http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120409-OYT1T00967.htm
(引用開始)
イラン政府が、民主党の鳩山元首相がアフマディネジャド大統領との会談で国際原子力機関(IAEA)を批判したと発表したことを巡り、自民党などは「鳩山氏はイラン側に政治利用され、国益を害した」と批判した。
イラン訪問を中止させられなかった政府の責任も追及する方針で、政府側は鳩山氏に苦り切っている。
9日に帰国した鳩山氏は、会談でIAEA批判を行ったとするイラン側の発表を否定した。しかし、自民党は、大統領と会談を行ったこと自体が、首相経験者としての自覚の欠如だと断じた。同党の安倍元首相は9日、「鳩山氏は日米間にくさびを打ち込もうとしているイランの思惑にまんまと乗った」と語った。公明党幹部も「鳩山氏は何を考えているか分からない」と批判した。
(2012年4月10日10時09分 読売新聞)
(引用終わり)
私の記事を読んでいただいている方はお分かりかと思いますが、私はイランの核(原子力技術)開発を手放しで認めるわけではないですが、少なくともイランの主張も聞くべきだと考えています。そして一方で、IAEAの査察も受けず、核兵器を保有し、そのあげくにイランの核開発を非難して核(原子力)施設への攻撃をほのめかすイスラエルこそもっと批判すべきだ、という立場です。
イランは日本にとって伝統的な友好国で、また原油の多くを輸入している経済的にも重要な国ですので、多方面外交ルートを確保することは日本の国益にまさしくふさわしいはずなのに、鳩山氏のイラン訪問がなぜ一方的にこれほど非難されるのか、そもそも何を非難しているのか、理解に苦しみました。
そして、それを批判する記事をようやく見つけました。
http://news.infoseek.co.jp/article/14gendainet000167600
鳩山のイラン訪問 そんなに間違ったことか- ゲンダイネット(2012年4月14日10時00分)
イランを“電撃”訪問した鳩山由紀夫元首相が新聞テレビから袋叩きされている。アフマディネジャド大統領との会談で、国際原子力機関(IAEA)の対応を「二重基準」と鳩山が批判した――とイラン大統領府が8日に公表したことを受け、「国益を害した」「『利用される』懸念的中」などと非難囂々(ごうごう)だ。だが、この報道には違和感を覚えるのだ。
鳩山は民主党の「外交担当」最高顧問としてイランを訪問したのだが、訪問予定が判明した時から批判的な意見ばかり報じられていた。ルース駐日米大使が野田首相周辺に訪問自制を求めたことや、野田自身が電話で訪問中止を再三要請したことばかり取り上げられ、「訪問=悪」みたいな雰囲気が出来ていた。
だがイランは日本にとって最重要な国だ。イランが経済制裁に抗議してホルムズ海峡を封鎖すれば、どうなるか。輸入原油の8割以上がこの海峡を通る日本は大きなダメージだ。日本経済はパニックである。鳩山が最悪の事態を避けるためにイラン訪問を思い立ったのは別に悪いことではない。
それなのに新聞テレビは帰国後も「日本外交にマイナス」「イランに誤ったメッセージを送る」と大騒ぎだからワケが分からない。なぜ外交チャンネルをつくることがいけないのか。鳩山の言動はそんなに国益を損ねたのか。元外務省国際情報局長の孫崎享氏がこう言った。
「まずホルムズ海峡が封鎖されれば最も被害を受けるのは日本です。だからイランとの協議は日本として当然やるべきです。米国は訪問自制を求めていたようだが、彼らは英仏独中ロと一緒にイランと協議している。行くなというなら、日本もこの協議に参加させるべきで、参加させてもらえないのだから、日本が独自協議するのは当たり前です」
まったくだ。新聞テレビは、イラン訪問の「本質」を一切伝えないばかりか、鳩山個人の“宇宙人”的な資質問題を歪曲化して報じている。しかも、その批判も的外れが多い。
「鳩山氏がIAEAの『二重基準』を批判したかどうかが問題になっているようですが、発言の有無はともかく、指摘自体は間違っていません。IAEAは核開発をやめさせることだけではなく、核保有国に対しても武器を他国への“脅し”の手段にしてはいけないと求める役割がある。しかし、米国は04~05年にイランへの核攻撃を計画し、イスラエルも核攻撃をにおわせている。日本の外務省は60年代、核保有国が武器を“脅し”の手段にしないよう求めていて、鳩山氏の指摘は当然なのです」(前出の孫崎氏)
鳩山を首相辞任に追い込んだ09年の普天間基地移設問題の報道といい、今回のイラン訪問の報道といい、日本の新聞テレビは、米国がちょっと文句を言うと、たちまち思考停止して、米国ベッタリになる。日本の外務省ともども、米国のポチだ。
いっそのことワシントンに引っ越した方がいいんじゃないのか。
(日刊ゲンダイ2012年4月11日掲載)
(引用終わり)
気持ちよく批判してくれています!(笑)。
本当に、アメリカなどというつまらない・ヒドイ国にいつまで尻尾を振り続けるのでしょうか。
さて、当のイランはどう考えているのか、いつもお馴染みイランラジオの日本語ページを読むと、さらに一歩深読みして、こんなことが書かれていました。
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=27385:2012-04-10-14-03-29&catid=50:2010-09-15-06-17-25&Itemid=119
(引用開始)
鳩山元首相のイラン訪問の真の目的は、イランの協議の相手側である西側政府のイランへのメッセージを伝えると共に、イランの高官の見解を知り、それを西側に伝えることにあった。
実際、鳩山元首相のイラン訪問は、個人的な非公式のものなどではなく、外交慣習や実施された会談を考えると、原則的に、そのようなものではありえない。彼は公式な任務の枠内でイランを訪問した。この中で、日本政府が明らかにした批判や反対も、彼の真の目的を覆い隠すために行われたものだと見ることができる。
日本政府は、今回の一連の出来事において成功を収めたようだ。なぜなら、鳩山元首相のイラン訪問は、西側メディアでほとんど取り上げられておらず、日本の新聞・通信各社も、一部の出来事や日本政府の鳩山氏に対する批判を報じるに留まっているからだ。また、それを証明するのが、鳩山氏が帰国した翌日に、玄葉外務大臣がワシントンを訪問したことである。
日本の報道各社によれば、玄葉大臣は、この訪問で、アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、ロシアの外務大臣と会談し、イランをはじめとする国際問題について話し合いを行うことになっている。今回、玄葉大臣が会談を行う国々は、イランが協議を行う相手国と重なっており、それは、鳩山元総理大臣が今回のイラン訪問で、実際、6カ国の使節としての役割を果たした、ということを証明しているのと言えるだろう。
最終更新 ( 2012年 4月 10日(火曜日) 18:38 )
(引用終わり)
これが本当なら、日本政府もやるなぁ、という感じですが、ふーん。。。
民主党にそんな難しい芸当ができるようにも思えないのですが。
遺憾ながら、イランが日本政府を買いかぶりすぎているように思うのは、私だけでしょうか。
とにかく、鳩山元首相を批判するマスコミ報道を鵜呑みにしないで、色々な背景を考えることが必要です。
また、民主党がどこまで頼りになるかというとはなはだ心もとないですが、一方で対米追随だけで思考停止している自民党(谷垣・安倍)では、もっとダメですね。外交オンチの日本は、いつになったら自律的な外交ができるようになるのでしょうか。
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