生温い湯の中をゆっくり漂う感覚のあと、突然体が空中へ落下していく衝撃を感じ、思わずばちっと目が覚めた。

「…………えっ!?」

目に映るは見知らぬ天井。
思わず天井に突きあげたその手は、白く華奢な女性の手。
確かに自分の手を掲げたはずなのだが…
しかも自分が発したはずの声が、自分のものではなく高い…女性の声になっている。
慌てて常夜灯の付いた薄暗い部屋を見渡そうとして、俺は愕然とした。
ライトブラウンとグリーンが基調となったその部屋は、明らかに女性の部屋。
可愛らしいアロマキャンドルや置物が、チェストの上に目一杯乗っている。
そのチェストの隣に設置されていた姿見に映っていたのは、いまだ片想いを続ける相手。
ベッドの上から鏡を見つめる最上さんだった………

「え………なんで…!?」
思わず自分の顔に手を当てると、鏡の中の最上さんも顔に手を当てる。
肌掛けがぱさりと肩から落ちると、中から出てきたのはフリルが可愛い白いパフスリーブのコットンワンピースだった。
メルヘン好きの彼女のことだ、恐らくそれをパジャマにしているのだろう。
鏡の中のビックリしている表情もなんて可愛いんだろう…などと、少し場違いな感想も浮かんだが。
それより何より、まずどうしてこんな事になったのか考えなくてはならなかった。

(俺、確か今日は少し早めに上がれたから、コーヒー飲んで台本読もうとして…)

記憶があるのはそこまでだ。
恐らくきっと、台本を読みながらソファーでうたた寝をしてしまったのだろう。
しかしそれでは、俺が『最上さん』になっている理由にはならない。
強いて言えば、台本中のベッドシーンを読みながら「演技でもいいから、最上さんに触れたい…」などと、不埒な想像をしてしまったことがいけなかったのだろうか…

(そう言えば……)

不埒な想像を思い出して気付いてしまったが、今、自分は『最上キョーコ』なのだ。
…その気になれば、彼女の身体に触れることが出来る。

(いやいや、何考えてるんだ俺!)

彼女の預かり知らない所で彼女の肌に触れるのは、チカン行為と一緒…
疚しい気持ちを慌てて振り切り、水を飲むために寝室をあとにした。



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ちょっと短いですが、キリが良かったので。
6月のとある研究所で出た話題『まだ見たことのない不思議系蓮キョのえろす』。
今頃ネタ回収に入りました。
まぁ、『まだ見たことがない』に当てはまるかはわかりませんが…
先にネタばらしからしてしまうと、『憑依した蓮によるキョーコの………』です(爆)
今まであれだけえろギャグ書いてきておきながら、こういうところでアレな発言は恥ずかしい。
ちなみに某様宅で「3話になる」と言いましたが…嘘です、全く終わりませんでしたorz
しかもあの扉絵妄想のせいで、どんどん蓮が大暴走を…!

と言うわけで、どんな蓮キョもばっちこーい!な方におすすめします☆
読んだ後の苦情、文句は受け付けません。

今回は全体公開。
次は若干雲行き怪しいですが全体公開。
更にその次は別館避難です!
久しぶりに別館使うわー。
蓮くん大暴走のせいで、あめばに盛大に喧嘩売ってる感じに軌道がずれてますもん。
これだからへたれじゃない蓮は大変なのよ…!←もう全てが蓮のせいw