ちょっと実験。
携帯からの投稿テーマは

《未分類》

になります^^
宜しく御願いします。

※少し暗め (アントーニョ視点)



美しい声で泣いて。

潤んだ瞳で見つめて。

俺だけのお前でいてや。

「ロマ…」

耳元で囁いて、

その唇に触れて、

栗色の髪を撫でて、

「好きやで…」

そう呟いて

また抱き締める。

長い長い夜を

2人で乗り越えるために。

優しい世界が

無いことを

俺らは知っているから。





夜は【い記憶】の追憶者



「また強くなってきたな…」

窓の外。
雨の強くなったのを見ながらロマーノがぼやく。
暗い、漆黒の景色。
雨の騒音。

「ちくしょーが…」

キライ、キライ、大嫌イだ。
雨も夜も独りなのも…

コツリと窓に頭をつけて、
また呟く。
無機質な、雨に触れて冷えた窓ガラスの冷たさが、触れた頭皮にジンワリと広がっていく。

「早く帰ってこいスペイン…」

呟きは雨にかき消された。






悲しみの騒音はに消える






その時も、ロマーノは外を見ていた。
雨の音が強くなってきたから少し気になって。
トマトは大丈夫だろうか?
フと頭をよぎるが、きっともうダメだろうな。
根が腐って死んでしまう。

憂鬱な天気に釣られて
思考まで憂鬱になる。
深く溜め息をしてロマーノは窓から離れた。

「ロマ」

振り返った瞬間、不意にスペインに呼ばれ、ビックリして肩が震えた。
その口調は何だか冷静だった。
「な…なんだよスペイン…」

それしきの事に驚いた自分にイラついて、少しふてくされた口調でロマーノが答えた。
スペインは顔を伏せたままで
表情は見えない。

何故だか不安がよぎる。
心がモヤモヤする。

―きっと雨だからだ…

ワケの分からない気持ちを誤魔化すように、ロマーノは自分に言い聞かせた。
ところがスペインからかえってきたのは大したことない。

「少し出かけてくる」

それだけだった。
少しホッとした。
でも胸のざわつきは消えない。

「こんなに雨降ってんのにか?それにもう遅いのに…」
「ちょっと思い出したことがあってん」
「どれ位に帰ってくる?」
「たぶん…ていうか絶対遅れるさかい、ロマーノ先に寝とき」

スペインが顔を上げた。
しかし顔は見えない。
いや、確かに表情も何もあって見えているのだが…
ソレとは違う。









ロマーノが心で呟く。
なぜだか泣きそうになって
心が詰まる。
胸の中の不安は消えない。

―行かないで

幼稚な言葉だ。
でもそれはきっと俺の本心。
頭中を埋め尽くす言葉を振り払い、喉から言葉を絞り出す。

「気を付けろよチクショー」

ロマーノがそう言うと
スペインはにこりと笑った。

「絶対帰ってくるさかい、心配せんとき」

そんな言葉にすら
不安を感じる。

―絶対帰ってくる

んだそれ。
そんな言葉、聞きたくない。
帰ってくるなんて、当たり前だろ。
なんだよ。スペインのバーカ。バカバカバーカ。

増幅された不安を消すように
心で悪態をつく。

するとスペインは黒いコートを羽織ってからロマーノの頭をぽんぽんと撫でた。

「ほな行ってくる」

傘を差して雨の中を出て行ったスペインの後ろ姿は
強すぎる雨にすぐかき消されて見えなくなった。

不安が…よく分からない感情がロマーノを埋め尽くす。
目頭が熱くなって涙が一滴頬を伝う。



「スペインッ!」

なぜだかロマーノは外に出て叫んでいた。
少し外に出ただけなのに、
雨でびしょ濡れになった。
雨の音が大きすぎて
ロマーノの叫びはスペインに
届かなかった。

裸足の足で、びしょ濡れの体で部屋に戻った。
気付いたらボロボロ泣いていた。

「だから嫌いなんだ…」


雨も夜も独りなのも…

ロマーノは扉を閉めた玄関先でうずくまって泣いた。