文字通り、宇宙まで行けるエレベーターです。
単なる空想の話ではありません。欧米および日本で、その実現に向けて真剣に研究されています。
私は、お台場にある科学未来館のドームシアターで、そのオリジナルアニメを見て最初に知りました。
『宇宙エレベータ ~科学者の夢みる未来~』公式サイト
http://www.space-elevator.jp/index.html
今回、JSEA 一般社団法人 宇宙エレベーター協会という団体が開催した、宇宙エレベーター技術競技会のプロモーション映像というのがあるのを知りました。
http://gigazine.net/news/20120215-space-elevator-competition-pv/
その映像の前に、まずは、宇宙エレベータの仕組みの解説を同協会のサイトから引用します。
http://jsea.jp/How-to-know-SE
(引用開始)
宇宙エレベーターの仕組みは、簡単に説明すると次のようなものです。
地球を周る人工衛星は、地球の重力で下(内側)へ引っ張られている力と、遠心力で上(外側)に飛び出そうとする力が一致して釣り合っているため、高度を維持して周回し続けています。このうち赤道上の高度約3万6000㎞を周る人工衛星は、周期が地球の自転と同じで、地上に対して天の一点に静止しているように位置するため、「静止衛星」などと呼ばれます。
この静止衛星から、地上へ向けてケーブルを垂らしたとしましょう。ケーブルを吊り下げた分、衛星の地球に向いている側、つまり下の方がやや重くなり、このままでは徐々に地球の重力に引かれて落下してしまいます。そこで、反対側にもケーブルを伸ばしてバランスをとれば、衛星は静止軌道の高度を維持して回り続けられますね。

次に、下向きのケーブルをさらに伸ばす。また重さが偏るので再び反対側も伸ばす。これを繰り返していくと、下へ伸ばしたケーブルはやがて地上に到達し、地上と宇宙を結ぶ長大な1本の紐になります。このケーブルに昇降機を取り付け、人や物資を輸送できるようにしたものが宇宙エレベーターであり、原理はとてもシンプルなのです。

宇宙エレベーターは、人が地上と宇宙との間を往復したり、物資を輸送したりする上で理想的な手段です。実現する上で「解決不能な課題はない」と言われています。宇宙進出を進める人類にとって、将来不可欠の輸送手段です。
(引用終わり)
動画での説明の方が分かりやすいかもしれません。
こちらも宇宙エレベーター協会のサイトから。
同協会のサイトにはもっと詳しい説明がありますので、興味のある方はぜひ。
また、Wikipediaでは「軌道エレベータ」という名称で記事が書かれています。
これらの記事によると…、
宇宙エレベーターは科学者やSFファンの間で古くから知られていましたが、技術上の課題、特に宇宙から地上へ吊り下ろせる強度を持つケーブル素材がないために、夢物語にとどまっていました。
1975年に行われた研究によると、上空に行くほど重力が小さくなり、かつ遠心力が強くなることを考慮に入れると、一様な太さのケーブルを4,960km下に伸ばしても切れない強度の素材が必要だとわかったものの、当時入手可能な素材では鋼鉄が50km、ケブラー繊維が200km程とまったく足りませんでした。
しかし1991年、日本のNECの飯島澄男氏がこの条件に応えられる素材「カーボンナノチューブ(CNT)」を発見しました。これを機に宇宙エレベーターの議論が一気に加速されたそうです。
CNTについては、日本・世界の大学・研究機関・企業でその工業的製造方法の研究が進められています。
CNTを発見した飯島澄男氏は、ノーベル化学賞・物理学賞の有力候補と見られています。
そして重要なのは、その運転費用。Wikipediaより。
(引用開始)
籠の昇降には電気動力を使い、ロケットのように燃料を運び上げる必要がないため、一度に宇宙空間に運び出す(または宇宙から運び降ろす)荷を大幅に増やすことができる。また、上るときに消費した電力は位置エネルギーとして保存されているので、降りで回生ブレーキを使って位置エネルギーを回収すれば、エネルギーの損失がほとんどなく、運転費用が非常に安くて済む。
一つの試算によると現行ロケットの場合、1ポンドあたり4 - 5万ドルなのに対し、軌道エレベータの場合約100ドル(1kg当たり220ドル)となる。
(引用終わり)
ロケットの500分の1のコストになるとは、確かに魅力的な技術です。
さてさて、「第3回宇宙エレベーター技術競技会のプロモーションビデオ」です。
…思いのほか、地味でした(笑)。
36,000kmが最終目標ですが、今回は0.5km。道程は、まだまだはるかかなたです。
しかもこのビデオ、技術的に何が難しくて、どのチームがどんな工夫をしているのか、よくわかりません。
「プロモーションビデオ」とまで銘打っている割には、うーむ。。。テレビ局にでも撮影と編集を任せた方がよさそうです。
それはともかく、とても夢のある研究ですね。
2031年10月27日の開通を目指しているそうですので、自分の目で宇宙エレベーターの実現を見ることが、(もしかしたら乗ることが!?)できるかもしれません。