新しく割り振られた先生が教室に入ってきて、

「もう知ってる人もいると思うけど
このクラスに転校生がくるからなー!」

と教壇に立って言いました。







「うぇーーーーい!俺見た!すっげー可愛い子!」


「やっべぇ!まじで楽しみ!!」


「女かよ〜しかも可愛い子とかいらねぇ〜。」


男子も女子もさまざまな反応をしていました。









「どーぞ!早く入っておいでー!」


先生が廊下側に声をかけると、



びっくりするくらい透き通るような白い肌で
きっと元から色素が薄いのでしょう、
まぁるい頭によく似合うショートヘアは
髪が茶色がかっていてツヤツヤのサラサラ。

小柄で華奢な漫画から出てきたような美少女でした。





極度に緊張した様子で、
俯いたまま入ってきて
耳を真っ赤にしながら震えていました。







教室は今までにないほど騒がしくなり
下品な言葉が飛び交うほど。








「静かにーー!
自己紹介してもらおうかな!」


先生が言うと、







全く聞こえないほどの小さすぎる声で

「斉藤 るいです…。」

とだけこたえました。








こんなクラスに転校してきちゃって怖いだろうなぁ。
可哀想に。







目立つ男子たちからのセクハラ的な発言や、
派手な女子グループによる妬みを
この時一斉にるいちゃんが浴びていることを
感じながら
私は他人事のように見ていました。










だけど、

この子との出会いこそが
長い長い、覚めることのない悪夢の始まりだったのです。