福島第一原発 福島市の子どもの尿から放射性セシウム | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

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硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

福島第一原発の事故の影響で、福島市の子どもたちの尿から放射性セシウムが検出されました。

東北から離れるほど(中東ほどではなくても:笑)原発の話はもううんざりという人も増えているように思いますが、まさしく現在進行形の問題です。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110701k0000m040050000c.html

(引用開始)
福島県内の保護者らで作る市民団体「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」などは30日、福島第1原発事故の子どもたちへの影響を調べるため、福島市内在住の6~16歳の男女10人の尿検査を実施したところ、全員から放射性物質のセシウムが検出されたと発表した。同ネットワークは「福島市や周辺の子供たちも内部被ばくしている可能性が高い」として、全身の内部被ばく線量を測るホールボディーカウンターによる早期の検査実施などを求めている。

 会見した同ネットワークによると、5月20~22日に採った尿を放射性物質を調査するフランスの民間団体「ACRO(アクロ)」に依頼して解析。セシウム134(半減期2年)が1リットルあたり0.41~1.13ベクレル、セシウム137(同30年)が、1リットルあたり0.43~1.30ベクレルだった。ACROのデービッド・ボアイエ理事長によると、事故前はゼロだったと推測されるという。
(引用終わり)

さて、まず事実関係を確認してみます。

この尿の放射性セシウムの濃度は、どんなくらいのものなのでしょうか。
適切かどうかわかりませんが、水道水の基準と比較してみます。

- WHOが定めた水道水の放射線基準値は セシウム(Cs-137)   10ベクレル(Bq/L)
- 3/17以降・現在の日本の暫定基準値 セシウム(Cs-137)  200ベクレル(Bq/L)

http://www.chikyumura.org/earthquake/2011/post-19.html  より。
 セシウム134の基準値は見当たりませんでした。)

原発事故が起きてから、日本の水道水のセシウム137の基準は20倍に引き上げられたことが当時問題になりましたが(今でも問題)、ここではそれはさておき、飲み続けても大丈夫とされているるWHOの基準と比べても、数字的にはずっと低い値です。

ただし、これは尿で検出されたものであることに注意が必要です。ことはそう単純ではありません。
からだの中に放射性セシウムが存在して、それが代謝によって尿で排出されているものであり、放射性セシウムが体内に存在する限り、内部被曝は続きます。

では、記事に書かれているようにセシウム137だと半減期が30年ですので、30年後にようやく半分になるくらい被曝が続くのでしょうか?

答えは「いいえ」です。
「生物学的半減期」を考えるべきです。

以前の記事 から引用すると、

(引用開始)
・放射性物質が体内に留まる期間は種類によってさまざまで、それぞれに「物理学的な半減期」があるのと同時に、体外に排出されてその物質が半分の量になる 「生物学的な半減期」があります。実際に体内で半分の量になるのに必要な時間、つまり「体内の半減期」はこの二つの要素の総合効果で決まります。

・体に蓄積する放射能(図)
  甲状腺 ヨウ素 体内の半減期  7.5日
  筋肉 セシウム     〃 110日
  骨  ストロンチウム  〃     18年
(引用終わり)

この記事(週刊金曜日からの要約)ではセシウムが134なのか137なのかわからないので調べたところ、以下のような情報が出てきました。
http://ameblo.jp/bousaibouhan/entry-10843408131.html

セシウム-137
物理学的半減期:約30.1年
生物学的半減期:約70日

セシウム-134
物理学的半減期:約2.06年
生物学的半減期:約100~200日

 
物理学的半減期の短いセシウム134の方が、生物学的半減期は長いのですね。
放射線を出すことを除いて、同位体は化学的には挙動が同じで生物学的にも同じような気がしていたのですが、複雑なものですね。

いずれにせよ、放射性セシウム134、137とも、半減期は100日のオーダーであることは確かなようです。
ただ、半減期はわかっても、内部被曝の絶対値はわかりませんが。


さて、これを踏まえて、この危険性をどう捉えるべきなのでしょうか?


