ネット弁慶

その昔。
「ヒステリー」と言えば、女性の代名詞でした。
それが、今では、女性の方がよっぽど話が通じて、男性の方が話が通じなくなってきています。
DVにしても、ストーカーにしても、クレーマーにしても、男性の方が酷かったりします。
何だかよく解らない勝手な理由で、実力行使もやむなしみたいに攻撃してくる人もいます。
掲示板での悪口や、コメント、メッセージなどでの罵倒。
ブログやツィッターでの炎上など、正しいか正しくないかの前に、礼儀の礼の字も無いのです。
ファミレスで怒鳴り散らす男性は、単なるチンピラで、これは分りやすい。
昔から居ました。
が、現代では、もっともっと質の悪い輩が増えています。
それが、ネット弁慶です。
きっと普段は小心者で、時代錯誤なこだわりをもっていて、それ故に社会に適合できずに、それを社会が間違っているというせいにして、そのうっぷんをネットに書き込む人達です。
これは、昔は書き込むところがなかったので、無害でした。
しかし、現代では、そういう人ほど暇な時間があるので、ネットでの発言権が強くなったのです。
とても、有害になってきたのです。
このところ、やけに酷いレビューや、書き込みを見ると思ったら、こういうことだったのです。
たとえば、モテない君が、勇気を振り絞って可愛い子にアタックして、振られたとしましょう。
すると、悔しくて、悔しくて、たまらないので、可愛さ余って憎さ百倍で、悪口を書き込みまくってやる、みたいなことなのです。
レストランのレビューを見ても、酷い。
酷いレビューを残す人は、安い価格で、かつ、文句を言うのです。
たとえば、100円ショップで買えば、値段相当のもの。そういう理屈が通用しません。
自分が食べた中では500円でも良いところがあった。そこに比べると品数とサービスが劣るので、2点、みたいな。
AKB48にしたって、そりゃアイドルとしては如何なものかと思いますが、だからといって、クソとか、ブスとか、そうは思いません。
百歩も、千歩も譲って、たとえそうだとしても、
「まず、自分のプライベートを充実させたら?」
と言うことでしょう。
なぜなら、「自分のプライベートが充実してない」から、
そういうことに構っている「暇がある」のです。
つまり、「自分のプライベートを充実させてない」ことが、全ての諸悪の根源なのです。
自分自身が、自分自身を満たしてない不満を、他人の欠点を指摘することで、解消しようとしたって、それは解消になりません。
あいつが気に入らない、こいつは間違っている、仮に、そういう全ての者を消したって、当人は満たされないのです。
何故なら、原因は、自分の満たされなさのを他人のせいにしているだけだから、です。
人の足を引っ張っても、自分が上に行く訳では無いから、です。
のび太くんが、出木杉くんを消しても、次なる出木杉くんが出てきて、そいつら全員を消しても、自分がモテることは無いのです。
つまり、自分が満たされることは無いのです。
ネット弁慶は、とれないリンゴは酸っぱいとか言っているうちに、他人にちょっかいを出すことがクセになってしまって、そもそも自分がどうしたいのか、どうなりたいのかを忘れてしまっています。
目的と手段を混合して、手段が目的になってしまったのです。
彼女を落とすつもりが、彼女に付き纏うことが快感になってしまったストーカーのようなものです。
部活のためにやっていた筋トレが、いつの間にか自分の筋肉を大きくするための筋トレにすり替わったようなものです。
これの悪い例が、ネットの書き込みや、他者批判をしたくなってしまったネット弁慶です。
でもそれは、自分が人気者じゃないうっぷんを現実に努力しないで、指先だけで憂さ晴らしをしようという暗くて、後ろ向きな発想です。
初対面で、いきなり罵倒(の書き込み)をするって、街中で、因縁をつける不良と同じレベルです。
彼女が見たら、やめて欲しいと思うでしょうし、親が見たら泣くでしょう。
自分がそういう身内を悲しませる行為をしている冷たい人間というのが、見えてない、わかってないのです。
そして、しつこいようなら逮捕です。
それもこれも、自分の問題を他人にすり替える責任転嫁がいけないのです。
自分の問題の前に、他人の問題に首を突っ込むのがいけないのです。
何故なら、それは他人の問題に首を突っ込むのを理由にして、自分の問題からは逃げようという卑怯な人の常とう手段だからです。
のび太くんが、出木杉くんの悪口を言う。悪いところを探す。
ジャイアンが、母ちゃんに怒られたから、腹いせにのび太を殴る。
前者がネット弁慶。後者がむかしからあるいじめです。
で、どちらも、自分の問題から逃げて、他人を上から、下から、いじめているだけなのです。
他人のことはいいから、まず、自分のことをしなさい。
たとえ、ボランティアでも、自分のことをまずしてから、他人に構いなさい。
なぜなら、そうしないと、自分の問題から逃げているだけ、だからです。


