調べてみたところ、日本でアウトソーシングが本格普及したのはバブル崩壊後らしいです。つまり、30年くらい前なので、今50歳くらいの人が入社した時くらいから始まったと思われます。

 

 私が入社した頃は、アウトソーシングのビジネスモデルは確立されていて、「本当にそんなのも委託していいの」と疑問に思ったほどでした。メーカーに就職した私の友人も「発注・管理業務しかしていない。大学での専門知識は活かせない。これでいいのか。」とぼやいてました。

 

 今でも、アウトソーシングは拡大傾向にあるように思います。私の会社でも新入社員教育の一部をアウトソーシングしようとしています。

 

 今後もこれまで通りアウトソーシングのビジネスモデルを継続して良いのでしょうか。

 

 個人的には「難しいのでは」と思います。そう考える理由は2つあります。

 

 1つ目の理由は、アウトソーシングにより、自社にスキルが蓄積されないというデメリットが生じるから。

 

 多くの会社では常に新たなサービスを生み出す必要があります。規制に守られてきた大企業にとってもこれは同じです。なぜなら、規制や独占は失われる傾向にあり、その結果、競争が激化し、これまでのビジネスでは潤沢な利益が見込めなくなってきているからです。インフラ業界が良い例です。

 

 それでは果たして、新たなサービスを生み出せるのか。アウトソーシングにより、ノウハウは失われているのに。社内公募でも優れたアイデアは生まれず、結局、スタートアップ企業への出資に走ります。会社にとっては将来儲かればそれでもいいのです。ただ、私が残念に思うのは、優秀な社員(少なくとも大学の頃までは)を多く抱えているはずの大企業から新たなサービスが生まれないことです。

 

 2つ目の理由は、人材の不足により、アウトソーシングによる経済的なメリットが得にくくなるから。

 

 企業がアウトソーシングする/しないを選べる状態、または、アウトソーシング先が複数ある場合は、競争が働きコストが下がります。少し前まではどちらの状態にも当てはまっていたため、アウトソーシングによる恩恵を受けることができていました。しかし現在・今後はどうでしょうか。まずアウトソーシングする/しないを選べるかどうかでいうと、アウトソーシングにより自社のノウハウが失われて何年も経てば、アウトソーシングしないという選択肢は難しいでしょう。また、アウトソーシング先の複数選択に関していうと、人口減少・人材不足の中では難しくなってきています。IT系の人材不足はよく耳にしますが、工事や保守を行う作業員も不足しつつあります(と、現場の方が嘆いてました)。これらのことから、競争が働かなくなり、コスト的なメリットはなくなってしまうでしょう。

 

 

 いろいろ書きましたが、アウトソーシングを採り入れることにより会社が成長してきたのも事実かもしれません。しかし、アウトソーシングにより、知らず知らずのうちに、つまらない人材(他社に指示し、他社の業務の管理を行うだけ)が増えてしまっているのも事実だと思うのです。

 

 まぁ、過去に戻る以外どうしようもない話なのですが。