近頃、外国人観光客を見かける機会が本当に増えましたが、海外に行く日本人は少ない印象でした。実態としてどうなのか調べていると、日本政府観光局(JNTO)が作成している日本の観光統計データを発見しました。そんなデータまで取ってるの??という驚きと共に、興味深いデータがたくさん転がっていたので、今回はその一部をシェアします。
ご自身で分析したい!という方は、JNTOのページをご覧ください。Tableauを使っているので見やすいです
2024年6月時点の訪日外客数および出国日本人数
まずは、トップページ載っているサマリ「2024年6月時点における、訪日外客数および出国日本人数」を見てみましょう。
訪日外国人、出国日本人数のいずれも、前年同月比増です。訪日外客数は51.2%も増加しています。渡航制限やビザ規制の緩和や円安、航空路線の再開など、複数の要因が重なった結果と考えられます。
訪日外客数および出国日本人数の推移
年別の推移で見てみましょう。
COVID-19の流行が始まった2020年から、訪日外客数と出国日本人数の両方が急激に減少していることがよくわかります。
これは、旅行制限や国際的な移動制約が原因です。その後、2023年には訪日外客数が回復の兆しを見せる一方で、出国日本人数は依然として2019年の約50%にとどまっています。
この数字は、単なるデータの変化にとどまらず、私自身の実感とも一致しています。例えば、海外便が発着する空港が以前の活気を失い、がらんとした様子が目立ったり、旅行先で日本人旅行者をほとんど見かけなかったりといった体験が、出国者数の少なさを反映していると感じています。(元々日本人が訪れる割合が少ない国に旅行していた可能性もありますが、)全体的な傾向として、海外旅行に対する慎重さが引き続き影響を与えているようです。
各国・地域別の内訳
次に、訪日外国人を国・地域別に見てみましょう。COVID-19流行前の2019年と2023年で比較しました。
いずれの年も、東アジアからの訪日外客数が半数以上を占めています。2019年には中国からの観光客が約960万人に達していましたが、2023年には約243万人に減少しています。この現象は、中国政府による厳格な旅行制限や、日本の入国制限の影響が大きかったと考えられます。さらに、経済状況や政治的な要因も影響を与えた可能性があります。
2023年 都道府県別訪問率ランキング
さて、そんな各国から訪れる人たちは、一体どこへ訪問しているのでしょうか。
Top3は、東京、大阪、千葉でした。千葉がランクインしているのは意外でした。理由を深堀したくなりますね。
ちなみにワーストは、徳島県、福井県、島根県で、いずれも訪問率0.2%でした。
訪日回数別
日本に訪問した目的と回数に関するデータもありました。2023年の韓国と米国で比較してみましょう。
「観光・レジャー」を目的に1回訪日した人の割合は、米国が70.1%に対して、韓国は25.2%。また、「業務」を目的に20回以上訪日した人の割合は、米国が12.9%に対して、韓国は32.4%に上ります。日本に来る目的や回数に違いがあるところが興味深いです。
韓国と米国で見られる違いは、
- 地理的要因(日本と物理的に距離が近いか)
- 渡航目的の違い(観光目的以外にも訪日目的があるか)
- 利便性(訪問コストが低いか)
- 文化的要因(日本文化との親和性が高いか)
などが影響しているようです。
業務を目的として20回以上訪日している比率が高い国は、台湾(35.6%)、韓国(32.4%)、ロシア(29.4%)、香港(26.6%)でした。このあたりは地理的要因やビジネス交流が活発であることが強く影響しているようですね。
費目別1人当たりの旅行消費額の推移
さらに、国別にどんなお金の使い方をしているのか、なんてデータも見れちゃいます。
こちらは中国のグラフですが、他の国に比べて買物代の割合が高いです。一方で米国は宿泊費の割合が高く、買い物代は中国の3分の1程度の割合でした。
まとめ
例えば、訪問回数や滞在期間、旅行消費額の推移など、少し見ただけでも興味を引くデータがたくさんありました。可視化されたデータのその先に何が隠れているのか、自分で確かめにいくと、さらに面白いことが待っていそうです。
今回は観光データを見ましたが、それ以外にも様々なデータが可視化され始めています。個人が実データに触れ、仮説を立てたり、正しい情報を得るために活用することができるようになると、より多くの洞察が得られるでしょう。データリテラシーを高め、積極的にデータに触れることが、これからの時代においてますます重要になっていくと感じます。
それではまた