現実とファンタジー | プラクティス

現実とファンタジー



世間では、いまこの歌が人気です。

・西野カナ 『もしも運命の人がいるのなら』MV(Short Ver.)


歌詞は、

「いつかあなたが迎えに来てくれる」

というまだ見ぬ彼を夢見る歌で、とても可愛らしい歌です。


ただ、現代では、過去に、こういう歌詞に酔って思考停止してしまった人が、とんでもない現実に直面しています。

メディアに踊らされないで

王子さまを40歳まで待ってみた

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これは、一時期のフリーター幻想などと一緒で、酔って気持ちよかったのはその時だけで、酔いから覚めたら、自分の頭の中でこしらえた「ファンタジー」と「現実」は全然違ったと思い知らされているのです。


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美は呪術。言葉は呪術。

呪術を制するものが、この世を制する。


なんか格好いいでしょう。いま、作りました。


人間の脳の入力チャンネルには、視覚やら、聴覚などの五感があります。

その中でも、半分以上を占めているのが「視覚」の入力チャンネルです。


なぜなら、この「視覚」の入力がぼやけていると、「死ぬことがある」からです。

人間の裸眼の解像度には、ものすごいものがあって、いま携帯に付いている高性能カメラより、遥かに性能がいい。

と、言う事は、脳には1メガとか2メガとかではなく、遥かに大きな情報が瞬時に送られているということです。

これが可能だからこそ、人類は、生き残ることが出来ました。


たとえば、動物達で考えてみてください。

視界の悪い森で、視界に何かが入って来た時に、それがぼやけてたり、脳での処理に時間がかかってたりすると、即、死につながる可能性が高い。

ですから、動物達は、一瞬でそれが何かを判断して、動くのです。


これと同じ事をしているのが、人間で、コンビニに入ろうとした時に、中に柄の悪そうな人が一瞬でも目に入れば入店を避けますし、ものすごい美男美女が一瞬でも目に入れば、用がなくても、そっちの方に行きたがるものなのです。

それは、一瞬で良いのです。

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以上を踏まえて、『美は呪術』をみてみましょう。

先の『西野カナ 『もしも運命の人がいるのなら』MV(Short Ver.)』を『おばさん』にしてみます。

おばさん 『もしも運命の人がいるのなら』MV(Short Ver.)



このおばさんが、「いつかあなたが迎えに来てくれる」と歌っても、周りは騙されないのです。

しかし、以下の彼女が「いつかあなたが迎えに来てくれる」と歌えば、そんな気がしてくるのです。



知らない人のために補足すると、上の2つの写真は、同一人物で、かつては人気のあるアイドルだった人です。


信じられないし、信じたくないと思いますが、「西野カナ」も、こうなります。

楊貴妃や、小野小町、クレオパトラの時代から、これだけは事実なのです。


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さらに、『言葉は呪術』の話。

驚くべきことに、福山雅治のラジオでは、アダルトビデオの話をしても女性に嫌われません。

それどころか、好かれたりします。

これって、どんなにラブラブなカップルの彼氏が同じ事を言っても許されそうにありませんから、スゴい事なのです。

それを可能にするのが、『美は呪術』に続く『言葉は呪術』です。

あの甘いマスクに、甘い歌詞が加われば、相手を酔わすことが出来る訳です。

簡単に言うと、酔った相手には何をしても大丈夫、という訳です。


こういうことを言うと、すぐ自分のことに置き換えて、福山雅治ではそうならない、みたいな個人的な話にもっていく人がいるのですが、そういう人は、自分の好きなタイプに置き換えて想像してみてください。

