数少ない貴重な貴重な読者の皆様。
大変にお久しぶりでございます。
ちょっとバタバタしすぎてまして、物を書く気力が別の箇所に注がれておりました。
今やっと時間も心も落ち着きまして、また筆をとった次第にございます。
しょーもない話からしょーもない話までまたここに書き連ねていきたいと思いますので、どうか皆様の日々の息抜きの10分を、僕にいただきたいと思います。
前回のヘビーなお話から止まっておりまして、ずいぶん長いコマーシャルが挟まっていたわけですが、いよいよ後半を書こうと思います。
ある程度時間が過ぎてしまったため、うろ覚えのことはありますが、頑張ってお読みください。
それでは、後輩の話の続きを書かせていただきます。
Sくん=旦那
Mちゃん=奥さん
Tちゃん=2人の子供
去年の夏頃から、Mちゃんの帰りが遅くなることが少し増えました。
バイトのあとに友達と会うことが増えたようでした。
子育てをしながらバイトもして、ストレスがたまらないわけがないのです。
彼女が遊びに行くことに、Sくんは何を言うでもなく許しておりました。
しかし、その頻度はだんだんと増えていきました。
土日などの休みもしょっちゅう遊びに行くようになったのです。
Sくんはきつい仕事を休みなくやりながら、家庭のことも疎かにしないように、毎日できることがないか考えながら生活していました。
彼は本当に遊んでいませんでした。
しかし、Mちゃんは子供を義理の親に預けて出かけることも増え、家のことも少しずついい加減になっていました。
Sくんはさすがに嫌気がさしてきました。
それと同時に、ある違和感を抱き始めたのです。
ある時、Mちゃんの携帯を見たらロックがかかっていました。
2人は、いつでも携帯を見せてもいいという約束がありましたので、この行為は怪しくて仕方がありませんでした。
頻度の上がる外出、携帯のロック。そして、旦那の前からいなくなって話す夜中の長電話……。
彼は彼女を疑いたくありませんでした。
しかし、最近の不審な行為と直感が、彼のその疑いは確かなものだと告げていました。
ある日のこと。
Mちゃんがバイトで帰りが遅くなると言った時間を、はるかに過ぎて帰宅したことがありました。
何気なくSくんは理由を聞きました。
するとMちゃんは、聞いてもいないような詳細なことを話し始めたのです。
そこでは、友達の具体的な名前や、何時ごろどこでその子と遊んでいたかと言うようなことなどが語られました。
Sくんはただ簡単に、いつものように冷たく短く理由を言われるだけだと思っていましたが、突然こんなことを言われたので、彼は嫌な予感がしてある試みをしました。
「ごめん、言っとることがよくわからん。ちょ、携帯のそのやりとり見せてくれん?」
Mちゃんは渡すのをためらいました。
さっき言ったことが全てだから!となかなか見せてくれないのです。
結局、見せろ見せたくないのやりとりが何回か続いたところでSくんは思い切って言いました。
「男だろ?」
少しの間沈黙が流れました。
小さな声で否定はしていましたが、問い詰められるうちについに彼女は言いました。
「そうだよ!ちょっと会っただけだよ!何がいけないの!?」
彼は、奥さんが男のいるところに遊びに行ったとしても、前もって言ってくれれば許すタイプでした。
彼女もそれを知っていました。
それでも彼女は彼とさっき会っていたことを隠していたのです。
彼がその時すぐに頭をよぎったのは、子供のこと、そして「離婚」でした。
その日はよく話し合うこともできず、落ち着かない夜を過ごしたようです。
翌日になって、奥さんの携帯を見せてもらえることになりました。
奥さんは投げやりな状態になり、旦那の言う通りにして携帯を放るように渡しました。
そこで見たLINEのやりとりは、とても人様に言えるような内容ではなかったようです。
Sくんはあまりの気持ち悪さに、文章をほとんど読むことなく携帯を返しました。
しかし、全文を見ることがなくても、ホテルに行っていたことや、思っている以上に男と会っていたことはわかりました。
相手は大学生で、奥さんの友達が連れてきた男の子でした。
奥さんもまだ20歳ですし、友達の連れてくる人が大学生というのは普通のことです。
それは夏頃から始まっており、帰りが遅くなったタイミングと一致しています。
Mちゃんは、会った時にはもう彼のことが気になり始めていたようです。
そして、旦那のいない間に子供は義理の親に預けて、何度も不貞行為に走っていたのです。
Sくんはもう怒りを通り越していました。
罵声を浴びせたり殴りつけたり、そんなことをする気も起きず、ただただ子供のTちゃんがかわいそうでかわいそうでならなかったと言っていました。
当然この話は、互いの両親に知らされることになりました。
Sくんの母親は、この話を聞くな否や泣き出してしまい、長い時間涙が止まりませんでした。
Sくんは、自分の母親がこんなにも涙を流し続けるのを見たことがなく、この破滅の根源ともいえる「結婚した理由」について、深く反省しました。
生まれてきた子供には何一つ罪はないけれど、たった一つの過ちが、大事な人たちの運命にこれほど影響を与えてしまったことを重くとらえました。
もちろん何の障害もなく、話は離婚の方向へと歩みを進めました。
Sくんが何よりも気にしていたのは「親権」でした。
あんなことをやる人間が、子供に何を教えられるのだろうか。
腹が立つけど、Mちゃんが子供を好きなことは見ていてわかっていた。
だけど、旦那の親に預けたきり、欲望の赴くままに外へと喜んで遊びに行った人間は、いずれ必ず子供を苦しめる。
「慰謝料とかそんなことよりも、とにかくTちゃんは俺が育てる!」
我が子を思うこの強い気持ちが、彼を悲しみから立ち上がらせる大きな力となっていました。
ちなみにMちゃんは小さい頃、不倫による離婚によってお父さんが出ていっており、姉、自分、弟の3人を、女手一つで育ててくれた母が大好きでした。
しかし、父がいないことの寂しさや、そのことでいじめられた経験もあり、小学生の頃は机の下に隠れてよく泣いていたそうです。
弟も同じようにこのことに悩まされていたようです。
Mちゃんの母親は我が子が大事でしたが、この行為は許されるものではないと感じるだろう。
自分たちが苦しんだ理由そのもののことを、我が子がやっているんだ。
どれだけあの一家が変わっているといっても正邪の判断はつくだろう、Sくんたちはそう確信していました。
Sくんは弁護士に相談しながら、いろいろ対策を練っていました。
誓約書を作ったり、養育費や慰謝料のことを話したり、できる限りの準備をしました。
Sくん一家は、親権がとれることに何の疑いも持っていませんでした。
弁護士から言われていたある重大なことも、彼らには単なる情報としか聞こえないほどに……。