こんばんは!!!


今日不動産のお兄さんが営業に来て、話させてくれって言うから玄関入れました!


やばいですよね!


玄関に入れるって!


そこでふと思ったのが、

「営業マンかどうかわからない人を入れるのもまずいけど、そもそも僕が普通の感覚の人間じゃない可能性もありうるわけだ。この状況で相手のテリトリーに入るって命知らずなのか?」

と。


まあ適当にアンケートに答えて終わりましたが、皆様、世の中なにがあるかわからないのでお気をつけ下さいね^_^





はい、今日は『漁夫とその妻の話』です。

この話グリム童話の中でもかなり好きな話です!

それでは始まり始まり〜🎵





あるところに漁師と奥さんがいました。

2人は浜辺の波打ち際のあばら家に住んでいて、漁師は毎日釣りをしていました。



ある時、鏡のようにぴかぴか白びかりのする水で釣りをしていたら、大きなカレイが1匹釣れました。


カレイ「ちょ、実は僕カレイちゃうねん。魔法かけられてる王子やねん。海へ逃がしてくれや」

漁師「おけ」



そして、家に帰って奥さんにこの話をしました。


奥さん「なんや、何か頼んだらよかったのに。あっ、この家ボロいで、小さな家一軒くれって言うてきてくれや」

夫「えー、もっかい行くとか変やん」

奥さん「ええからはよ行ってきてや」



夫は浜辺にきました。

海はさっきとは違って、真っ青で、真っ黄色で、さきほどのように白光りしていませんでした。


夫「カレイさん、助けておくれ。妻が思うようになってくれへんのや」

カレイ「どないしたん?奥さんなんか欲しいんか?」

夫「さっき君と会ったこと話したら、なんかお願いしたらよかったのに言うてましてな。んで、家一軒欲しい言いよるんですわ」

カレイ「ほいよ、願い叶ったで」



帰ると、あばら家のあったところに家が一軒立っていました。

奥さん「中入ってみ、前よかえらい上等やで」

こじんまりした玄関、居間、色んな家具、錫(すず)や真鍮の器、他にも家畜や畑がありました。


夫「もう欲ばらんと、こいつをありがたいと思って暮らそうな」

奥さん「そやな」




2週間後。


奥さん「狭い。もっと大きいのにしてくれたらよかったのに。カレイんとこ行って、大きな石造りの御殿にしてって言うてきて」

夫はカレイを怒らせるかもと思いましたが、妻には勝てずまた海へ行きました。



海はすっかり紫色で、藍色で、灰色で、厚ぼったくなっています。


カレイ「なんや、奥さん次はなにがほしいん?」

夫「困った。石造りの御殿がええんやと」

カレイ「はいよ」



戻るとやはり石造りの大きな御殿が聳え立っていました。

大理石の入り口や黄金づくりの椅子や机、水晶のシャンデリア、さらには広い庭など、以前よりさらにグレードが上がっています。


夫「これでもう満足やな、もう欲は出すなよ」




翌朝。

奥さん「ちょ、あのさ、うちらここらへんの王様になられへんかな?」

夫「何言うてんねん。王様なんかならんでええやろ」

奥さん「あんたがならんのやったらわたしがなるでええわ、はよ行き」



今度の海は黒ずんだネズミ色一色で、水は中からぶくぶくと沸き返り、くさった臭いまでぷんぷんしています。


カレイ「ほいほい、今度はなにが欲しいんや?」

夫「弱った。妻は王様になりたいとか言いよる」

カレイ「おけ、もうなってるで」




帰ると、御殿はさらに大きくなっていました。

大きな門に、素晴らしい装飾、入り口に番兵や大勢の兵隊。

中は大理石に黄金を取り合わせたものばかり、宮中の役人も集まっていました。

奥さんは金とダイヤの高御座(たかみくら)に座り、黄金の冠をかぶり、手には純金と宝玉の笏を持っていました。

両サイドには侍女が6人ずつ立っています。


夫「ホンマに王様になったんやな。もうこれでええやろ、もうこれ以上ないで」

奥さん「いや、ダメや。わたし退屈で退屈でしゃあない。次は天子様になりたい」

夫「それはさすがに無理やろ。天子は国に1人しかおらんもんや。どうせーちゅうねん」

奥さん「なんやと、ぶつぶつ言っとらんとはよ行き!」



海は相変わらず真っ黒でどろどろで、中からぶすぶす沸き返りだしたので、泡だらけになっているその上を、つむじ風が吹きわたって、水面はちぢれ毛のようによれよれになっています。



