WBA世界ミドル級王者 村田諒太の初防衛戦が明日に迫っている
日本人が未だ誰も達成していない世界ミドル級王座の防衛
そんな難関もアッサリと達成しそうな試合予想ではある
ところで現在日本人が保持している世界王座は一体いくつあるのか?
正直よくわからない 否 わかろうともしていないというのが現実だが
ここ1~2ヵ月 ボクシングマニアと呼ぶべき熱狂的ファンの方のブログを読ませていただいていると久々に熱い血が滾ってきた
元々私は熱狂的ボクシングファンだったではないか
世界王者の名前も戦績もボクシングスタイルも全て覚えていたくらいに
但し当時はWBAとABCだけで暫定もスーパーもなかった時代だけど
正直言うと21世紀に入って本当に強いと思う日本人ボクサーは2人
村田諒太と井上尚哉だけだ パンチ スピード 戦術 全て一級品だ
しかし村田も井上もその他多くの日本人世界王者も予め勝てると踏んだ選手としか試合をしていない気がするのだ
それでやれ2階級制覇だ3階級制覇だとか言われてもね(苦笑)
強い王者に勝ったのはウィラポンに勝った長谷川とポンサクレックに勝った内藤くらいではないか 防衛戦で価値のあるのはゴンザレスとマルケスを海外で下した西岡 これは偉大なる勝利だ
やはりボクサーは強い相手と戦い打ち倒して勝利を得ることが一番尊い 不利と言われる状況を打破して王者になった選手は凄いのだ
”黄金のバンタム”ジョフレに初黒星を与えバンタム級王者になったファイテイング原田 敵地メキシコでサルディバルをTKOした柴田国明
このようなファイターは当然の如く海外での評価も高い
それに引き換え最近の日本人世界王者は・・・
狙い目王者への挑戦か王座決定戦での王座獲得ばかりじゃないか
私が長いボクシング応援歴でそのファイトぶりに心酔したのは2人
”ザ・グレーティスト”ムハマド・アリと”ザ・ヒットマン”トーマス・ハーンズ
何れも華麗なボクシングでスタイルがカッコよくマスクも端正
人気者になるのは当然でありボクシング史に残るレジェンドだ
だけど一番痺れたのはそのファイトスタイル
少年時代に見た”キンシャサの奇跡”に衝撃を受けボクシングという競技にのめり込み自分自身も拳にグローブをはめた
今まで何度もブログに記載しているが”キンシャサの奇跡は私の人生観を根底から変えてしまった 1974.10.30に全てが始まった
アリのライバル達がまた凄かった
ジョー・フレージャー ジョージ・フォアマン ケン・ノートン ロン・ライル
アーニー・シェバース ジョー・バグナー ジミー・ヤング 等々
強豪ファイターたちが総当りでぶつかり合う肉弾戦に胸が躍った
当時はレフェリーのストップが遅くどちらかが完全に意識を失うまで徹底的に戦わせた 依って試合後に健闘を讃えあうシーンはほぼない
それがまた決闘に相応しいヘビー級らしい迫力を醸しだしていた
そのファイトシリーズを勝ちぬいたアリは本当に凄い男だった
天才アリと言えども試合前に圧倒的不利を予想されたことがあった
22歳でソニー・リストンに挑戦した時は1R持たないと言われていた
32歳で無敵フォアマンに挑戦した試合の予想は絶望的だった
そんな不利な状況を己の力で跳ね返した
アリはまさに本物のファイターであり王者だった
アリ引退後にそのボクシングスタイルと生き様に惚れたのがハーンズ
185cmの長身に198cmの長いリーチ
左腕をダラリと下げた独特の構えはヒットマンスタイルと呼ばれた
現役ボクサーだった当時 私はいつも鏡の前に同じポーズで構えた
あまりにもカッコいいヒットマンスタイルにずっと憧れ続けた
フリッカージャブから嵐のような連打を繰り出す真似事をしていた
