頬が、更にかぁっと熱く、赤くなる。
蓮は坊の箱を近くにあった台車の上に乗せると、キョーコを再び抱き寄せた。
背中を優しく撫で、旋毛に何度も唇を押し付ける。
坊の中で汗をかいていたキョーコはその事をふと思い出すと、わたわたと蓮の腕の中で慌てはじめた。
「あ、私汗かいてるから臭いですよ。ダメです!」
「んん?全然気にするようなことないのに。キョーコはいつも甘いいい匂いがするよね。」
「またそんなこと言って…」
「だって本当の事だよ?一番いい匂いがするのはシてる時だったりするけど」
「あああああっ!何てこと言うんですかっ!!」
職場で何て破廉恥な発言を…!と本気でもがくけれど、蓮の逞しい腕は一向に力を緩めてくれる気配はない。
結局キョーコは諦めて、ぎゅう、と蓮の腰に腕を回した。
「そうそう、諦めて?いつもキョーコは頑張り過ぎなんだから、たまには俺に頼ってほしいよ?」
「でも坊持って行くくらいは出来ますもの…」
「保管庫へ行くまでの距離も、ちょっとしたデートと思えばいいんだよ。坊をだしにして、堂々と隣を歩けるんだから、俺は楽しいよ。」
「あ、なるほど…デート……」
最近忙しすぎて二人きりで外出する機会のなかったキョーコは『デート』と言う言葉にぽわんと心がときめいた。
そのキョーコの心の浮上を確認してから蓮は体を離し、キョーコの頭を何度も撫でた右手を差し出した。
「そ。だから行きましょう、御嬢さん。」
今日なら熱があるという言い訳がたつし、誰からも咎められないかもしれない……
キョーコは熱でふわふわとした体と心を、蓮の手に委ねる気持ちでそっと自分の右手を重ねた。
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あ、あれ。
なんだか書きたかった場面まで到達できませんでしたorz
(しかも糖度微妙;)
