孫社長、経団連のエネルギー政策提言に反論 | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

孫正義ソフトバンク社長が、経団連の理事会で、経団連の「エネルギー政策に関する第2次提言」に反対する意見書を提出したと報道されています。

http://www.sankeibiz.jp/business/news/111116/bsc1111160501002-n1.htm

(引用開始)
 孫正義ソフトバンク社長は15日、経団連の理事会に出席し、同日の議題になった経団連の「エネルギー政策に関する第2次提言」に反対する意見書を提出した。

 米倉弘昌会長あての意見書は、提言に記された「原子力発電所の再稼働が非常に重要」との表現を削除するよう要求。また再生可能エネルギーの記述で「野心的な導入目標」という否定的な表現を改めるよう求めた。

 さらに電力会社が一括して担当している電気の発電と送電業務を分離するよう提案。欧州の例にならい国際間の電力融通も実現すべきだとしている。
(引用終わり)

さて、元の経団連の第二次提言は、ここにありました。

http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/107/honbun.html#part2

この機会に、これを読んで、私の個人的見解と比較してみました。


まず、「当面のエネルギー政策について」の中の、孫社長がかみついた原発の再稼動について。

(引用開始)
また、内閣の施政方針にもある通り、地元自治体との信頼関係の構築を前提に、定期点検終了後、安全性の確認された原子力発電所の再稼働が非常に重要である。政府には、一貫した方針のもと全力で地元自治体の信頼回復に取り組む責務がある。
(引用終わり)

 停止している原発の再稼動については、以前から書いているように、私は必ずしも絶対反対ではありません。電力の安定供給のためには、安全が確保されていると確認できれば(どうやって確認するか・判断するかが重要ですが)、停止している原発を再稼動することを考えるしかないと思います。

一方で、安全でない原発は、現在稼動中でもすぐに止めるべきです。菅直人前首相が浜岡原発を停止させたのは、(背景に何があるにせよ)英断でした。


発電・送電の分離については、経団連の第二次提言では、以下のように書かれています。

(引用開始)
発送電の分離については、電力の安定供給や経済性に多様な影響を及ぼす。電力の安定供給の確保、電力料金の抑制といった政策目的を達成する観点から、他国の経験を十分踏まえ、メリット・デメリットの両面を客観的に分析すべきである。とりわけ、現在のわが国のように電力供給力が毀損されている状況下で発送電分離がどのような効果をもたらすのか、十分な検討が必要となろう。
(引用終わり)

うーん、「分析すべき」「検討が必要」と、否定的ですが否定している訳ではない、という微妙な書き方になっています。私は、発送電の分離を行うべきだと考えていますが、もちろんその方策についてはしっかり検討が必要なのは当然のことです。


経団連の提言で、私と最も意見が異なるのが、原子力発電の今後の取組みです。

(引用開始)
原子力分野では、新興国を中心に原子力発電の増加が見込まれるなか、日本の技術への国際的な期待は現在でも大きい。わが国は、これまでの研究・開発の成果や、福島第一原発事故に関する対応・教訓を活かし、原子力発電の安全性を世界最高水準に高めながら、原子力利用を模索する国々の関心に応え、世界の原発の安全利用に貢献していく必要がある。
そのためには、原子力発電所事故への対応や安全性の向上に資する研究開発および人材の育成・確保に引き続き取り組むべきである。
また、安全性の強化に向けた国際的なルール作りや緊急時の国際協力体制整備に積極的に貢献すべきである。
(引用終わり)

経団連では、まだ原子力発電を推進することに望みを持っているようですね。

私の意見というよりも見通しでは、日本でもう新しい原子力発電所を建設することは不可能でしょう。住民・国民が許可するとは考えられません。そうすると、既存の原子力発電所の運転を継続していったとしても、次第に老朽化して停止するしかなくなるでしょう。したがって、中長期的には(30年程度?)で、日本には稼動している原子力発電所はなくなってしまうと予想します。

問題は、停止した原子力発電所の廃炉をどうするかです。解体するのには危険を伴いますし、たいへんなコストがかかります。また放射性廃棄物は確実に残るので、これをその後もあと数百年・数千年?安全に管理していく必要があります。