夫はゾッとしました。


カレイ「どうしたん?奥さん何が欲しいん?」

夫「もう嫌んなるわ。天子になりたい言うてまんねん」

カレイ「帰ってみ。もうなってんで」



帰るととんでもない城があり、公侯伯子男や大勢の華族が家来としておりました。

夫のために開けてくれた扉は全て純金でした。

中へ入ると奥さんは玉座に座っておりました。

あらゆる種類の宝石を身につけて、天子様の位の印である球を持っていました。


夫「なあ、お前、結構なご身分やなぁ」

奥さん「なにボケっと突っ立ってんねん。あたしは今度はローマ法王になるつもりやで。さあとっととカレイのとこへ行きな」

夫「無理に決まってるやろ、ほんまに何言うてんねん」

奥さん「天子様になれんねんからローマ法王にもなれるやろ、え?行くんか?行かんのか?」



夫はガクガク震えています。


なんともいえない風が陸地を吹き渡っています。

雲は飛ぶように動き、日が暮れるにつれてあたりは陰気になりました。

木の葉は木々からばらばら落ちました。

海水は煮えくりかえるように逆巻き、ごうごうと鳴り響き、ざぶんざぶんと渚をうちました。

大嵐のように空は真っ赤でしたが、それでもまだ、真ん中のところが申し訳程度にぽっちり青いところがありました。




カレイ「どしたん、何が欲しいん?」

夫「情けないこった。ローマ法王になりたいって言うてますねん」

カレイ「帰ってみ、法王なってるで」



戻ると、お城は教会堂のようになっており、その周りをたくさんの御殿で取り巻かれています。

人混みをかき分けていくと、何千という明かりで照らされ、奥さんが金モールの着物にくるまり、以前よりもずっと高い玉座に座って、金の冠を三重にかぶっていました。

周りには色んな偉い人たちがいて、天子様や王様たちが奥さんの前にひざまずいておりました。


夫「なあ、今度こそ身のほどを知れや。もうこの上なんにもなれへんぞ」

奥さん「よく考えてみるわ」



奥さんはもっと欲張って頭を働かすことでいっぱいで、寝返りを打ち続け夜も寝られませんでした。

そして、明け方、お日様が登るのを窓から眺めている時にこう思いました。


「つまんないなぁ、あたしにもお日様やお月様を登らせることできへんやろか……。そうや!」


そして彼女は思いついたその勢いで夫を起こしました。


奥さん「起きてや!あたし、神様みたいなもんになる!」

夫「はっ?えっ、お前、今何つった?」

奥さん「あたしな、ただ太陽や月が登ってくのを見てるだけなんて嫌なんや。自分の力で登らせたいねん!あー、もうじっとしてられへん!

カレイんとこへすぐ行っといで!」

こういって、それはそれは恐ろしい形相で夫を睨みつけたのです。



外は嵐で荒れ狂い、夫は立っているのでやっとでした。家や立木はよろめいて倒れ、山はぐらぐら動き、岩ががらがら海の中へころげ落ちました。

天は真っ黒で雷が鳴り、稲妻がきらめき、見渡す限り真っ黒な高浪が立っていました。


夫は声をはりあげましたが、自分の声すら聞こえません。


カレイ「どうしたん?奥さんは何が欲しいん?」

夫「いやはや、なんてこった!うちの奥さん、神様みたいなのになりたいって言いますねん」


カレイ「帰ってみ、奥さんは昔のようにあばら家に入ってまっせ」



こうして漁師と奥さんは、今でもそのあばら家に住んでいるそうです。










どうですかどうですか??

ちょっと長いですけど、とっても面白くないですか?

人間の欲望は限りなく、また人間の欲が深まるほど自然が猛威を振るうなんて、なんとも象徴的なお話ではありませんか!




原本初版が出た当時、ドイツでは大評判になった作品なんですって!🙌🇩🇪🙌

うーん、やっぱりどこの国でもこういう話を面白いと思う感覚は似ているんですねひらめき





さてさて、

あなたの欲望はどれだけ深いですか……?