その結果によると、4/7から4/8にかけて、一旦南に流れていた放射性物質が、風向きが変わって南風になった結果、戻ってきて日本列島をなめるように進むと予想されていました。
そして、文部科学省が行っている都道府県別の「環境放射能水準調査結果」のデータに注目しましょうと書きました。
測定結果を見ると・・・
4/7から8日にかけて、全体としては特に目立った放射線濃度の上昇は見られませんでした。
仙台市と青森市・盛岡市・秋田市あたりだけが、4/8のお昼前後に、やや高くなりました。
これは南風が吹いたためだろうと推定されます。
(単位はマイクロシーベルト毎時)
仙台市 4/8 11-12時 0.091 (それまで0.078~0.080) 過去の平常値の範囲 0.0176~0.0513
青森市 4/8 11-13時 0.036 (それまで0.026~0.027) 〃 0.017~0.102
盛岡市 4/8 13-14時 0.031 (それまで0.024~0.026) 〃 0.014~0.084
秋田市 4/8 12-13時 0.043 (それまで0.034~0.035) 〃 0.022~0.086
仙台市だけは過去の平常値の範囲を超えています。というか、仙台は平常値が低かったんですね。
イギリス気象庁の拡散シミュレーションでの結果からは、4/7から4/8にかけて全国で放射線濃度が上昇するかと思われたのですが、そうはなりませんでした。
自分のエンジニアとしての仕事の場合でもそうなのですが、シミュレーションというのは理論も前提条件も正しくないと正しい結果は出ません。
それにも関わらず、最近は見た目に美しい画像で結果が表示されるので(さらに英語で書かれてたりすると!)、いかにも正しいのじゃないかと錯覚させられることがあります。
今回の結果だけで、イギリス気象庁の拡散シミュレーションが全く信用できないとまで言い切れないですが、大騒ぎすることなく、慎重に評価しなければならないようですね。
それから、日本の気象庁でも、ようやく放射性物質の拡散シミュレーションを公表するようになりました。
http://www.jma.go.jp/jma/kokusai/kokusai_eer.html

ここには、わざわざこのようなただし書きが赤い字で目立つように書かれています。
《資料を参照する上での注意事項》
* これらの計算結果は、IAEAの指定する放出条件に基づいて計算したものであり、いわば仮定に基づくものであって、実際に観測された放射線量等は反映されていません。
* 当庁の同業務における計算の分解能は100km四方と、避難活動等の判断にとって極めて粗い分解能で行われているものであり、このため、この結果は国内の対策には参考になりません。
ということで、こういう点を意識しながら参照すべきもののようです。