日本の「Kawaii」ファッションやメイクが好きでそれを実践している世界中(アジア、アメリカ、ヨーロッパの11カ国)の女の子を捜し、オーディションに参加してもらい、その優勝者は「東京ガールズコレクション(TGC)」でランウェイ・デビューができるという企画「カワイイ界の新スターを探せ」が約1年かけて行われました。
その最終審査まで残ったのが、日本の熊倉しおりという女の子と、マレーシア在住の人気ファッション・ブロガー、チージー(Cheesie) でした。
最終決戦では、その二人がコーディネートしたファッションをTGCのプロのファッションモデルに着させて、観客の投票で審査するというもので、結果は僅差で熊倉さんが優勝しました。
熊倉さんは生まれつき左手が動かないというハンデキャップがあってコンプレックスをかかえていたけど、Kawaiiファッションに出会ってから自信を持ち、動かない左手もさらけ出すことができたというのも感動を呼ぶ要素でしたが、負けても泣きながら相手をたたえるチージーの姿も(もちろん内心悔しくて無理をしているはずですが)感動的なものでした。
そのチージー。27歳。
マレーシア・クアラルンプール在住のカリスマブロガーで、彼女がブログで紹介するKawaii日本のファッションの記事は、世界中の読者から多数のアクセスがあるそうです。
http://cheeserland.com/2012/04/kawaii-of-the-world-part-4/
(「カワイイ界の新スターを探せ」の最終日についての記事)

Twitterのフォロワーは18,000人以上。
彼女は母子家庭で育ち、おとなしい女の子だったそうですが、まず日本のアニメやドラマが好きになり、そこから日本のファッションに興味を持ってブログで発信するようになってから、人生が変わり始めたと。
日本にホームステイして日本語もできるようになり、現在ではマレー語、英語、日本語、北京語、広東語ができるのだと。テレビでも、ファッションモデルのウォーキングをプロの先生に習っていたのですが、すぐにマスターしてしまい、先生から「たくさんのモデルに教えてきたが、こんなにすぐにマスターできたのは、他には過去に一人いるだけだ。」と言われていました。
東京のファッションやメークをアジアに向けて主に英語のブログで紹介する彼女は、昨年、「アジアで最も影響力のあるブロガー」に選ばれたそうです。今ではファッション関連企業からタイアップの申し込みが殺到し、彼女の月収は30万円(マレーシアの平均月収の3倍)だそうです。
最新の番組では、先日の放送以降、日本の複数の企業からビジネスのオファーがあったとのことで、その打合わせのために再び来日して、スマホアプリの会社を訪問した彼女の姿が放映されていました。
いやぁ、すごいものです。
ブログをそこまでビジネスにして収入につなげるとは。
(念のため、私はブログで収入を得ようとは考えていませんし、この内容でできるとも思ってもいません。)
彼女の才能が素晴らしいことに疑いの余地はありません。
そして、日本の最新情報を彼女が英語で発信できたことが、彼女の成功のもうひとつの理由でしょう。
ファッションやメークの情報を日本語で発信している人たちは他にもいっぱいいるのでしょうが、読者は日本に限られてしまいます。それだけでチージーには負けてしまいます。
そこで、英語で情報発信し、日本に閉じこもらないで世界に出て行くことで、ビジネスの活路を開こうとする人・企業が出てくるのは必然です。
しかし、その場合、ちゃんと英語をちゃんと磨いてからでないと(ネイティブにチェックしてもらわないと)伸びるものも伸ばせないどころか、大恥をかくことになります。
長々書きましたが、その例が、同じ『東京カワイイTV』で紹介されていたオンラインビジネスの会社。
ここでは、一般の女性が、自分の化粧方法のノウハウを、すっぴんからメイクが完了するまでの動画にして投稿するというサイトを立ち上げています。アクセスを増やし、化粧品会社とのタイアップで広告収入を得るビジネスモデルだろうと考えます。
その発想はなかなか面白いのですが、問題はそのサイトの名前。
GODMake(ゴッドメイク)
http://godmake.me/
あちゃー。
「神ワザ!メイクの方法がわかる動画NO.1サイト」と銘打っていますので、それを直訳してしまったのでしょうね。
最近、日本の若者言葉では「神」という言葉が、スゴイ、くらいの意味で軽く使われているようですが、それを直訳して"GOD"という宗教的な大それた言葉を使っていいものか。
それに「メイク」だけで化粧を意味するのは日本だけで、英語では"Make Up"と言わないと化粧の意味では通じないでしょう。
イギリス人同僚にこの話をしたら、GODMakeだと、天地創造か何かを扱う怪しい宗教的なサイトに聞こえると。とてもお化粧の話題を扱うサイトにふさわしいネーミングとは言えなさそうです。(まさか逆にあえてそこまで狙っている訳ではないでしょうね。)
「世界各国の言葉に対応する予定」とか言って数十ヶ国語の名前が並んだ画面がNHKで紹介されていましたが、そこで展開されていたのはGoogle翻訳の各国語選択画面だったような。実際、サイトには英語すらありませんね。まぁ、日本国外に進出することは、実はそんなに真面目には考えていないのでしょう。
対照的に、個人で世界に道を切り開いてきたカリスマブロガー・チージーの凄さがわかるエピソードでした。
あ、何だか当たり前の前提としてここまで書いてきましたが、そもそもチージーの活躍の背景として、"Kawaii"という言葉が英語など各国語でそのまま使われるようになるくらい、東京の若い女性のファッションやメイクが世界中から注目されていることに、私自身はたいへん興味を持っているのでした。
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