ここで重要なのは、福山雅治がどうこうではなくて、福山雅治を例にしているだけ、です。

想像してみれば、あの人だったら何をされてもいい、みたいな人がいるハズです。

もし、そんな人いないという場合は、異性への興味がゼロですから、早く好きな趣味やら仕事を見つけて、それらに打ち込んで生きましょう。

こういう人は、だいたい10人に1人、2人は居ますから、変に思い悩まず、好きなことして生きていけば、それでいいのです。


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歌を大ヒットさせるカラクリは、簡単です。

酔いたい人を、酔わせれば良い。


特に日本人女性は簡単です。

何故なら、たいてい「お姫様願望」というもので、「酔いたい」からです。

アメリカでヒットするようなこういう曲は日本ではヒットにしくいですし、逆に、西野カナがアメリカで歌ったら、駄目駄目でしょう。

それは歌手がどうこうという話では無く、酔いたい人のニーズに合っていないから、です。



これを、お酒で言うと、酔いたい人でも、「カシスオレンジ」で酔いたいか、「ビール」で良いたいかの違いみたいなものです。

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アニメ、『エヴァンゲリオン』では、最後の敵のカヲルくんという人が、以下のセリフを言いました。

「歌は良いね、歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ。」

このアニメの監督は、良いフレーズを先に見つけて、それに合う場面を描く人ですから、場面にキャラとセリフがばっちり合うのは当たり前の事ですが、きっと、これに酔わされた人も多いことでしょう。

まさに全国のアニメファンが、これに酔わされたのです。

そして、もう1回、もう1回酔いたいと、次回作を首を長くして待つのです。


しかし、この事実をよく考えてみてください。

これって、「心を潤されている」どころか、「心を乾かされている」と思いませんか。


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売れるお菓子には、塩が沢山入っています。

酒のつまみにも、塩が沢山入っています。

そのお陰で、次から次へと、「止められない止まらない」となるのですが、これって、わざわざ体を乾かすから、そうなるのです。


そして、現代は、現実ではない仮想現実(バーチャル世界)にまで、それが多分に使われているのです。

だから、『エヴァンゲリオン』やら『進撃の巨人』はヒットするし、『韓ドラ』はヒットするし、その他、映画、ゲームなどがヒットするのです。

それらがヒットすると、DVDなど、それだけが売れるのではなく、関連グッズが山ほど売れます。

なぜ関連グッズが山ほど売れるかと言えば、心が渇いて、「止められない止まらない」からです。


そして、10年後、20年後に、ハマってたものを見て、「何してたんだろう」と我に返るのです。


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酔いから覚めた現実は、惨めなものです。

何と言うか、二日酔いの朝、みたいなものです。

そして、現代には、日本人の全体が、このようになっているのです。


ファンタジーは、最初からファンタジーだったのに、そのファンタジーが現実にならなかったと言って、落胆しているのです。


もはや、現実とファンタジーの区別が、大の大人でもつかなくなっているのです。

「韓ドラ」や、「ジャニーズ」に呆れる男が、「年功序列」とか「終身雇用」などのファンタジーにすがっているのです。

で、現実がそのファンタジーと違うと、周りの男を見てガッカリして、周りの会社を見てガッカリするのです。

今や、男も、女も、現実とファンタジーの区別がつかなくなってきて、女はジャニーズやら福山雅治やら若くて年収600万円やら、確率で言うと1%以下なものを望みますし、男もAKB48やら女子アナやら、出会う確率が1%以下な人たちと、周りを比べて落胆しています。

