こちら、ずっと前にチカさんから頂いたリク『子供にメロメロな蓮様が、幼稚園戦争に参戦する姿を見たい!』を形にしたシリーズです。

幼稚園戦争…まだまだ全然先の話になってますが、のんびり亀更新にお付き合いいただければと思います。

週1で更新していきたいと思ってます。





゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆My Sweet Home*Page6『それはまかせて』゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆








社長専用の応接室のソファーはすわり心地がいいよな…今度ソファーを買い換えようかな…などと、蓮は一瞬現実逃避をしたくなる。


それも仕方のない事。

社長に呼ばれてやってきた蓮とキョーコの前には、何故かアメリカにいるはずのクーとジュリエナがいたのだ。

「やあ!結婚式以来だな!」

「こんにちは久遠、キョーコ!半年も会えなくて私寂しかったわ!」


クーはきっとローリィに貰ったのであろう、酒を入れるような大きさのペットボトルに詰まった柿ピーをむさぼり食べている。

ジュリエナは二人の側まで寄ってくると、固まっている蓮とキョーコに抱き付いた。


「せ…パパ達、どうしてこちらに!?」

「本当ですよ、二人とも仕事はどうしたんですか!」

「大丈夫大丈夫!今回は二人そろってお休みとってきたのよ?」

「そうそう!私たちのマネージャーは優秀だからね!」


ああ、きっと脅されてスケジュールを頑張って調整させられたんだなー…と、呆れてため息が出る。

今頃体調でも崩しているであろう、両親のスケジュールをマネージメントするエージェントに対し、蓮は同情した。


(今度胃薬でも送ってあげようかな…社さんに良い胃薬でも聞いてから)


「ところで。久遠、キョーコ。国際電話では決着がつかなかったからこうやってやってきたわけだがな?」

「ええ…どうせその件だと思いましたよ。何と言われようとも子供の名前は俺たち二人で決めます。」

「どうして!?私たちにもぜひ決めさせてよ~!!」


やはりと言った話題に蓮がため息交じりに返事をすると、すかさずジュリエナが駄々をこねる子供のように口をとがらす。



そう。この親子達、最近生まれてくる赤ちゃんの名前の命名権を巡って、国際電話で色々とやりあった直後なのである。

結局3日にも及ぶ長電話の末、キョーコの『これ以上は電話代が無駄です!』の一言で、蓮とキョーコが自分たちが付ける、という事に収めたはずだったのだか…


どうしても名づけに参加したいのであろう親二人が、仕事を(エージェントを脅して)調整させてやって来てしまったのだ。



「ママたちの気持ちも嬉しいんですけどね?でもやっぱり子供の名前って、生まれてくる子供に初めて贈るプレゼントなので大事にしたいんです。自分たちで付けたいんです。」


抱き付くジュリエナに申し訳なさそうに眉を寄せ、しかししっかりとした口調で話すキョーコの決意は固い。


ずっと不仲だったキョーコとキョーコの実母の関係は、年月を経て徐々に良好になっていっていた。

その過程で自分の名前にこめられた意味を聞き、キョーコは赤ちゃんの名前をどうしても自分達でつけたいと願っていたのだ。


冴菜との関係をずっとずっと見守ってきた蓮には、このキョーコの願いはどうしても叶えてやりたかった。


「えー?キョーコ、どうしてもだめなのかい?」

「うんうん、私もう子供の名前が決めたくって決めたくって…久遠が生まれる時、女の子だったらこの名前!って決めてた名前持って来たのよ?」

「う…パパ、ママ………」


まるで段ボールの中に捨てられた子犬のような目をキョーコに向ける二人。

キョーコにはデジャヴのように感じられるのだか、それは仕方ないだろう。

それは、蓮がキョーコにおねだりする時に毎度使う手なのだから。


そんな自分が使うような技を繰り出され、蓮は若干のいらつきを覚えた。


「ダメですよ、だって俺が女の子だったらつけようとしてた名前って『アンジェリーナ』とか『キャシー』とか、日本名にはできない名前ばかりだったじゃないですか!」

「ダメかしら?可愛いと思うのよ『アリス』ちゃんとか」

「ダメです!俺、『敦賀蓮』で日本戸籍ちゃんと取得したんですから、苗字は『敦賀』になるんですよ?」

「『アンジェリーナ』の『アン』だけならいけないか?」

「意味も込めてつけたいって言ってるじゃないですか!」


3日かけて国際電話で続けた不毛な戦いが、再び社長の応接室に響き出す。

今回は直接対面してなので、ヒートアップするのが早い。


一応呼び出した張本人(ローリィ)や社長執事の褐色の彼もいるのだが…

周りを置き去りにして、ヒズリ親子の喧嘩は続いていく。



「パパ、ママ、蓮………」



さて、どうやって収拾つけようか~と、ローリィが重たい腰を上げようとしたその時。

おどろおどろしい声で3人を呼ぶ声がして、その場に居合わせた全員がハッとなる。


声の発生源を見やると、何かよくわからない(正確には怨キョだが、みんなには怨キョは見えてない)恐ろしいオーラを身に纏ったキョーコが、腕組みをして仁王立ちになっていた。


「いい加減にしてください!名前は私が決めます!!」

「「「えええ!!!?」」」

「俺は!?」

「そんな大人げない喧嘩をする人たちには決めさせません!」

「「「そんなぁ…」」」


並んでしゅんと項垂れる3人を見て、ローリィと執事の二人が「やっぱり親子だな…」と呟いたのは、広い部屋に響くキョーコのお説教で誰の耳にも届くことはなく。



蓮とキョーコの子供の名前は、『皆から愛され、皆を愛せる女の子になってほしい』という事で『愛子』に落ち着いたのはそれからしばらく後の事。




************



11月は本当に色々ある月でして。

なんだか濃ゆかったです。

色々ありすぎていつも半泣きだった気がする(ノω・、)

もう話書く気力もなかったのですが、おこた祭りですっごくやる気を頂きまして…

そしてここ数日で頂いたアメンバー申請の方々のメッセがすごくうれしいお言葉多くてですね。


再び書く気になりました。ありがとうございますm(__)m

ひとまずすっかり止まってるアディクションとラバーをちまちま進めたいなーと画策中。

あと水面下がそろそろ地上に出られそうです。

な、長かった><

もう少々お待ちくださいですー!


あ、そう言えばこのシリーズ『敦賀蓮』で通してる理由はここにありました。
子供の名前を普通に『敦賀○○』ってしたかった。
なので、蓮には久遠の闇と完全に向き合って勝利した後、キョーコと日本で暮らすために日本国籍を取得した…って背景があります。
(相変わらずバックグラウンドだけは色々ある…)