福島第一原発 4号機使用済み燃料プールの状況 ~3号機は? | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

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硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

福島第一原発の4号機の使用済み燃料プールの水から、高い放射性物質が検出され、東京電力は、「燃料の一部は破損しているものの、大部分は健全だとみられる」という見方を示しています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110413/t10015297551000.html


しかし、「一部破損」「大部分健全」ってどんな状況を想定しているのかよくわかりませんが、記者は突っ込まないですね。。。

大部分は健全とは、一部の燃料棒が破損して燃料ペレットが水に接しているが、放射性物質の濃度がさほど高くないので、破損しているのはわずかと判断される、というようなことでしょうか。


その前の記事がこれです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110413/t10015294891000.html


福島第一原発の4号機の使用済み燃料プールについては、12日、特殊車両のアームを使ってプールの水温を初めて調べた結果、およそ90度と、40度以下と いう通常の温度よりかなり高くなっていることが分かりました。このため、東京電力は、燃料を冷却するため、13日午前0時半から午前7時前にかけて195 トンの水を放水したということです。東京電力によりますと、水温の測定状況からプールの水位を推定すると、本来より5メートルほど下がっていますが、水面は核燃料よりも2メートルほど高い位置にあるとみられ、13日朝の水の放水で、さらに1メートルほど上がったとみられるということです。

水温が高くなっていることについて、東京電力は、本来の海水で熱を取り除く循環系の冷却機能が失われているため、水の注入によってプールの水が蒸発するのを抑えている状態で、結果的に温度が高くなっているとみています。

4号機の燃料プールを巡っては、原子炉の大規模な工事の関係で、炉内の核燃料がすべてプールに移され、福島第一原発の中では最も多い1331体の燃料を束ねた燃料集合体が保管され、1時間当たり200万キロカロリーという高い熱量を持っていることが分かっています。

東京大学大学院の岡本孝司教授は「90度というのは、プールの水が一部沸騰しているものの、水によって冷却ができていることを示している。放射線量が高い値を示していることから、核燃料が損傷して、中に閉じ込められていた放射性物質が漏れ出している可能性がある。


ちょっと計算してみました。

燃料プールの大きさは、29m×12m×深さ11mとの情報がありました。水位が通常より5m低いことから、深さ6mとすると、水の量は(燃料を無視)は約 2,000ton。

発熱量が 2,000,000 kcal/h とのことなので、その熱が水の温度上昇だけに使われるとすると、水の比熱 1,000 kcal/ton・℃ を使って、温度上昇速度は 1.0℃/hとなります。

1日に24℃、もともと40℃として3日もたてば100℃に達して沸騰してしまいます。

それに、195tonの水が20℃としてこれでプールの水温を下げたのだと仮定しても、
 (2000×90 + 195×20) / (2000 + 195) = 84℃
になるだけで、6時間も経てばもとの温度に戻ってしまいます。

したがって、熱量が正しいとすると、測定された温度の90℃は測定の誤差か、温度が均一でないかであり、使用済み燃料プールが沸騰している=100℃であることは間違いなさそうです。

沸騰している場合、蒸発熱は540 kcal/kgなので 沸騰する水の量は、3.7ton/h = 89 ton/日 となります。
したがって、今回追加した195トンの水は、およそ2日分強という計算になります。

使用済み燃料プールの冷却といっても、温度は沸点の100℃で一定、水を沸騰させて発熱を奪っており、水位が下がって燃料棒が露出してしまわないように、水を追加し続けているのだ、と考えます。

蒸発した水は、空気中に放出されるのですが、その後、どこに行っているのでしょうか??
容器に覆われているわけではないので、こちらは大気中に拡散してしまっているのかもしれません。


しかし、こんな中学生レベルの簡単な計算でわかることなのに、

プールの水温を初めて調べた結果、およそ90度と、40度以下と いう通常の温度よりかなり高くなっていることが分かりました。

って、どういうことでしょうか?

発熱量が1時間あたり200万キロカロリーということがわかっている専門家であれば、今も40度に維持されているなどと夢にも思っていないでしょう。

安全保安院の報告書を見ると、
http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110413009/20110413009-3.pdf

4号機への放水は、3/30、4/1、4/3、4/5、4/7、4/9に行われた後、少し間があいて(この間に上記一連の報道)、4/13に行われています。
むしろ発熱量は、その水位の下がり方から(私が行ったのと同じ方法で)推定しているのに違いないと考えます。

それなのに、なぜ「40度よりずっと高い」などということをいまさら発表するのか、はなはだ疑問に思います。


一方で、3号機の使用済み燃料プールは、今どうなっているのでしょう?

3/22にようやく高所に放水できるようになったとき、3号機にばかり集中して放水されました。
http://ameblo.jp/tomamx/entry-10838219180.html

3号機の原子炉ではMOX燃料を使っているのは間違いありませんが、使用済み燃料プールにMOX燃料があるのかどうかについては、東電も政府もマスコミもはっきり説明していないようです。
しかし、このように集中して放水されたことから、その疑いは強いと思います。

で、その後の3号機への放水ですが、3/29、3/31、4/2、4/4、4/7、4/8、4/10、4/12に行われています。
4号機よりも少し多いです。

しかし、3号機の使用済み燃料プールのことはほとんど報道では触れられません。
安定しつつあるのであればいいことですが、MOX燃料について隠蔽する態度には、不信感が募ります。。

4号機と同じように、3号機の使用済み燃料プールの放射性物質の分析などは行わないのでしょうかねぇ・・・?