酷いのになると、アニメなどのキャラと現実を比較して、バーチャルより現実が劣っていると落胆する始末です。


現代人は、頭に刷り込んだファンタジーと、現実とを比較して、現実が色あせているから、落胆しているのです。


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メディアに踊らされないで

メディアでは、「いつまでも若く美しく」みたいなファンタジーを、さも現実のように刷り込みます。

しかし、「いつまでも若く美しくいられる」というイメージを本当に信じたら、どうなるでしょう。


白雪姫のおばあさんのように、日々、鏡を見ては落胆して生きるしかなくなるのです。


これって、自分で、自分を、わざわざ落ち込ませている訳です。

で、なぜこうなっているかと言えば、ファンタジーをガンガン頭に「刷り込んで」しまったから、です。

そして、現代では、過去に、こういうファンタジーに酔って思考停止してしまった人が、とんでもない現実に直面して、二日酔いのように頭を悩ましています。


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現実は、甘くも、辛くもありません。

現実は、現実です。

甘く見ている人は、厳しく感じますし、ものすごく厳しく見ている人は、以外とチョロいものでしょう。

それは、自動車教習所で免許をとるのは簡単か否か、みたいな話です。

現実は、規定の時間、通う必要があるだけで、まぁ一般人なら個人の主観に関係なく、それで取得できるもの、です。

必要なことをすれば、そのようになるのです。


しかし、ファンタジーにどっぷり浸かってしまった人は、現実に必要な行動をしません。

何故なら、ファンタジーの世界では、待っていれば、あっちから来るから、です。


年ごろの女性なら「いつかあなたが迎えに来てくれる」(あなたって誰?)ですし、

男性なら「景気が回復すれば何とかなる(なってほしい)」(今、景気はいいですよ?)です。


そして、そういう思いを受け入れてくれる自己啓発や、スピリチュアルや、流行の歌や、アニメやゲームを求めるのです。

何故ならば、そこには「あなたは悪くない」、「そのままのあなたでいい」、みたいなアルコールが含まれているからです。


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先に、ヒットしたければ、酔いたい人を酔わせればいい、と言いました。

これは簡単に言うと、

パチンコ屋に行きたい人に、パチンコ屋に行って良いと、受け入れることです。

あるいは、スイーツを食べたい人に、スイーツを食べても良いと、受け入れることです。

恋人が待ってれば現れると思いたい人に、それを肯定することです。

一生懸命に生きていれば、お客が現れると思いたい人に、それを肯定することです。


そういうメッセージを込めれば、それは売れます。


Facebookでもアメブロでも、そういう記事ほど「いいね」が大量につきます。

これをビジネス用語で、共感マーケティングとか、感情マーケティングと言います。

簡単に言うと、病気ちっくな人にも、「そのままで良いんだよ」とか言えば、ビジネスになるってことです。

確かに、その共感を集めた人は、信者を集めたことで、自己実現やら成功者になれるでしょう。


しかし、良くないどこか悪い状態を受け入れてしまったら、その先、どうなるでしょう。


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現実は、現実に行動しないと、何も良くなりません。

たとえ「東大並みのすごい知識」を持っていても、答案用紙にそれを書かなければ、100%落ちるのです。

願書を出さなければいけないし、入試会場に行かなければいけないし、答案用紙に書かなければ、「東大並みのすごい知識」は無いも同然なのです。

すごく可愛い子でも、家から一歩も出ない引きこもりだったら、100%彼氏は出来ないのです。

これは、家と職場の往復で、道でのナンパはイヤ、みたいな人でも同様です。

家、なし。職場、なし。道、なし。これでは行動範囲の全てでゼロです。


何と言うか、魚のいない池で、何十時間も釣りをするくらい不毛なことです。


これは女性だけでなく、男性の仕事などでも、同じ事をしています。

そして、そういう人に、「そのままでいい」とか、「頑張らなくていい」とか、「ありのままの自分を受け入れればいい」みたいなことを言えば、売れるのはこれまで述べてきた通りです。


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放射能のように、メディアシャワーを大量に浴びてきた現代人のやりたいことは、一言で言うと「酔いたい」のです。

どうでしょう。

周りを見渡してみて、「確かに」と思いませんか。


男なら、矢沢永吉とか、イチローとか、巨人とか、ドラクエとか、アニメキャラとか、アイドルとか、ギャンブルとか、ダイレクトに酒とか、です。

女なら、ジャニーズとか、イケメン俳優とか、広島カープとか、恋バナとか、スイーツとか、グルメとか、美容とか、占いとか、ダイレクトに酒とか、です。


でもそれって、「やりたいこと」でしょうか。

ただ単に、「酔いたい」だけじゃないでしょうか。


そして、その「酔い」は危険なのです。

何故なら、ファンタジーを信じると、どうしたって現実は色あせるから、です。

そして、ファンタジーに比べて現実は酷いと不満を持つようになるから、です。

さらにマズいことに、酔うとIQが一気に低下してしまいます。


何かに酔っている人が、酔っている時は元気だけど、現実ではおかしなことになっていて、話が通じないのは、そのためです。


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