昨日、恵比寿の単身赴任寮を引き払いました。現在は千葉県の自宅。
月曜日は最後のみなとみらい出勤で、火曜日に中東の長期出張に向かいます。
個人的事情はさておき・・・、
今週の週刊金曜日で、本多勝一氏が珍しくマスコミの報道を誉めています。
東京新聞の6/3付けの特報部記事 「菅降ろしに原発の影 与野党に『電力人脈』」
(ちょっと古い記事になりますが・・。)
この記事、ネット上では直接は見られないようですが、それを引用したブログ記事がいくつか見つかりました。
http://onihutari.blog60.fc2.com/?m&no=55
http://blogs.yahoo.co.jp/huchisokun/60660782.html
これらおよび週刊金曜日の本多氏の記事から、東京新聞の記事を間接的に要約・引用させていただきます。
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菅降ろしに原発の影
「菅降ろし」の風はなぜ急に力を得たのか。「背後に見え隠れするのは、やはり『原発』の影だ。初の市民運動出身宰相は、この国の禁忌(タブー)に触れたのでは」。
「菅首相が原子力政策の見直しに傾斜するのと呼応するように、自民、公明両党、民主党内の反菅勢力の動きが激化していった」。
例えば菅首相は、5月6日には浜岡原発の一時停止を、5月18日には電力事業の発電・送電の分離を検討する考えを表明、5月24日には「事故調査・検証委員会」を設置、さらに5月25日には再生可能な自然エネルギーの占める割合を2020年代早期に20%へと拡大する方針も打ち出した。
他方で自民・公明は、表向きは震災復興を言うが、不信任決議案の提出を進めたのには「原発をめぐる首相の言動が念頭にあったことは間違いない。実際、自民党の石原伸晃幹事長は6月2日、不信任への賛成討論で『電力の安定供給の見通しもないまま、発送電の分離を検討』『日本の電力の3割が原発によって賄われているのに、科学的検証もないままやみくもに原発を止めた』と攻撃。菅降ろしの最大の理由の一つが原発問題にあることを"告白"した。」
民主党内でも、「電力業界との縁が深い小沢一郎」周辺が、5月の連休後に不信任可決に向けた多数派工作を開始、5月24日には「自民党時代から地元福島で原発を推進してきた」渡部恒三が合流した。
金子勝・慶應義塾大学教授が指摘するように、福島第一原発の大事故は「財界中枢の東電、これにべったりの経済産業省、長年政権を担当してきた自公という旧態依然とした権力」が引き起こした大惨事であるのに、『管政権の不手際』に問題を矮小化しようとする意図が見える。
「自公は事故の原因が自分たちにあることが明らかになってしまうと焦った。」それを電力業界との縁が深い小沢氏があおったのではないか。
与野党に「電力人脈」
自民党と原発:1954年中曽根康弘が中心となって「原子力の平和利用」つまり原発予算を初めて成立させる。1955年、自民党誕生の年に原子力基本法成立。1974年田中角栄政権期に電源三法、地方へのばらまきで原発立地を一気に進める。2009年の自民党への政治献金報告には電力会社の会長・社長・副社長・常務クラスが名を連ねている。元自民党政調副会長の加納時男は元東京電力副社長で自民党内で原発推進の旗振り役を務めた。
民主党と原発:元東京電力社長・会長で1990年から94年まで経団連会長の平岩外四は、小沢一郎が設立した「ジョン万次郎の会」を通じて小沢を支援。東京電力擁護の発言をしている与謝野馨も元日本原子力発電の社員。電力会社の御用組合である電力総連も有力な民主党支持団体、「労働組合とはいえ労使一体で・・原発推進を掲げてきた。」小林正夫(東京電力労組出身)・藤原正司(関西電力労組出身)など組織議員も。
「エネルギー政策の見直しを打ちだした菅首相は、これだけの勢力を敵に回した可能性がある。結局、菅首相は『死に体』となり、発送電分離や再生可能エネルギー拡大への道筋は不透明になった。・・すべてを『菅政権の不手際』で"収束"させるシナリオが進行している。」
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「菅氏の人間性には「普通じゃない」という表現では表しきれないような異常性がある」
(同じ週刊金曜日の大塚将司氏の記事)というようなことはしばしば報道されていて、菅首相は支持するに足りる首相ではないことは明らかになってきています。
不信任案騒動のドタバタで、時期はまだはっきりしていませんが、近いうちに辞任することは間違いないことでしょう。
しかし、その裏にこのようなわかりやすい構図があったことを見落としていました。
発電・送電の分離や原子力発電所の停止・廃炉、自然エネルギー比率の大幅向上という国の政策の大転換は、このような災害時でなければ実現できないと容易に推定されます。
被災された方々にはたいへん申し訳ない言い方かもしれませんが、今回がめったに起こらないチャンスです。
どの程度将来ビジョンを持って進めていたか疑問があるとしても、菅首相がこの大転換の方向に舵を切ってきたことは事実です。
「大連立」などと言って、結局、原発を維持したい勢力がゾンビのように政権に戻って来て、原子力政策の維持の方にゆり戻しすることは絶対に起きてほしくはないと、強く願います。