「これは、参加しないと絶対に後悔する!」と思ったんですよ。
あのロンドンを拠点にしたカリスマ的なクリエイター集団「Tomato」の共同創設者が集まって講師を務める、最高のクリエイティブワークショップ。しかも、会場は目黒にある僕のお気に入りのデジタルファブリケーション工房「Makers' Base」。
参加しないっていう選択肢はあり得ない。絶対に行きたい!!
2週間、10日間のワークショップだけど、有休を使えばなんとかなる……はず。
問題は、30万円の参加費。そんなお金、どう考えたってサラリーマンの小遣いではムリ。
ムリなことだと分かったうえで、「なんとかしてやる!」ってことで、まずはその参加費をなんとかするってことをプロジェクト化して、いろんな知恵を絞ってお金をつくることに。
まず、年内申し込みで10%の割引があるから、それで3万浮く。1月分と2月分の小遣いをそっくり全部つぎ込んで、それでなんとか6万くらい。お気に入りだったテレビドラマのDVDの全巻を1800円でたたき売って、使わないPASMOカードを返却してデポジットを受け取り、QUOカードや商品券をかき集めて現金化。ケータイも2台持ちだったのをdocomoの方を解約。アートギャラリーのグループ展に参加して作品を打ったけれど、出展料を考えたらほぼ儲けなし。それでも、コツコツあちこちで作品を売ったらそれなりの金額に。
この時点で、13万ちょっと。まだ、17万円足りない……。
ここで、自分の得意なオンラインでの記事執筆の力を活かして、少しずつ少しずつ、でも確実に報酬をゲットすることに。とりあえず、単価や効率を気にしなければ、執筆の仕事はいくらでも見つかる。それこそ、落穂ひろいのように小さな案件をコツコツ大量にこなしては、小銭を少しずつ貯めていきました。
ライフスタイルに寄り添ったおしゃれなまとめ記事を2本書いて1,600円。かかった時間と文字数を考えるとちっとも割が合わないけど、数をこなせばそこそこいく。翌月には、12本書きまくって9,600円。その次の月も6,400円の収入。ビジネス記事を日本語に翻訳して2千円。逆に、日本文化を海外に紹介する記事を書いて2,500円。海外記事を紹介したり、アートのまとめ記事を書いたり、あっちのメディア、こっちの媒体と、手当たり次第に記事を書きまくって、なんとか30万を達成する目途がついたので、即申し込み。なんとか間に合いました。
ずいぶん変わった記事も書きました。青汁のレビュー記事とかね。あと、なぜか占いの文章をリライトするってのもあった。これはもう少し後だけど、海外製品の取り扱い説明書の校正をやったりも。なかなか、面白かったですよ。
というわけで、奇跡のような素晴らしいクリエイティブワークショップに参加することができました。
初日のメインテーマは写真について。ジョン・ワーウィッカー氏がメインの講師となり、ランチの時間に最初の「街のリズムを探す」写真撮影課題。午前中の講評を受けて、午後は二度目のフォトウォーク。その後、夕方までジョンさんによる写真の歴史についての講義。カメラ・オブスキュラからカメラの進化と現代に至るまでの写真史を学ぶ。
二日目はジョエル・バウマン氏による制作と思考のプロセスについて、実際につくりながら学ぶ。スケッチブックに20分間のフリーライティング。その後、文章を編集して短くまとめ、自分の声でナレーション録り。続いて、その音声を聞きながらグラフィックの制作。作品がいろんなメディアを通して変化していく様を体験。この日のジョンさんの講義は、フォントとタイポグラフィーについて。
その流れで、三日目は実際にフォントをデザイン。フォトウォークの写真の講評もみんなで話しつつ。ジャーニーという縦軸の課題も。
四日目はデジタル工作。「Makey Makey」という、子供も遊べる電子工作キットを使って、作品をつくる。まずはアイデアを出して、それを設計し、形にしていくプロセス。僕は、「電子ブーブー」クッションをつくったよ。ワークショップが終わった後、Makers' Baseの機器トレーニング。18時から22時までみっちりと「彫金」を学んだ。
五日目、書くことについて書く、『Writing on Writing』という課題。文章をビジュアル化して、レーザーカッターで板に彫刻にして作品をつくった。午後は建築について。空想の建築物のコンセプトを考え、それをドローイングで描き、フォトショップでビジュアル化するまでがこの日の課題。次のステップは、実際に建築模型を作成する。
週末をはさんで、六日目。建築模型を完成させ、講評を受ける。いったんは提出したものの、まだ自分では納得いかないところもあり、2つ目をつくることに。夜は、木工旋盤のトレーニング。
七日目。二つ目の建築模型が完成。そのコンセプトを説明するために、A0サイズの用紙にドローイング。彫刻作品の課題制作。色をテーマにした宿題。
八日目。『色』についての講義と、色の課題の提出。このときの作品はあまり納得のいく出来ではなかったので、その日のうちにもう一作品追加で制作。午後は、Tomatoの歴史を振り返る座学。ジョンさんがつくっている300ページのプレゼンテーション資料を見ながら。ほかにも、フォントを100点制作したり、WayPostという百科事典をつくる的な課題や、ジャーナルをまとめたり、『フィネガンズウェイク』という本を読んだり。彫刻作品の写真撮影、最終課題の作品アーカイブの制作準備。残りあと二日。
九日目。『Colors』の追加作品と、『Writin on Writing』の最終形を見せて、講評をもらう。タイポグラフィーについての、ジョン・ワーウィッカーさんの講義。インタラクティブ・アートについて、ジョエル・バウマンさんの講義。16時過ぎにパーティ会場となるSHIBAURA HOUSEへ移動。今回のワークショップの講師であるtomatoのジョンとジョエル、リボネシアの吉川徹さんの他、tomatoのスティーブ・ベイカーがモデレーターを務め、サイモン・ブラウニング、グラハム・ウッドなども参加したトークセッションを聴講。その後、懇親会。
十日目、最終日。吉川徹さんによる、彫刻作品の講評。底辺30×30cm以内、高さ90cm以内で、自立式の作品。ギャラリースペースで10万円で販売できる作品、というテーマで、実践的なアート作品をつくった。最後に、ここ10日間の作品をすべてまとめたポートフォリオ的な作品アーカイブを作成。
全力で駆け抜けた10日間だった。
ひたすら作品をつくり続け、それをみんなに見てもらい、話しあう。先生も生徒も分け隔てなく、みんなが意見を言い合う。「それは違う」と思ったら反論するし、「そうだなぁ」と思ったら納得して次の作品に生かす。
「permission to be creative」という言葉をジョンさんが言ってくれたのが深く心に残っている。誰もが、クリエイティブな人になれるんだよ、と。むしろ、みんなクリエイティブな人でいようよ、という。このワークショップに参加して、優れたクリエイターというのがどんな人間なのかが分かった気がする。
いつも課題を見つけ、それにチャレンジする。枠にとらわれない考え方。解決策はひとつではない。「これだ」と思うものをしっかりとキャッチし、追いかける。あきらめない。ずっと考え続け、行動し続ける。
今まで自分がやってきたことを「それでいいんだよ」ってやさしく肯定してもらえたような気分。「そのまま進みな」って、背中を後押ししてもらった。
このクリエイティブワークショップに参加して、僕は自分のことを肯定することができた。自分が進む道が間違ってないことを確認でいた。それが、このワークショップで学んだこと。
30万円なんて、ほんとうに安い、安い。