えと…おかげさまでこのブログも6か月を迎えています。
ついでにアメンバー様も300名様を超えまして…おおおお!
書き始めた時なんて「こんな駄文見に来る人いないから、のんびりまったり好きにやったれー!」
…とノリで始めたはずだったんですけどね。
いつも本当にありがとうございます。

本当はリクとか取った方がいいのかもしれませんが、ちょっと今本当に手一杯足一杯といった感じでして…
なので、フリーでお許しください。
3話続き物です(どーして単発が書けないんだ!)
話は<ONE:今→PAST:過去→FUTURE:未来>と展開します。
1話目の<今>は蓮キョだけど蓮キョじゃないです。連不在です。
しかも別れてます。いや、蓮キョなんだけど!
苦手な方はご注意ください。


゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ エスプレッソはキスの味*ONE゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚


駅からほど遠くない坂道の途中。
閑静な住宅街への入り口に、その喫茶店はある。
目に優しいクリーム色の外壁と白い格子の木窓、若い緑が壁の半分を覆う外装は、一歩間違うと魔女の館にも見えなくもない。
だけど、愛情込めて手入れされた可愛らしい植木の花々によって、アンティークな雰囲気にとどめられている。

そこは私と彼のお気に入りだった店…。

可愛らしい外装に似合うクラシカルな店内は、カウンター6席にテーブルが2つ。
10人ほどお客が入れば、それでもう満員になる。
こじんまりとした雰囲気に、人のいいマスターが一人。
お客もバッタリ会ったとしても、有名人だとわかったとしても、そっとしておいてくれるマナーのいい方が多い。
いい客が店につく、これもひとえにマスターの人柄なのだろう。
からんと可愛らしいドアベルを鳴らして、店のドアを開けた。

「こんばんは、マスター。」
「おお、久しぶりだね。いらっしゃい。」

初老のマスターは私の顔を見ると、すぐに電気式のエスプレッソマシンに向き合った。
私も目深にかぶった帽子を脱ぐと、カウンター席の一番奥に座って隣の椅子にカバンを置く。
今日は店内にお客は誰もいない。
のんびりとした口調でマスターが声をかけてくれた。

「また新しいCMに出てたねぇ。見たよ。」
「ありがとうございます。」
「敦賀くんはどうだい?」
「さぁ、どうでしょう。もう前回の連絡から3ヶ月は経ちますからね。」
「そうなのかい。…はい、どうぞ。」

真っ白なカップが目の前に置かれる。
黄金色に輝く表面をじっと見つめながら、アメリカに渡った彼を思う。

………別に、別れなければならなかった事はない。
だけどお互いに依存しすぎた関係のまま、遠距離恋愛などは到底無理だった。
―――二人の為にならない。
それが二人で出した結果だった。

『キョーコが持っていて?君に相応しい男になって、必ず迎えにくるから…』

間接照明が多い為に少々薄暗い店内で、鈍く光るペンダント。
いつも敦賀さんが肌身離さずつけていたそれは、今は私の胸元できらりと光っている。

(だけどね?敦賀さん…私が迎えにくるのを待つだけの女だと思ってます?)

先日、椹さんからハリウッドからの打診を受けた事を明かされた。
人気ドラマのゲスト…
たった1回分しか出番はないが、気に入ってもらえればこの先のチャンスにつながる。
私だって、敦賀さんの隣に相応しい女性になりたい。
その為にはどんな小さなチャンスでも逃したくはない。

白いカップにそっと口をつけて、茶色の液体を口へと流す。

「………苦い。」

当たり前だ。
砂糖も何も入れない。
マスターが淹れてくれたそのままの味は、私にはちょっと苦い。
だけどこれが敦賀さんとの思い出の味。

「…どうだい、いつもとかわりないかい?」
「うん。いつもと同じ、キスの味です。」
「…エスプレッソがキスの味かい?京子ちゃんは詩人さんだねぇ。」

素直に感想を述べると、マスターはにっこりと笑ってくれた。

「だって…私にとってエスプレッソを飲む事は、キスする事と同じだから……」

エスプレッソを飲むと思い出す。
濃くて、苦味もあって甘味もある、敦賀さんとのキス………

「………ご馳走様でした。」

ゆっくりと一杯のエスプレッソを味わった後、再び帽子を目深に被り席を立つ。

「ああ、またおいで?待っているよ。」
「はい、またキスしに来ます。」

振り返ると、いつもの優しいマスターの笑顔があった。
私もにっこり笑って店を出る。

今は会う事が出来ないけど、ここに来ればいつでもあなたとキスできるよ?
ねえ、だからキスして?
いつもと変わらないその味で………



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とある漫画を読んでて、うっかり妄想。
その漫画ではこの回は死ネタだったんだけど…
蓮殺しちゃダメだろう!!
死ネタはいやん!というわけで、変則的蓮キョ話に。
エスプレッソはキスの味…詩人だね。

そんなわけで、変則的でもオッケーよ!というツワモノ様は、どうぞお持ち帰りください。
過去編と未来編は大丈夫。
普通の蓮キョだと思う…