先ほどの毎日新聞の記事では、次のようなコメントが続いていました。

(引用開始)
今回の測定値について、内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長は30日の臨時会議後、「十分低い値。健康への影響は疫学的に考えられない」との認識を示した。そのうえで、継続的に子どもの健康を管理するシステムを構築するよう国に求めた。
(引用終わり)

しかし、デタラメ氏、いや、斑目氏の言うことなど、もう誰も信用しないですよね。そもそも疫学の専門家でもないし。コメント聞く価値なしですね。

NHKの記事では、以下のようです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110630/t10013893131000.html

(引用開始)
放射線影響研究所の長瀧重信元理事長は「この量で健康被害があったという報告は、これまでにない。過度に心配せず、ふだんどおりの生活をしてほしい」と話 しています。
財団法人高度情報科学技術研究機構によりますと、大気中の核実験の影響を調べるために昭和30年代後半に行われた、日本人の中学生の尿の分析 で、セシウム137は、昭和39年におよそ4.5ベクレルと、今回の3倍以上の濃度だったということです。
(引用終わり)

長瀧氏は専門家ですが、御用学者とされている一人ですので、注意して発言を見るべきです。
しかし、「ふだんどおりの生活をしてほしい」とは、思い切ったことを発言しましたね。
さすがに、よほどの自信がないと、ここまでの発言はできないでしょう。

一方の、今回のデータが昭和30年代の中学生よりも低いという事実は、安心材料として貴重です。

さて、われらが小出先生の意見はこのようです。
毎日放送ラジオ「たね蒔きジャーナル」6/30放送での発言をまとめられたものです。

http://d.hatena.ne.jp/pinsuke/20110630/1309441971

(引用開始)
 そして小出先生のお話、福島市の市民団体、6歳の子供の尿検査で、放射性物質の検出があり、これについて、小出先生の見解は確実に福島事故から来たもので、内部被曝は確実、本来人の体からは出ないもので、セシウム137は通常より一桁多い、非常に高い、セシウム135は半減期2年、事故が起きないと環境にはない、検出=原発事故=内部被曝なのです。セシウム137は核実験にも出る、しかし、尿には通常で0.1ベクレルであり、体に影響は必ず出ます。

尿にはカリウム40があり、セシウム137の1000倍はある、被曝の危険度は、カリウムの方が危険とのことです。しかし将来の発ガンのリスク、必ず増えます。人間の発ガン率、セシウムで上乗せされるのです。尿からの検出、排出される可能性もありますが、体にたまるのもあるのです。今回の測定、何月何日かということも大切です。大量に取り込むと排出も多い、その後は少なくなるのです(5月下旬の採取)、3月の採取だと、もっと高い値になるはすです。長期的に、低線量被曝することになるのです。

 対策は土地を離れる、食べ物で取らないことであり、学校給食に汚染度の少ないものを子供に与えて欲しいのです。
(引用終わり)

小出先生はたいへん尊敬しておりますが、ときどき極端な発言をされることがあるのでちょっと注意も必要です。
「土地を離れる」決断は、この微妙なレベルでは、福島市で生活している方々の現実として、そう簡単なことではないでしょう。

発ガンリスクは確かに増加するのでしょうが、何年も経って統計を取ってみて発生率がやや高くなったとわかるレベルでしょうから、人間の性として自分は大丈夫と思い込んでしまうものでしょうね。

ただ、食べ物から摂取しないように注意することは有効ですね。
福島市(および周辺)の人にとって不幸な今回の被曝は全く不必要な被曝であり、少なければ少ないほどいいことは間違いありません。


個人的な意見をまとめると、以下のようなところです。

・こんな被曝はあってはならないことであり、東電および政府は住民の健康を正しくモニターすべきです。また今後、もしも被曝が原因の健康被害であると疑われるケースがあれば、争うことなく救済するべきです。

・ただ、今回の数値からすると、明らかな健康被害が多数起きるレベルではないだろう(わずかに起こるかしれない)と考えます。

・この地域に住む人、特に子どもは、できる限り被曝量を少なくするように注意して生活されるべきでしょう。