10月31日、独立国家をもたないパレスチナの国連教育科学機関(ユネスコ)への正式加盟が賛成多数で可決されました。
まず、パレスチナについて復習してみます。
地理的には、一般に現在のイスラエルとパレスチナ自治区(ヨルダン川西岸とガザ地区)をあわせた地域を指す。ここには、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地エルサレムがある。
19世紀まではここにはアラブ人が住んでいたが、20世紀になってユダヤ人が入植しはじめ(シオニズム)これを英国が支持。第二次大戦後の1948年にユダヤ人がイスラエルの建国を宣言。その結果として、もともとこの地に住んでいたアラブ人(パレスチナ人)とユダヤ人(イスラエル人)との対立が続いている。
1964年、西岸地区とガザ地区のアラブ系住民とパレスチナ難民の統合抵抗組織としてパレスチナ解放機構 (PLO) が設立された。PLOは当初はイスラエルの打倒を目指して抵抗運動(インテリファーダ)を行っていたが、その後、西岸地区とガザ地区を中心にパレスチナ人の独立国家を樹立してイスラエルと平和共存する道を模索するようになった。
1993年にパレスチナ暫定自治協定に基づいてパレスチナ暫定自治区が設立された。しかし、ヨルダン川西岸地区では、現在でもパレスチナ自治政府の支配権が及んでいる地域は半ばに満たず、残りはイスラエルの占領下にある。
現在、パレスチナに在住するパレスチナ人は約400万人、ヨルダン在住の難民が300万人、その他の国への移民や難民を含めると約940万人。
(以上、Wikipediaを中心としたまとめ。)
これをふまえて、今回のニュース。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2011110102000019.html
(引用開始)
国連教育科学文化機関(ユネスコ)は三十一日、本部パリで開かれている総会で、オブザーバー資格だったパレスチナの正式加盟の是非を問う採決を実施し、賛成一〇七、反対一四、棄権五二の賛成多数で可決した。正式加盟が認められたパレスチナは、国際社会での存在感を増すとともに、国連加盟に向け追い風にもなりそうだ。
イスラエルと親密な米国は、パレスチナの国連加盟と同じく、ユネスコへの正式加盟に反対し、ユネスコ予算の22%を占める拠出金の凍結を示唆していた。予算凍結についてユネスコ側は強い懸念を表明していた。
採決では中東諸国をはじめフランス、中国、ロシアなど多数の主要国が賛成。米国、ドイツなどが反対し、日本は棄権した。総会出席国の三分の二が加盟承認の条件だった。
パレスチナは今年九月に国連加盟を申請。ユネスコに「国家」を認める権限はないが、パレスチナ和平交渉が行き詰まる中、国際的な立場を強化するため申請に踏み切った。国連では拒否権を持つ米国が反対の姿勢を崩さず、採決のめどは立っていない。パレスチナは国連加盟のステップとしてユネスコ加盟を目指していた。
(引用終わり)
パレスチナのユネスコ加盟承認に反対して、米国はユネスコへの分担金(48億円)を凍結すると言っています。何ともはや・・・。オバマ大統領って、ノーベル平和賞をもらったはずですが…。アメリカはこの程度の国だということがよくわかる出来事です。
そもそも、パレスチナの加盟に反対するのは、米国で親イスラエル(ユダヤ)の勢力の力が強いから。
9.11米国同時多発テロもユダヤ人の陰謀であるというウワサがあるくらいです。(真偽のほどは不明ですが)
これに対する日本の行動に関して、毎日新聞は社説で、
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20111104k0000m070107000c.html
(引用開始)
ユネスコの投票で棄権に回った日本は93年以降、約12億ドルの対パレスチナ支援を実施した大口支援国だ。この際、イスラエルとパレスチナの歩み寄りに一役買ってはどうか。
(引用終わり)
と書いています。
エジプト人タレントのフィフィさんも、日本への失望と期待をつづっています。
http://ameblo.jp/fifi2121/day-20111101.html
(引用開始)
そして、国際会議の中でもアメリカの顔色伺ってる日本。日本はもはや独り立ちする事すらできなくなっている事を世界に晒してしまったんですね。
アラブは今でも日本に対して悪いイメージなんてありません。アラブはアメリカの傘の下、どこか不本意な態度で振舞うしかない日本の苦悩を理解しています。
ただ、もう立ち上がるときですよ?独り立ちを決心する時期ですよ?世界は動いているじゃありませんか!諦めちゃダメですよ!このまま流されてしまえば、日本らしさも、日本そのものも無くなってしまうのではないでしょうか?
(引用終わり)
しかし、日本のアメリカべったりの外交政策では、反対せず棄権したことくらいがせいぜいの抵抗なのでしょう。アラブ人には日本に好感を持つ人たちも多いというのに、残念なことです。
ところで、アメリカ・イスラエルに追随してパレスチナの加盟に反対したの14ヵ国とはどこなのか、気になります。(ならない?)
Googleで日本語で調べても、イスラエル、米国、カナダ、オーストラリア、ドイツまでくらいしか見つからない~と書かれているサイトが上位に。
こんなときは英語で検索。見つけました。
http://humanprovince.wordpress.com/2011/10/31/unesco-palestine/
反対国は、次の14ヵ国。
Australia, Canada, Czech Republic, Germany, Israel, Lithuania, the Netherlands, Palau, Panama, Samoa, Solomon Islands, Sweden, United States of America, Vanuatu.
並べ替えると、
(米州)アメリカ、カナダ、パナマ
(欧州)チェコ、ドイツ、リトアニア、オランダ、スウェーデン
(中東)イスラエル
(大洋州)オーストラリア、パラオ、サモア、ソロモン諸島、バヌアツ
です。
ドイツは歴史的にイスラエルに反対することは出来ないのでしょうね…。
このサイトには、棄権国・賛成国も載っています。
ヨーロッパ各国の意見が異なっているのも興味深いです。
イスラエルがここにあることは、これからもずっと脅威となる続けるのでしょうか?それともパレスチナとの平和共存は実現するのでしょうか?
月並みですが、とにかく、中東地域の平和を望みます。