そのためには、原子力技術を理解し伝える人材を確保し続ける必要があります。原子力技術を理解するためには理系の優秀な頭脳が必要ですが、廃棄物の管理だけに陥った技術を学びたい優秀な若者がどのくらいいるでしょうか?これはなかなか難しい問題です。

国内に原発がなくなっても、海外に技術を売り続けられれば、もしかしたら技術の継続・人材の確保という意味ではいいのかもしれません。日本人が行う意味がどのくらいあるのか疑問になってきますが。

しかし、原子力発電は本質的に危険な技術であり、あまり想像したくないですが、いずれ中国などで福島同様・それ以上の事故が起きることを懸念します。そのときには完全に世界で原子力発電は終わりです。廃棄物の処理方法はいまだに確立されていないので、その管理だけは細心の注意で何百年も続けなければならない。

将来につけを回すまことに罪作りな技術です。どうやって原子力発電を終息させられるのかこそが、最重要課題として取り組むべき頭の痛い問題です。



さて、経団連の理事会での孫社長の行動を、最初の記事から引用すると、

(引用開始)
経団連の理事会は毎月1回、定期的に開かれる経団連の中核意思決定機関で、現在の理事会社は約550社。同日は約300社が出席したが、孫社長の意見に対する反論や同調は全くなかったという。
(引用終わり)

孫さんの他に誰も発言しない会議なのでしょうか。一流企業の経営者の会合でも、何と日本的なこと。
そのことに驚きました。

こういう行動を取ると、日本では浮いてしまいますね。それが孫さんが一部(かなり?)の人に嫌われてしまう要因でしょうか。もちろん、(帰化されていますが、)在日三世であることも大きいでしょう。


職場でたまたま孫社長の話題になったとき、「孫社長は100億円寄付すると言っていたのにしていない」というウソを信じている方がいました。

他にもそういう方がいるかもしれないので、孫さんの名誉のためにも、以下の報道を引用しておきます。


YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110516-OYT1T00871.htm

ソフトバンクは16日、東日本大震災の被災者支援や復興資金として、孫正義社長が個人的に寄付する100億円の配分先を発表した。

 このうち40億円は、ソフトバンクや被災自治体が6月上旬に設立する公益法人「東日本大震災復興支援財団(仮称)」に寄付し、震災遺児や被災地の非営利組織(NPO)活動の支援などに使ってもらう。

 残りの60億円の寄付先は、日本赤十字社と中央共同募金会に10億円ずつ、日本ユニセフ協会など震災遺児への支援を行う公益法人に計6億円、岩手、宮城、福島3県には10億円ずつ、茨城、千葉両県には2億円ずつとなっている。

 孫社長は、2011年度から引退するまで、ソフトバンクグループ代表としての報酬全額も寄付する予定で、震災遺児などへの支援に役立てるという。


東日本大震災復興支援財団
http://minnade-ganbaro.jp/info/info_20110714_01.html

本日、孫 正義氏より当財団に対し、40億円の寄付が行われました。

被災地のこどもを支援する団体への助成
被災地のこどもの夢・挑戦をサポートする活動 ※
被災地のこどもの健やかな育成などに関わる寄附 ※

など、当財団の活動に役立ててまいります。


赤い羽根共同募金(中央共同募金会)
http://www.akaihane.or.jp/topics/detail/id/80/

ソフトバンク株式会社 代表取締役社長 孫正義氏(個人)から、本会が行っている「赤い羽根 ボランティア・NPO活動サポート募金」に10億円のご寄付をいただきました。
今後本会では、災害ボランティア・NPO活動の支援を通じて、被災地を支援する孫氏のご意思を尊重しながら、適切な助成活動を行ってまいります。


J-CAST ニュース
http://www.j-cast.com/2011/06/03097471.html

 ソフトバンクの孫正義社長は6月2日、岩手、宮城、福島の被災3県に義援金各10億円を送った。
 孫社長はこの日、岩手、宮城の両県庁を訪れ、それぞれ知事に寄付目録を手渡した。福島県庁には社長室長が代理で赴いた。