映画『コンテイジョン』(接触感染)  | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

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硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

エティハド航空の成田からアブダビまでのフライトで観た映画のひとつが、『コンテイジョンContagion』でした。

Contagionは接触感染という意味だそうで、新型インフルエンザの世界的流行を描いた映画です。

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監督はスティーヴン・ソダーバーグ。

『オーシャンズ』シリーズで、豪華キャストを使う映画を撮っています。
『トラフィック』でアカデミー賞監督賞を取っているそうですが、私は知りませんでした。
私にとっては、それよりもとても面白かった『エリン・ブロコビッチ』(主演のジュリア・ロバーツはこの映画でアカデミー賞主演女優賞)を撮影した監督でした。

キャストは、

マリオン・コティヤール (『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』でアカデミー賞主演女優賞)
マット・デイモン (『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』でアカデミー賞脚本賞、『プライベート・ライアン』、『オーシャンズ』三部作、『ボーン』シリーズ)
ローレンス・フィッシュバーン (『マトリックス』シリーズ、『M:i:Ⅲ』)
ジュード・ロウ (『リプリー』『コールド マウンテン』)
グウィネス・パルトロウ (『恋におちたシェイクスピア』でアカデミー賞主演女優賞)
ケイト・ウィンスレット (『タイタニック』、『愛を読むひと』でアカデミー賞主演女優賞)

と『オーシャンズ』シリーズ同様、豪華キャスト勢ぞろいです。(私は3人しか知りませんでしたが。)


あらすじ(最初の部分) 公式サイトより
http://wwws.warnerbros.co.jp/contagion/index.html#/synopsis

(引用開始)
「会えてよかった」。飛行機を待つ間、かつての恋人ジョン・ニールと携帯電話で話すベス・エムホフ(グウィネス・パルトロウ)。香港に出張したベスは、夫のミッチ(マット・デイモン)が待つミネソタの自宅にまっすぐ帰らずに、シカゴでジョンと密会したのだ。

ベスは咳込み発熱していた。そして、同じような症状の人間が各地でなくなる。香港ではカジノのウエイターが、ロンドンではウクライナ人のモデルが、東京でもビジネスマンがバスの中で突然倒れる。

何かあると最初に嗅ぎつけたのは、フリー・ジャーナリストのアラン・クラムウィディ(ジュード・ロウ)だ。彼は東京で男が倒れる映像をブログにアップし、政府が隠す伝染病ではないかと指摘する。

帰国から2日後、ベスの容態が急変、激しい痙攣を起こして意識不明に。救急車で運ばれるがまもなく死亡、茫然とするミっちに追い打ちをかけるように、ベスの連れ子クラークにも異変が。ミッチが帰宅したときには、すでにクラークの息はなかった。

報告を受けた世界保健機構(WHO)が動き出し、ドクター・レオノーラ・オランテス(マリオン・コティヤール)らが調査を始める。まもなくウエイターの妹とベスの不倫相手が死亡。ベスの解剖が行われるが、彼女の脳を見た医師は息をのみ、「全方面に通報しろ」と助手に命じる。

アトランタの疾病予防管理センター(CDC)も調査に乗り出す。エリス・チーヴァー博士(ローレンス・フィッシュバーン)は危険を承知で、部下のドクター・エリン・ミアーズ(ケイト・ウィンスレット)をミネソタに送り込む。まだ病名がわからない今、彼女の任務は感染が疑われる人々の隔離だ。
(引用終わり)

さらに、核心部分も含めて、こちらに書かれていましたので、興味のある方はどうぞ。
http://blog.livedoor.jp/y0780121/archives/50674605.html#


さて、感想は…、

正直に言って映画としては、あまり面白いとは言えませんでした。

それが手法なのでしょうが、盛り上がりに欠けるとでもいうか…。ストーリーはさして驚きもなく、豪華キャストが普通の人として描かれます。ワクチンも、ひとひねりあるとは言え、案外簡単に発見されて量産されるし。製造の数量が足りないことも描かれますが、これもやや淡々と。映画の最後にウィルスがこのようにして発生したという説明もあまりにも簡単。

それぞれの人物に散りばめられたストーリーは…、ワクチンを開発した女性医師とやはり医師の父との物語、誘拐されたオランテス医師の最後の行動、チーヴァー博士の掃除夫の息子へのワクチン接種・・・。どれももっと深く丁寧に描けば感情移入もできたのではと思われますが、全体の時間制限のためか、大急ぎでそれぞれのエピソードをちょっとずつ入れただけという感じで中途半端。

アメリカではそこそこの興行成績だったようですが、日本での成績は悪かったようですね。


一方で、フィクションのドキュメンタリー(?)というか、感染力の強いインフルエンザウイルスが発生したときのシミュレーションなのだとして観ると、興味深い点も多々ありました。

特に、ジュード・ロウ演じるフリー・ジャーナリストの動き。

最初にこれが新型ウイルスであるとネットで書いたことから人気ブロガーとなり、「新型ウィルスにはレンギョウが特効薬であり、WHOやCDCは真実を隠している!」とのデマをインターネットで流す。自分がtwitter等のネット上で人々から注目されていることに酔った、自己満足の愉快犯です。
そして、そのデマを信じた人たちが、レンギョウの買占め、奪い合い、暴動にまで発展します。

…どこかで聞いたような話。

福島第一原発事故発生直後、人々が放射性ヨウ素の摂取による甲状腺ガンの恐れにおののいていた頃、「政府・御用学者は真実を隠している」との噂(これはある程度本当ですが)が流れ、「学者」と名のつく人のいうことは一切信じない一方で、ネット上の出所の怪しい噂の方は信じる人たちが増え、「放射性ヨウ素対策にはイソジンを飲めばいい」というデマがまことしやかに流れて、そのデマを信じた人が殺到してイソジンが売り切れました。イソジンを求めての暴動までは起りませんでしたが。

この映画のアメリカでの封切は2011年9月で、福島第一原発事故によるイソジン騒動よりも後ではあります。しかし、Wikipedia等によると2010年から映画の準備はされているので、きっと脚本の方が先だろうと思います。その意味で、twitterやfacebookの普及によって、民衆による「情報リテラシー」の問題が起きることを正確に予言していたとも考えられます。


映画としての面白みには欠けますが、いつか似たようなことが起き得るぞというシミュレーション映画としてはなかなかの秀作と言えるのかもしれません。