2013年12月 * 拍手設置(加筆なし)


※ 執事蓮×お嬢様キョーコ。100%パラレルワールド。

パラレル設定が苦手な方はご注意くださいませ。







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「………それでも嫌なものは嫌なんだってば………っ!」

そう呟いた声は冬の星空に消えた。




私は最上家の一人娘、キョーコ。
日本屈指の財閥令嬢、だれもが羨むお嬢様生活をさせてはもらっている。

………そう。実の親から愛されていないので、実質はただの軟禁生活と言える。

毎日同じ事の繰り返し。

19歳の今日までは、それでもいつかは自由になれると信じて疑わなかった。
せめて心は自由でいられると思っていた。


だけど………


『いい?来年20歳の誕生日を待って、不破家に嫁いでもらうから。』
母の言葉に私は脳天を勝ち割られたようなショックを受けた。


不破家の一人息子の噂は聞いている。
いつも女をとっかえひっかえ、仕事の才も別段高いわけでもないくせに家柄だけを鼻に掛ける嫌味なやつ。
初顔合わせでは『地味で色気ねーな、こいつ』呼ばわり。

愛のない結婚。

最上の家から出られても、不破に縛られては意味がない。
私は覚悟を決めて、バルコニーの柵を乗り越え、壁伝いに降りようとした。


『キョーコお嬢様?』
「!? きゃっ…!!」


下から突然声をかけられて、私はバランスを崩した。

ぼすっ………

「……はぁ。お嬢様?木登りでは飽き足らず、ついには屋敷への出入りも壁伝いになさるおつもりですか?」

そう言って落ちた私をお姫さま抱っこで助けてくれたのは、執事の蓮だ。

「ちょっと脅かさないでよ、蓮!木登りなんて今はもうそんなにしてないでしょー?!」
「いえ。私の記憶が正しければ、先週にもそこの木に登られて…」
「あっ、あれは!猫を助けようと思ってたんだもの!」
「それでお嬢様が降りられなくなっては本末転倒ですよね。」

降りられなくて結局蓮に助けられたことは事実だから、私は頬を膨らませて黙り込んだ。


「……困ったお嬢様だ。今日のお見合い話がそんなにお嫌でしたか。」
「当然じゃないの。愛のない結婚なんて、死んでも嫌。」

蓮に抱っこされたまま、私はそっぽを向いた。


本当は好きなのに…好きな人の口から違う男との『結婚』話が出てくるのは辛い。


「だれか白馬の王子さまが現れて、攫ってくれないかなぁ…」

昔憧れて読んでた絵本を思い出す。
いつもお姫様の窮地には王子様が助けに来てくれるのよ。


「私でよろしければ、攫って差し上げましょうか…?」

耳元で吐息を掛けるようにささやかれた言葉。
勘違いかと思って、振り返って蓮の顔を見るとそこにはいつも見ている、でも知らない人のような眼をした蓮がいた。


「…攫って、蓮。 このまま私を………」
「かしこまりました、お嬢様。」

蓮は艶やかな笑顔を見せて、私をそのまま運んでいった。







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某携帯ゲームの執事くんにハマってます。
年末の『謎解き~』の翔ちゃん執事も好きだったー。

……執事萌えキタかも。







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