たくさんの美術館があるのですが、残念ながらイタリア美術についての知識が不足している私は、勉強してから行きたいと思って、躊躇しています。
そんな中、「GAM近代美術館」というところに行ってきました。(GAMとはGalleria d'Arte Modernaですので、「GAM」だけで「近代美術館」ですね。)
こちらは、1800~1900年代のイタリアとフランス絵画が中心ということで比較的私にもわかりやすそうだということと、何より入館料が無料で、何度行ってもいいかと(笑)。
そして、『地球の歩き方』に「セガンティーニの作品が7点もあった」と書かれていたのが決め手でした。
セガンティーニという画家はさほど有名ではないと思いますが、私にはちょっと思い入れがあります。
もう10年以上も前のことと思いますが、朝日新聞の日曜版で「アルプスの真昼」というセガンティーニの絵画が紹介されました。

この透明感のある絵になぜか強く惹かれた私は、この絵を観るために倉敷の大原美術館まで(四国への出張に引っ掛けてですが)出かけたものです。
(調べたら、昨年冬に、日本では「セガンティーニ展」が開催されていたようですね。
私は中東某国長期出張中だったので、全く知りませんでした。話題になっていたのでしょうか?)
今回まじめに調べて初めて、セガンティーニがイタリアの画家だと知りました(何となく、アルプスだからスイスかと思ってました:汗)1858~1899年。
しかも、ミラノのブレラ美術学校に通っていた(退学した)のだと!
ブレラ美術学校(ブレラ絵画館)と言えば、ミラノで最重要の(学校兼)美術館ですが、しばしば食事(飲み?)に行くブレラ通りにあるので、よくその前を通っています。
私が好きな画家のひとりが、こんな身近なところで縁があるとは、何だかちょっと嬉しいことです。
ミラノのGAM近代美術館に彼の絵がたくさん所蔵されているのは、この地の人だったからなのですね。
Wikipedia によると、セガンティーニにとってミラノはいい思い出のある土地ではなさそうですが。
ということで、先日、セガンティーニの絵に惹かれてGAMに行ってきました。
自宅から歩いて20分程度でしょうか。ミラノ北東部のブッブリチ公園近くにあります。
外観と内部はこんな感じ。


前国王の離宮だった建物で、「ミラノの小さな宝石」と呼ばれている美術館だそうです。
確かに優雅な美しい建物でした。
そして、職員がまばらに見張っているだけで、絵画にどれだけでも近づいて、触ろうと思ったら触ることさえできる展示でした。(私は触ってませんよ!)
ただ、光の当たり方があまり考えられていなくて、ときどき折角の絵に光が反射して見難い場合があったりしたのが残念です。
私が到着したのは13時半。昼休み後の開館は14時だということで、ちょっと待たなければならないかと思いましたが、1~2階(日本人の感覚では2~3階のこと)は見られないが、地上階だけなら見ていいとのことでしたので、ぶらっと見ました。肖像画や彫刻が中心で、ふむふむという感じ。
14時になっていよいよ1階に。
いきなり遭遇したのが、セガンティーニの「L'angelo della vita/生命の天使」という大きな絵。
3m×2mくらいあります。

写真ではわかりにくいですが、下の方の草の特徴的な色の使い方が「アルプスの真昼」とよく似ています。
大胆に大きな木を全面に配置してしかもその端が欠けている構図や、よく見ると絵の輪郭線が描かれているところなど、直接なのか印象派を通してなのか、明らかに日本の浮世絵の影響が見られます。
この部屋にはあと2点セガンティーニの絵がありました。

他に2階には、『地球の歩き方』にも名前が載っている「Le due Madri/母たち(二つの母性)」がありました。
(光の関係で斜めからしかうまく撮影できませんでした。)

他にもこんな絵など、セガンティーニの作品はあわせて7点どころか、20点以上ありました。
(「アルプスの真昼」ほどの感激はありませんでしたが。)


他に有名画家では、ゴッホやユトリロ。


ミレーにマネにロートレックなどもありました。



地球の歩き方に書いてあったピカソやルノワールは見当たらなかったように思います。
入れ替えているのでしょうかね。
他にもイタリアの近代の画家の絵がたくさんありましたが、私の気に行った画家を3人だけご紹介(というか備忘録?)。
1人目は、Giacomo Favretto(ジャコモ・ファヴレット)。
日本語ではほとんど情報がないですが、19世紀後半(1849-1887)、ヴェネツィアの画家のようです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Giacomo_Favretto
(このWikipediaに1枚だけ載っている絵も好きだなぁ・・・)

もうひとりは、Giovanni Boldini (ジョヴァンニ・ボルディーニ)。1842-1931 フェラーラ出身。
肖像画で有名なようです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Giovanni_Boldini
こちらも日本語での情報は少ないですが、それでも今回の3人の中では多いほう。
2010年に絵画が2億円以上で落札されたとのニュースが引っかかりました。→こんなにすぐに手で触れるような展示をしていて、大丈夫なんでしょうか?

最後は、Antonio Mancini(アントニオ・マンチーニ)1852-1930ローマ出身の画家。
http://en.wikipedia.org/wiki/Antonio_Mancini
この人についても日本語での情報はきわめて少ないですが、ローマにアントニオマンチーニ広場というこの画家の名前がついた広場があるようです。

近代・現代の画家は、イタリアだけでなく世界中にたくさんいて、その中で有名になった人はごくわずかであり、ゴッホやユトリロ、ロートレックなど、一目見てこの人の絵だとわかるくらいの特徴を持っていないと世界的に有名な画家にはなれないのでしょうね。
それでも、私はゴッホの絵よりはファヴレットの絵の方が好きですけどね。
また観に行くことにしましょう。タダだし。
美術館を一旦出て、外から裏のイギリス式庭園に入れます。
そこからこの建物の全体を見ることができます。
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