静岡県東部・オンラインにて心理相談、心理検査、セミナー、サロンなどを行う「子どもの心と発達の相談室 とまり木」です。
お子さんの発達の評価をする際に最も多く実施されるWISCについてご紹介します。
医療機関や相談機関でおすすめされて受けたはいいものの、
結果の見方がよくわからない…
どう活かしたらいいかわからない…という方もいらっしゃるかと思います。
今回は、WISC-Ⅴについて、
検査の特徴、結果の見方、結果の活かし方について、実際に日々検査を実施している臨床心理士(公認心理師、臨床発達心理士)が解説します。
WISC-Ⅴとは…
知的な能力について、同年代の中でどの位置にいるのか評価します。
また、5つの領域それぞれの能力も評価することで、得意不得意やその差について把握できます。
WISCは小中学生の知能や発達について評価する際に全国で多く使われており、「WISC-Ⅴ」はWISCの中で最も新しい検査です。(2025年3月時点)
特徴
知的な能力、得意不得意の内容とその差を把握することで、生活や学習などで困っていることの理由や背景を探ったり、お子さんに合った対応や環境を考えることができます。
お子さんの状態を客観的な数値で表すので、かかわる大人や場合によっては本人も、得意不得意や必要な支援や工夫について共有することができます。
対象年齢:5歳~16歳11か月
※対象年齢内であっても、お子さんの状態や状況によって、他の知能(発達)検査をおすすめすることがあります。
所要時間:1.5~2.5時間
※マニュアル上は「60~90分」とされていますが、前後のやりとりや休憩も含めると、実際には2時間以上かかることも珍しくありません。
結果の見方
主な結果はIQと5つの主要指標(言語理解、視空間、流動性推理、ワーキングメモリー、処理速度)の数値により示されます。
以下のような表で示されることもあります
5つの主要指標の意味
・言語理解(VCI):言葉で理解する力、言葉で表現する力、語彙力や知識
・視空間(VSI):形や空間を把握する力
・流動性知能(FRI):新しい課題(応用問題など)を計画的かつ柔軟に解決する力
・ワーキングメモリー(WMI):見たり聞いたりした情報を覚えたり、覚えたまま頭の中で操作する力
・処理速度(PSI):単純な作業に素早く正確に取り組む力
用語の意味
・合成得点(IQ):同年代のお子さんの中でどの位置にいるかを示します
上のグラフ(青線)はそれぞれの合成得点(IQ)の割合の分布を示します。
平均に近いほど、割合が多く、遠ざかるほど少なくなります。
平均は90~110であり、全体の50%が含まれます。
・パーセンタイル順位:同世代のお子さん100人の中で下から数えたときに、何番目にあたるかを示します。
・信頼区間:合成得点(IQ)について、誤差を考慮して、その確率(90%など)で確実に含まれるという範囲です。
・記述分類:同年代のお子さんの平均と比較した検査結果の水準に応じた分類です。
結果を活かすためのポイント
検査の目的はきっかけとなった困りごとの理由を探ること
まずは、全体的な能力(FSIQ)に注目します。
そのうえで、指標(領域)ごとの差などから得意不得意を把握します。
数値そのものよりも、なぜその結果となったのか、
その指標の中にはばらつきはないのか、などの情報にも注目して下さい。
(報告書の文章や結果説明面談等で伝えられることもあります!)
報告や結果から、”困りごと”の理由や対応がわからなかったときには遠慮なく質問をしましょう。
結果はあくまでも”検査場面”で発揮された力
検査は、検査室の中で、求められたタイミングで得られた回答から数値を算出します。
お子さんによっては実力を発揮しきれないこともあるかもしれません。
逆に、いつもはできないのに、検査では高い数値が出るということもあります。
「いつもと違う」結果となった場合には、「なぜいつもと違う結果が出たのか」ということを検討していただければと思います。
「検査ではいつもと違う」ことそのものに、その子らしさが表れているのかもしれません。
検査場面でよくあるのは…
イレギュラーで、初めての(慣れない)場所や相手、余計なものが気にならない環境、緊張感がある、具体的で明確な指示…
結果は共有を
検査の結果は非常に個人的で大切な情報です。
むやみに周囲に伝える必要はありませんが、学校や園、療育施設など、お子さんが普段過ごす場やかかわる相手に検査結果を共有することがおすすめです。
ただ渡しておしまいではなく、検査結果を共有しながら、日常の様子について改めて共有したり、困りごとの背景をもう一度考えてみたりする機会に使っていただけると嬉しいです。
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とまり木では、WISC-Ⅴをはじめとして、田中ビネー知能検査、KABC-Ⅱ、MSPAなどお子さんの発達や心の状態を把握するための検査を行なっています。
詳細はホームページからご確認ください。
心理検査・評価(とまり木ホームページ)
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コメントをいただけますと、可能な範囲でお答えします。
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