神様が、どうやって名前を消されたり、上書きされたり、魔物扱いされたりしてしまうのか。
江戸末期から、明治にかけて起きた出来事からみてみましょう。
「牛頭天王 ごずてんのう」と聞いても、今では知る人は多くないでしょう。
しかし、江戸時代、『テンノウ』と言えば「天王」であり『牛頭天王』の事。
牛の頭を持つ、まさに、鬼のような神様です。
神仏習合の神様として庶民には人気の神様であり、日本各地に「天王」という地名も残っているようです。
京都の八坂神社の祇園祭。
八坂神社の主祭神はスサノオです。
祇園祭は、もともとは牛頭天王のお祭りでした。
しかし、神仏分離という考え方とともに、国家神道を目指す力が働き、仏教系の神様である牛頭天王は祀れなくなってしまったのです。
牛頭天王は、八坂神社の『スサノオ』と同一神とされ、名前を消されました。
東北に、不思議なお祭りがあるそうです。
八坂神社の大祭で、スサノオがヤマタノオロチを退治するところだという祭りですが、突っ込みどころがまんさい!
地名も天王町、スサノオが牛に乗って登場する。
しかも酩酊していて意識もない状態のスサノオ。
ヤマタノオロチも、全然恐ろしい感じに見えないし、退治しているようにも、されているようにも見えない。
という、お祭り。
祭りの歴史がむちゃくちゃ古いらしくて、平安時代から千年以上も続いているとか。
…これ、完全に上書きされてますよね。
牛頭天王のお祭りの形をそのまま残しつつ、スサノオって事にしてる…。
牛頭天王は謎の多い神様ですが、ある一説によると、奥様は龍女だとか…。
だとすれば、どうみてもヤマタノオロチを退治する様子には思えないって当たり前ですよね
そもそも水神様の祭りなのに、龍を退治って…
きっと形を変えてでも、『何か』を守りたい思いがあったのでしょうね。
実は私、この牛頭天王も上書きされた神様だと感じています。
もとは、違うお祭りだったと感じるのです。
それは、出雲の「奇祭」との共通点があるからです。