それは真っ昼間、職場での出来事だった…。





視界の端を飛び回る一匹の蚊。



作業台にとまった時によく見たら、縞々のヤブ蚊だった。




こいつに刺されると、かなり痒い。



やっかいな相手だ。






絶対に刺されたくはない!







殺意をむき出しにしながら追い払うが、何処かに行ったかと思うと、また、すぐに戻ってくる。





誰かの血を吸っていると嫌なので、あまり叩き潰したくはないが、とにかく鬱陶しいので再び作業台にとまった所を狙ってバシッ!!!








嫌な予感は的中していた…。





こんなにため込んでよく飛んでいられたもんだと感心するほど赤いインクをポタリとたらしたように血が…。



幸い、台は血液が染み込むような材質ではなかったので、ウエットティッシュで拭き取ることにした。




もちろん、動かなくなった蚊も、一緒に丸めてポイっと捨てるつもりだった。







ところが!!!






拭き取ろうとして蚊に触れたか触れないかの瞬間…






ギャ~!!!!叫び叫び叫び叫び叫び叫び叫び









まるで生き返ったかのように、そいつは飛んで逃げ去って行ったのだ!




 













そしてそのまま、姿を現すことはなかった。







何が起きたか分からないが、取りあえず残されていた血は拭き取った…。








本当に上手いこと、羽や頭部などは避けて、吸った血液をためていた部分をぎりぎり死なない程度に潰したというのか?






血を吸っていると嫌だと思う気持ちから、思いっきり叩き潰すことを躊躇した結果起きた奇跡だったのだろうか。






まるで、ゾンビのような吸血鬼のお話しでした。