「響新共命」に収録された
楽曲にまつわる物語を
お届けしていきます✨

 

 

    

「天つ空」

地球人のTOMAは、ある夜

不思議な夢を見る。


 

 

それは

イシュタール号の仲間たちが

ブラックホールで

作業している最後の光景。
 

何度も同じシーンを繰り返しては

目が覚め、TOMAはつぶやく。

 

「あれって、続きはどうなって

いたんだっけ?」

宝石赤


ある日の夜

再びブラックホールの夢を見る。


 

今度は

彼らが任務を果たす代わりに

亡くなったことになってしまった姿を

垣間見る。


 

彼らは

ブラックホールの奥に

<魂のカケラ>を置き

転生に向かっていた。
 

そんな奇妙な現象を

ブラックホールで

体験していたことを

TOMAは思い出した。

 

 



ブラックホールで一緒に

研究作業をしていたのは5人。
 

オリオン、ソフィア、リュナ

カイン、ダグラスだ。
 

彼らは、それぞれ地球の

どこかに転生していた。
 

だが、心の奥には

<何かが欠けている>という

漠然とした恐怖が残っていた。


オリオンは

説明できない重力への畏怖に心が揺れる。
 

ソフィアは

走ると風と一体化して

消えてしまうような感覚に怯える。
 

リュナは

電気やネットワークに触れるたび

自分の存在が消えてしまうような

恐怖を覚える。
 

カインは

嵐の日に心が昂ぶり

不安に押し潰されそうになる。
 

ダグラスは

電波をキャッチしすぎることで

自分が見えなくなるような気配を感じる。

 

 


しかし

原因となった異次元の記憶は

すっかり忘れていた。

ある日の夜

TOMAは再び夢の断片を

見ながら気づく。



『彼らを今なら救えるかもしれない』と。

そして思い出す。
『地球人として肉体を持った状態で、

ブラックホールに

アクセスしなければならない』
 

つまり今の地球人であるTOMAと5名なら

ブラックホールと<魂のカケラ>に

アクセスできるはず。


 

TOMAの胸に

チャレンジしたいという気持ちが

湧き上がった。




1. オリオン・ブラックスフィアのカケラ
 

TOMAはまず

重力への畏怖に囚われる

オリオンのもとへ向かう。


 

街の高層ビルの屋上。

夜空に浮かぶ星々の下で再会した。
「当時のことって…何か覚えてるかな?」

 

「実は、覚えているフレーズがあるんだ。
《あぁ 忘れていない 

覚えている 変わらない姿を》
という歌が胸を振るわせるんだ」


その瞬間、オリオンの胸に

封じられていた力が蘇った。
 

覚えていても

声に出していなかったので

その言葉の力が発動していなかったのだ。


重力の歪みが指先に宿り

オリオンは再びブラックホールへの

アクセスが可能になった。

2. ソフィア・ウィンドスピアのカケラ
 

 

次はソフィア。
風の通る広場で

彼女は無意識に足を止めた。
TOMAの声が届く。

「久しぶり!私のこと…覚えてないかな?あなたの力を取り戻しにきたよ!」

オリオンが歌ったフレーズを

TOMAが歌う
《あぁ 泣かないで まだここにいるよ》

 

ソフィアは口から無意識に

言葉を出した。


 

彼女本人も驚きが隠せない様子だったが

風の中に記憶の旋律が広がり

ソフィアは自在に空間を

駆け抜ける力を取り戻したのだった。

 



3. リュナ・スパークライトのカケラ
 

リュナは静かな部屋で

パソコンや配電盤に触れていた。


 

指先が触れるたび、電流が走り

理解が深まる、しかし胸の奥に

恐怖もある。

ふと、パソコンから流れてきた音楽が

気になった
 

「總水とおま?「天つ空?」
フレーズを歌いかけると

リュナの心が震える。
 

このフレーズ、誰かが自分に

向かって語りかけてくれていたような。
 

《明日はどこまで進むのか

無為に続く旅路》
 

記憶と共に力が蘇るのだった。


4. カイン・ストームレイジのカケラ
 

嵐の海辺で

カインは雷を前にして立っていた。


 

心の奥の不安が雷鳴に共鳴し

体が震える。


「なぜ、こんなに不安なのに

気になるんだろう」

《薄く残った足跡が 強く希望を繋ぐ》

脳内に歌詞とメロディーが響き
誰の歌だったっけ?

とネットを検索すると出てきた
 

 

「天つ空?この人

自分のことを何か知っているかもしれない」
そしてコンサートに向かった。


音が胸に響いた瞬間

記憶と力を取り戻し
不安な感覚は

一気に晴れていった。

5. ダグラス・スカイホークのカケラ
 

ダグラスは

友人に連れられてコンサートにやってきた。


友人から

あなたに合いそうなアーティストを

見つけたの、一緒に行ってみない?

と言われて付いてきたが

始まる前から強烈な眠気に襲われてしまう。

夢の中で、一瞬で全てを思い出した。
 

目を覚ました時には涙が溢れていた
友人が『ちょっと!

まだ始まってないのに

どうしちゃったの?』と心配する。


コンサートは始まり

会場にTOMAの歌声が届く。
 

《あぁ いつかまた 逢えるように 

絶え間なく灯そう》

『え?歌えちゃうの?

ほんとどうしちゃったの?

知らないって言ってたよね?』と

戸惑う友人。

 


ダグラスは思いっきり歌って涙を流し

そして喜びが込み上げてくる感覚に

身を委ねた。
 

記憶と力が統合され

次元間通信を自在に操ることが

できる能力を思い出した。


宝石赤

 

 


コンサートを終えた日の夜

5人とTOMAは

異次元空間に集まった。
 

 

「久しぶりだね!ようやく

この時が来たよ、さぁ、行こうか!」
 

ライブ空間と音を通して

アクセスが可能となった

ブラックホールへと向かう。
 

そして、全員が何をすべきか

分かっていた。
 

それは自分を取り戻す

<真の再生の儀式>だった。

TOMAが歌を響かせ

集まった皆が本来の力を解放した。

 


<魂のカケラ>は統合され

5人は本来の姿を取り戻した。


宝石赤


「やったね!ここから新しく始まるね!」

5人はもう<失われた存在>ではない。

 

TOMAと共に

新しい次元の旅を続ける仲間として

宇宙の仕事に就くことにした。

彼らの元には再びイシュタール号の

クルーバッチが届けられ
彼らは再会を喜んで、歌を歌った。

 


空に響く歌声は、希望の光となり

次なる冒険を照らし出すのだった。

 

「天つ空」は

こちらで視聴できます

 

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これらの楽曲は

10月11日

お楽しみいただけます