「響新共命」に収録された
楽曲にまつわる物語を
お届けしていきます✨

 

 

    

青の予感

 



-TOMAこんばんは!

イシュタール号から通信を始めています

 

「お、隊長!何か御用ですかー?」


-TOMA、太陽のエネルギーが

新しい時代に向けて変化します。
 

来年の冬至までに

この曲を制作に入ってください


「来年の冬至。

 

ほう。

 

隊長は宇宙人なのに、

よく冬至を知ってますねー
宇宙人も柚子風呂入ったり

かぼちゃ食べたりするの?」



-あなたとパートナーを組んでからは

日本の知識を得ましたので

柚子風呂は興味がありますね。

柚子風呂に七味を入れたらどうかなと

前から感じていました。


「あー、そうなんだー…」


-え、もう私に興味がないんですか!?

「いや、しみるのか

痛いのか、辛いイメージしか

湧かないもんで」


-体のシンから温まりそうじゃないですか!

「あー、まぁ、いいや。

で、曲はどんな感じー?」


-…はい、今送りますね。


「うわぁ!美しいね!

数年前にアイスランドに行った時に

まさにこの風景ピッタリの光景を

目撃したよ!」


-知っています。

アイスランドの上空から

見守っていましたから。


「え?あれって、あなたたちだったの?

丸見えだったよ?」

-アイスランドでは、あれが通常です。

大抵誰にも見つかりませんから。


「そうなんだー。

朝日が出る少し前に

地平線を見ていたら

モソモソと精霊たちが岩の上に

登って来たんだよね。

太陽が昇る前の風が吹き始めると

拍手のような喜びの騒ぎが始まってさ。
 

精霊たちが歌を歌い始めて

青から赤の世界へと溶けていく様子が

美しかったな。
 

精霊たちが太陽をまるで

初めて見るかのような興奮具合で!
ものすごく心が震えたなー。

で、太陽が新しい記憶を持って

大地を照らし出す様子を

感じたんだよね。


あぁ、そっか、太陽って常に

全部の世界を見て回っているのかーって
妙に感動したよね。

あれ、でもあの時のメロディーは

残っているけど、
 

その時のメロディーじゃなくて

新しいメロディーで

曲を作った方が良いの??」



-この曲は、朝日を迎えるのですが
聞くもの自身が太陽の化身であり

それを思い出したものたちは

常に周りを照らすという仕事に入る

歌になります

「ほーっ、そんな仕掛けが!やるなー!」


-制作したのは別次元のTOMA

あなたですよ。

「え?これ?私?

作曲者に紐づけられた画像コードが

妙にぽっちゃりした男性に見えるけど」


-そうなんですよ。
ですから、私達も最初にTOMAを

見つける時は苦労しました。
 

TOMAはいつもいろんな姿で

カモフラージュされていたので。


「へー。覚えてないけど、

親近感ある顔ではあるな。面白っ!」


-全然、私たちの苦労に

寄り添ってくれる気がないでしょ!


「や、だってさー

何か事情があったかもしれないじゃーん?
覚えがないことで責められてもなー
あぁーこの曲作らなきゃいけないのに

せっかくのメロディーを忘れそうだなー」



-ぐぬぬぬぬ、、、、そうやってまた!


「あはは!ごめんね。

いやー、色々な場面で一緒に

仕事してるんだね!
引き続きよろしく!

じゃ!楽曲制作に入るからまったねー!」


(なんだかクリスマスソングみたーい。あ!クリスマスソング作ろうかなー)


-TOMA、通信ボタン

切り忘れているので、丸聞こえですよ?
クリスマスソングじゃないですよ?
いや、クリスマスソングに

なってもいいんですけど、
うーん…、大丈夫かな。



宝石赤

 



「…ねぇ、エレナ、今の、聞いた?」

 


「聞いたよ、ノア。

隊長、堂々と“柚子風呂に

七味入れたらどうかな”って言ったのに

TOMAは完全にスルーだったね」

 

 

「うん。あれ、聞こえてなかったのかな…

いや、聞こえていたよね、たぶん」
 

 

「絶対に聞こえていたと思う。

あの“まぁ、いいや”って言い方

完全に“七味スルー”の合図だった」
 

 

「隊長、ちょっと寂しそうだったな…。

でも、宇宙規模で真剣に

提案してたから

あれはあれでシュールすぎて

笑っちゃった」

 


「ね。『シンから温まりそうじゃ

ないですか!』って

たぶん本気だったんだよね…」

 


「もしかしてさ

真剣さと天然ボケが

同居しているのが隊長クオリティ!?」

 

 

「でも、あのやり取り、

ずっと聞いてると不思議に癖になる。

 

なんか、“宇宙って案外こういう会話で

動いてるのかも”って思っちゃう」
 

 

「それはある。宇宙の創造の原点が

“ノリとツッコミ”って

説得力あるもんね」
 

 

「…私たちも、あのTOMAと組むのかぁ。

ちょっと楽しみだけど、正直、不安(笑)」


 


「どうして?」

 


「隊長さ、普段はものすごく真面目じゃん?ああ見えてめちゃくちゃ嬉しそうだったよ。
目がキラッてしてた。

私もTOMA節が癖になっちゃったら

どうしよーーーーーっっ」

 


「やめなさい(笑)」


ふたりは顔を見合わせて笑う。

 

 

その時、通信ランプが

点滅していることに気が付いた。



-その声は

エレナ・ホープハート

ノア・クリスタリア....か。

ブツッ、と通信は切れた。






「…え、隊長に

ずっと聞こえていたってこと?」
と震えるエレナ。

 


「うん。完全に聞こえていたね。

まずいよ、これは」
とノアは青ざめた。

 

 

観測窓の向こう

地球の向こう見える

太陽がゆっくりと黄金色に

色づき始めていた。
 

 

 

青の予感は

こちらでご視聴いただけます

 

CDはこちら

 

こちらの楽曲は

10月11日に

お楽しみいただけます