全く似合っていないのに一人悦に入っていた自分が恥かしい(苦笑)
ハーンズが左腕を下げ対戦相手に冷淡な目を向けた瞬間
相手選手はみな恐怖に引きつった表情を浮かべた
マシンガンのように繰り出されるスピード満点の連打
一打必倒の右ストレートを受け沈んでいく対戦相手の絶望的な表情
ハーンズのボクシングは本当にカッコよかったな
そしてアリ同様にハーンズもライバル達に恵まれた
シュガー・レイ・レナード マーべラス・マービン・ハグラー
ロベルト・デュラン ホセ・クエバス ウィルフレド・ベニテス
ジェームス・シュラー ファン・ドミンゴ・ロルダン 等々
リーグ戦のように総当りで戦うファイター達の試合振りに痺れた
ハーンズは全ての試合に勝ったわけではない 寧ろ負の印象が強い
「ナンバー」読者が選んだボクシング史上最高の対決”ザ・ショウダウン”では生涯のライバル レナードに逆転の14RTKO負を喫した
ボクシング史上最高の第1ラウンドとの評価を獲た”ザ・ファイト”ではハグラーの一世一代のファイトの前に3RTKO負を喫した
しかし何れも正々堂々の真っ向勝負を挑んだ本物の名勝負
敗れても尚ハーンズは我々のヒーローだった
”石の拳”デュランを顔面からキャンバスにダイブさせたラスベガス恐怖の一撃 ”アゴ割野朗”クエバスを右の一閃で失神させたウエルター級王座獲得戦 ハッチングスを蜂の巣にしたJミドル級防衛戦 シュラーを右一発で夢の国に送った北米ミドル級戦
勝っても負けても史上最もエキサイティングなボクサー ハーンズ
年齢的にほぼ同世代のハーンズはまさに私の憧れのボクサーだった
アリもハーンズも相手を選ばなかった 常に強い男と戦い続けた
より強いボクサーと戦い勝つことで自分の価値を高めた
本物のボクサー チャンピオンとはそういうものではないだろうか
村田諒太にはぜひそうなってほしい
何より村田自身がそのことを最も望んでいるはずだから
勿論 ただで強い男と戦えとは言わない プロボクサーなのだから
強いボクサーには自ずと相応しい試合報酬がついてくる
明日の村田の試合には米国の大手エンタメ企業MGMがスポンサーとなっている これは日本人として初めてのこと
村田は明日の試合で防衛に成功すればV2戦ではラスベガスのMGMグランドで試合をするという情報もある
オリンピックゴールドメダリストの村田には今後も続々とビッグマッチのオファーが舞い込むだろう
村田は今32歳 年齢的にも年に2試合 多くても3試合
これからは対戦相手を慎重に選び強い選手とだけ試合をしてほしい
今朝のニュースではプロモーターの大御所ボブアラムが年末に東京ドームでゴロフキン相手の王座統一戦を計画しているとか
スーパーファイトを何度もプロモートしてきたアラムのことだからもしかするとという期待はある
但し収益を上げるためには東京ドームを超満員にするしかない
米国の有料TVで収益をあげるのは両者とも知名度不足なので
ビッグマッチ出場を願うゴロフキンにとっても望むところだろう
あとは村田のやる気と勇気しだいだ
今から33年前にラスベガスで激突した統一世界ミドル級タイトルマッチ ハグラーVSハーンズのような大興奮を東京ドームで観たいと思う日本人ファンも多く居るはずだ
ロンドン五輪で金を獲得した村田は当初プロ転向を否定していた
それが急遽心変わりをしてプロに転向した
その本当の理由は自分自身が少年時代に見た夢を叶えるため
チャンスは来た! 村田よ勝負の時は近い
まずは明日の試合 印象的なKOシーンを見せてくれ
頼むぞ 村田涼太!
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